【オリエンテーリング】第5回神大大会コース解説 〜良きミドル・ディスタンスとは?〜

オリエンテーリング

 そろそろ私はこのブログで何と名乗るべきなのか分からなくなってきました。別に二重人格してるつもりは無いんですけど線引きが曖昧になってる気がしますね。横江です。

 今回も、もちろんタイトルの通りようやくお披露目となった新規フォレストテレイン「宍粟波賀」にて開催された第5回神大大会のM21Aクラス、コース解説をしようと思います。

 特に今回のコースを組むにあたって注意した「ミドル・ディスタンス競技」とは何かについて持論を語りながら解説していきます。一応持論なのでもっと違うミドルを想像している人もいるかも?

「ミドル・ディスタンス競技」とは

ミドル・ディスタンス競技

日本オリエンテーリング競技規則 より

 JOAが発行している日本オリエンテーリング競技規則には上記の画像のような分類があります。これを見れば距離によってスプリント・ミドル・ロングという3つのオリエンテーリング競技が分類されていると読み取れますね。

JOAホームページ より

 一方、JOAのホームページに記載されている競技内容の紹介ではポイント・オリエンテーリングの3種類を分類する定義として競技時間が用いられています。

 この二つの情報を見て分かる通りこれらの競技の分類は距離によるものなのか、競技時間によるものなのか定義がはっきりしているとは言えません。

 となるとこのような疑問、あるいは意識が生じませんか?

スプリント・ミドル・ロングの3競技は距離/競技時間が異なるのみである。つまり、他の特性は同じである。

 まあそんなわけ無いのは言う間でも無いでしょう。スプリントとフォレスト(ミドル・ロング)が同じだとか、ミドルとロングが距離以外変わらないとかいう人がいれば誰しも「何言ってんだこいつ」とお思いになることでしょう。

 ではそれらはどう違うのか、フォレストにて行われるミドルとロング競技に着目して思案してみましょうか。

「ミドル」と「ロング」の違い

冬の調査はだいたいこれ、運転技術は上がります。冬道も怖くない。

 オリエンにおいてミドルとロングの何が違うのか、そうあなたが問われたとき何と答えますか?十人十色、多種多様な答えが想像されますが私はこのように答えます。

ミドルはアタックで差がつく競技、ロングはルートチョイスで差がつく競技である。

 なぜこのように思うのか、説明しますね。

ミドル・ディスタンス競技

 ミドルといえば「難しい」と言う印象を持たれる方は多いはず。私も同様にロングと比べて相対的に難しいという感覚を抱きます。

 その難しさの種類というのも多岐にわたり、例えばポスト位置。ロングでは尾根の上や植生界の終わりなど比較的視認しやすく線的ない特徴物にポストが置かれる一方、ミドルでは崖の下や穴の縁など点的な特徴物にポストが置かれる傾向があるように感じます。

 また、コントロール間のこなしについても複雑な地形を処理させたり道を使用することが容易で無いレッグを多く課されるのがミドル・ディスタンスという競技でしょう。

ロング・ディスタンス競技

 一方でロングは毎レッグが難しいというよりも全体的に「タフ」であるという印象があるのではないでしょうか。

 例えばコース全体の距離が長いことに対応する集中力の維持。レッグのこなし自体はさほど難易度が高くなくても体力と集中力の損耗により「しないはずのミス」をしてしまうのがロングです。

 また、レース中に課されるロングレッグの適切な処理は基礎的でありつつもタイム差に決定的な影響を与えるという点で非常に重要。ロングレッグはナビゲーションのレベルよりも決定力を問うのです。

では…

 それを踏まえてミドルとロングに要求されるものの違いを私が評するのであれば以下のようになります。

ミドル:高難度のナビゲーションのミスない完璧な実行

ロング:基礎的なナビゲーションを実行し続けるフィジカルと集中力

差がつくポイント

 とはいえ、この表現では少し抽象的すぎる気がしなくもありません。そういう訳でミドルとロングで競技者に問うべきもの、さらに言い換えれば「差がつくポイント」を挙げるとすればどうなるでしょうか。

ミドル:アタック

ロング:ルートチョイス

 最初に申し上げた「ミドルはアタックで差がつく競技、ロングはルートチョイスで差がつく競技である。」という文言につながります。

「素晴らしい」ロングディスタンスの例:インカレロング2024

 個人的に激動の時期にあったインカレロング2024。決してロング向きのテレインではない(というか普通にロングをするのは無理)にも関わらずとても印象深いコースを走らせていただきました。

 決定的に面白いのはこの序盤のロングレッグ(2→3)です。決してやることが難しいレッグではありません。ポスト位置も道から近くさほど難しくありません。でありながら、このレッグの難易度は361というなかなか見ない数字をしています。

 その原因となったのはルートチョイス。ぱっと見でテレイン内を直進的に進むことのできる線状特徴物が見当たりません。西に大きく迂回するにはかなり距離が伸びることとなるため、仕方なく?曲がりくねった造成道を多くの選手が走ることとなりました。

 しかしこのレッグの最速は想定でも実行でも東の道に脱出し給水を取ってからコンタをするというルート。このレッグのトップは美濃部・鈴木と頭抜けていますが二人ともこのルートを取りました。

 落ち着いて10秒眺めれば見つかるチョイスを序盤、しかもインカレのロングレッグという高いプレッシャーのかかる環境下で選択させるという「ロングらしい」と言うに相応しいレッグです。

 さらに面白いことに、このレッグで3位の寺嶋と6位の波多野は西回り(おそらく4位の加藤も)のルート。伸びる距離をキロ5以下のペースで押すことで不利を補うという自身のフィジカル的特性をふんだんに活かしたチョイスが光るという点でも見どころでしょう。

「素晴らしい」ミドルディスタンスの例:野呂山Day2

 中国地方の端の地方大会だったのにあっという間にその噂が全国区になってしまった野呂山。国内テレインに似つかわしくない地形でイタリアを思い出しました。

 これまた序盤のミドルレッグ(2→3)が素晴らしい。比較的道が多くレッグの距離が長すぎれば道走り一択になるし、短すぎればコンピになるしという具合のテレインでどちらも回避する絶妙なレッグ長。

 線状特徴物も多く、東の道や西の尾根と植生界を使えばもちろんもっと容易に辿りつけますがあくまでも直線的に進むことが最速と想定されるレッグなのがポイント高め。

 他の皆さんがどんなルートを取ったのか聞き及びませんでしたが難易度300越えのレッグらしくレッグ長300mにしてはだいぶガッツリ差がついている、そんな気がします。

 加えて野呂山は全体的に視界が悪くパッと見でポストを見つけられる環境でなく、礫地や岩石群といった類似する群的特徴物が散在しているためそれらに惑わされない「確信を持ったナビゲーション」が求められました。

逆に…

 どこかの大会を揶揄すると私が炎上してしまうので控えておきますが、逆に素晴らしく「ない」コースというのはどういったものでしょう。

 ミドルに関しては私は「見えるミドル」というのは一様に酷いコースだと思います。特に視界が良いテレインなのに尾根や植生界といった見える箇所にポストを設置しているのはよく分かりません。ポストは最低限のコントロール確定点であって遠くから見える目印であるべきでないです。

 Lap Center頼りにはなりますが、巡航ミス率チャートで120/10以内の人数がクラス参加人数の1/4とかいう見えたら勝ちのランゲーオリエン

それらを踏まえて

 こういったミドルとロングの競技性、あるいはテイストの違いを踏まえて今回の神大大会のコースをプランするにあたって気をつけた点を網羅しましょう。

ポストを見せない

このコントロールはよく見えた。

 とにかくポスト位置にはこだわりがあります。それは「見せない」こと。遠くから走ってきてある程度の距離まできたらポストを発見〜次のナビゲーション〜。は?ふざけんなよ。

 「ポストが見えたらそのレッグのナビゲーションは終わり、あとは行くだけだから次のナビゲーションをしよう」って。え?その区間ってもうオリエンしてませんよね?走ってるだけで何が楽しいの?トレランでもしてたら?

 そういうわけでポストを設置する特徴物は基本的に見えない地形(沢や溝)や見えない角度(コブや凹地)にすることで「常にナビゲーションし続ける」という、ごく当たり前にすべきオリエンテーリングを演出したつもりです。

 そしてこれはミスタイム/率という項目に如実に現れます。神大大会で巡航120/ミス率10以内だったのは6人(私を入れれば7人)。出走者が125人いたことを考えると意外と少ないですよね。ガン飛びはしていないけど「アタックでミスの多い」人は10〜15%台に入るのではないかというのが持論です。

 これはより主観的な意見になりますがある程度参加者の来る大会で巡航120/ミス率10程度を出せばランキングポイント1800くらい出て全日本エリートなれるくらいが肌感しっくり来るのでそういう意味でも目安にしたいところでした。

 逆にこういう60数人走ってそのラインを越えたのが17人もいる、みたいな巡航によって順位が決まります系のオリエンテーリングは簡単すぎると思っているので少なくともミドルではできるだけ避けた方が良いコースだと思います。

 こうなるようではトレランでもさせてタイム順にした方がまだマシなレベル。

道を使わせない

積雪20cm。波賀の冬。

 このテレイン、紹介文にも記載した通りテレイン内に道が多いです。しかも小径とかいうレベルでなくガッツリ舗装路・主要道レベルのものばかりです。

 であるからこそこれらの線状特徴物を使われてしまうと先ほど申し上げた「避けた方が良いコース」へと成り下がってしまう訳です。

 それを踏まえてとにかくエリア移動以外で可能な限り「道を走る」という区間が無いか、あってもベストルートでは無いようにレッグを配置しました。

 結果としてチャートはいい塩梅にバラけてくれましたがやはりミス率10〜15%の人が多いのはぶっ飛びにくいというこのテレインの性質を表してのことなのでしょう。

実行難度>ルートチョイス

子供達が作るかまくら。

 ミドルでルートチョイスはいらない。コレは魂に刻んでおきたいものです。もちろん、ルートチョイスそのものを否定している訳ではありません。

 ココで言いたいのは「こっちのルートを選ぶのが勝ちだよ」みたいなチョイスを出題しないこと。例えばさっきのICL2024みたいなレッグってことですね(あれはロングだからOK、あくまで例)。

 通るルートは複数あれどそのどれもきちんとナビゲーションして実行していれば決定的なタイム差はつかない、問うべきは実行できるかどうか。そういうレッグがミドルで多いのが私は素晴らしいコースだと思います。

美しいコース

凍りつくシューズ。もちろん足も。

 コレは若干美学的な話になってくるのですが、オリエンテーリングにおけるコースというのは芸術だと思います。わかってくれる人いますかね?美しいことが大切なんです。

 今、芸術と言いましたがコース(レッグの回し)が美しいことは何も自己満足ではなく「見やすい地図」を追求するにあたって大切なことです(早すぎる前言撤回)。

 例えば鋭角なレッグが多いとか、ポスト同士が近すぎるとか、レッグ線が重なりかけて見にくいとか。そういうレッグがあったとしてもオリエンテーリングはできます。しかし、競技者がそのレッグ一本に気持ちよく集中するためにコースが美しいことはとても大切です。

紅葉が綺麗。

 また、美しいという評定は必ずしもレッグ線の形にのみ課されるものではありません。同様にレッグ線の長さにも着目が必要です。

 特にミドルは大胆な回しを取りづらく単調なレッグになりがち。コースを組んで気がついて見ればほぼコンピじゃないかと絶望した日もありました。各レッグで問うものを変えるという意味でもメリハリがあるコースが生まれます。

 そんなコンピみたいな練習会チック大会コースを生み出さないためにコースプランナーは日々様々なコースを観覧しその美しさに対する観察眼を磨いていく必要があるのです。冗談抜きでマジでやってほしい、ちゃんと。

コース解説

 気がつけばだいぶ長くなってしまいましたが、コースプランナー横江の渾身のコースを皆様に解説してご覧にいれましょう。PDFをスクショしてるので超高画質ですよ(笑)

 あ、りょうすけさんにも結構アドバイスは頂きましたが基本的な案は横江が組んでいた時代からそう変わっていないとここに記しておきます。多分のアドバイスありがとうございました。

目指したコース像

「これがインカレミドルだ!」と言っても遜色ないコース。

 大きく出たな、と思われるかもしれませんがそのつもりで組みました。一切の妥協はしなかったつもりです。

 昨今のインカレミドルは走って行ったら見える位置にポストがあったりと拍子抜けな難易度設定をしているので、ここまで書いてきたポイントを踏まえインカレに供されたとしても全ての学生エリートが満足でき、実力によって差が生まれ得るコースにしました。したつもりです。

 特にコントロールを置く位置を徹底的にこだわり、適切なルートを通ってさえいれば15番コントロール以外の全てのポストが至近距離、もしくはコントロールが設置された地形内に入るまで視認不可な状態としました。

 ここにポストがあるのだと確信を持ったナビゲーションを出来ているか、それを問うミドル・ディスタンス競技を名乗るに相応しいコースとなった自負があります。

 いつか「波賀のコースセットを見本にしてね」とか言われたい。言われたくない?

レッグ毎解説

△→1(167)

 さあいきなり難易度ぶち上げていこう!と入った△→1です。 当初はレッグ線途中にある沢にコントロールを置いていたのですが脱出を後続の人に見られる可能性があるとのことでこの案は没になりました。

 さて、赤の線で引かれているのがこのレッグのベストルート。正直他のチョイスはありません。このコースをいかに見つけ出し走ることができたかが明暗を分けるでしょう。

 特にレッグ線の方向へと森に入れば良いよう、多少読まないままに森に入ってもロスが大きく無いようコースの向きは設定してあるので頑張って欲しい。

1→2(97)

 ここからコンピに入ります。想定したルートは赤色、北の尾根を登り沢を渡ったらコンタリングをするというもの。一見アップ損に見えますが後々登っていくことを想定するとこの段階で登っても損はありません。

 登りを嫌って鞍部を通り抜ける青色のルートも想定はされますが礫地を通過せざるを得ず速度が落ちるのと距離が伸びるという点で尾根を切るのがベストと想定しました。

 また、アタックの際もコブが見えてもデフからコントロールが対角線上にあって回り込まないと見えないことまで読み取ってほしい。

2→3(53)

 コンピ②、同じ特徴物どうしを繋ぐレッグ。難易度自体はそこまで高くはありませんが左手に見える岩崖のついたピークに吸い寄せられないように。

 2番と同じく全く見えない位置にポストがあるのできっちり読み切って確実なアタックを決めて欲しい。正解ルートのコンタ下側からアタックすると侵入・脱出ともにしやすいですが、アップ損を決めた上側からアタックすると急斜面に足を取られます。

3→4(83)

 コンピ③、先ほど通った斜面の下方を横切るレッグです。線路があるので最悪そこ沿いに行けば助かるレッグですが当然直線的なルートを通るのが正解。

 赤色がベスト想定。細長いコブの下方を通過し沢を2回切って急斜面を乗り越えるルート。青色のルートも考えられますがタイム差はほぼないでしょう。オリーブに入りそうだから個人的にやめて欲しいかもー(笑)

4→5(155)

 コンピが終わりルートチョイスが生まれるレッグ。本来は赤色のベストルートを進むコンピレッグのつもりで組んだのですが、当日の積雪のせいでルートチョイスを選ぶレッグになってしまいました。

 赤色のルートがベスト想定。ピークを直登し降ったら礫地の通りやすい箇所を通過。柵の開いた沢を通り抜け崖付近の尾根を越えて白いエリアに出ます。

 当日の条件であれば赤ルートを通るのはリスクがあるので青か黄色。青ルートは線状に地形を使用できるもののハッチを横切る区間が多くタイムロスに繋がる恐れが。一方黄ルートは白い箇所を走れるもののピークの登り降りが急斜面となるのでそこで減速注意です。

 赤ルート以外では大きなタイム差にはならないと思われます。脱出直後に切り通しを使うことでアップを抑えられますがCハッチ内なので意外と足場捌きが難しい。

5→6(168)

 勝負レッグ①、ベスト想定は赤色のルート。不要な登り降りを抑えつつ通りやすい箇所を走り続けるチョイスです。途中のハッチエリアも下部はBハッチで比較的通りやすいので鋭い眼で見抜いて欲しい。

 複雑な地形を下から回避する青ルートもありますがこちらはほぼタイム差なし。脱出の流れに逆らってピークを登って尾根向こうの沢と尾根を線状に繋ぐ黄ルートも悪くはないですが赤より10数秒遅いと想定します。

 赤・青・黄どのルートを通ってもアタックでは尾根と沢を越え凹地に入るまでポストが視認できないので確度の高いアタック能力を問いました。ポストが見えたよという人は登りすぎです。

 また、紫色の道走りルートはアタックも容易で先読みも可能ですが脱出までが遠い点で赤ルートには及ばないでしょう。黄ルートとはいい勝負できるかも?

6→7(107)

 エリア移動の繋ぎのレッグ。ですが、地味に道を外れてからの処理に意外と慎重さが必要なレッグです。難易度は高くありません。

 道までの脱出は言うまでもなく、道を外れた後は登り気味にコンタし右手下方に湿地や礫地が見える位置をコンタしましょう。さらに尾根を越えると正面に沢が見えるのであとは詰めるだけ。隣の沢に入らないようコンパスを振ってくださいね。

7→8(123)

 勝負レッグ②、のつもりだったのですが案外みなさんスルスルっとこなしていたようで少し拍子抜けしたと言えなくも無い感じです。

 ルートチョイスというよりは複雑に横たわる地形をどういうふうに処理するかを問いました。地形をざっくりと捉えるのがポイント、尾根、道、尾根くらいでもポスト手前の尾根くらいまでは近づけます。

 あとは尾根を降れば向きの変わった沢が見えるので相対位置で現在地を把握しつつアタックという感じ。オープンもありますからポストを隠してもそこまで難しくなかったのでしょうかね。

 個人的に8番コントロールより南の沢を見てほしい。EAにマップアウトする可能性があるところは調査してと言われ1日かけて這いずり回りました。特徴物だらけで大変でした。

8→9(101)

 コンピレッグ。左手に見える大きなピークを巻くように進めば特に問題なくいけるでしょう。仮に多少ミスをしたとしてもすぐ先に道があるのでリカバリーは容易です。

9→10(72)

 エリア移動のレッグ。すぐに道に脱出できるので何も考えなくて良いです。道走りは緩い登りですがそこまで厳しく無いので全力で走りましょう。

 道の曲がりから鞍部かピークに向かってまっすぐ登れば越えてすぐに当該の沢にアタックできるはず。切れ込んだ沢の向こう側なので落ち着いて自信を持って行きましょう。

10→11(89)

 コンピレッグ。レッグ自体とはそこまで関係ないのですが11番コントロール付近の地形はこの地図を書き始めた頃から悩みに悩んで悩みすぎた結果この表現に落ち着きました。正直満足はしていません。妥協した結果です。

 とはいえこれも地形をうまく読んでこなすレッグ。赤線のルートをベストと想定しましたがコンタリングするにはいささか急すぎる斜面もあるので自身の判断でピークを巻いたりするなどの処理が結果的なミスタイムの削減につながります。

 ちなみに自分は急斜面のコンタが苦手なのであえて低木を右から回り込んでアタックすると言うやり方を取りました。

11→12(136)

 後半の勝負レッグ①、コンパスを振っておかないと傾斜に流されて南に脱出してしまいます。最初は尾根を越えると言う意識を忘れずに。

 道を超えた斜面にぶち当たったらひたすら沢を詰めます。ここでコンタを9本ほど登りますが今年のインカレの序盤の登りより全然マシなので頑張ってください。途中で左右の沢の分岐から赤と青のルートチョイスが生まれますがベスト想定は赤です。

 赤ルートはレッグ線から離れ距離が若干登るものの鞍部を越えてしまえば道を使ってアタックできます。一方青ルートは距離は近いながらも急な斜面と岩崖を通るので速度が低下する事に加え平らな斜面にある沢に横からアタックするという難しい技術が求められます。

 青ルートもうまくいけば赤とそう差はありませんが急斜面のこなしやアタックで戸惑うくらいなら多少距離が伸びるのを許容しても赤の方が速いでしょう。

12→13(219)

 後半の勝負レッグ②、今回のコースで最も難しいという判定になりました。正直ここがそうなるとは想定していなかったというのは秘密。

 脱出後右手に山塊を見つつコンタしたらそのままコンタし続ける赤ルートと一度大きく降ってしまう青ルートが想定されます。

 赤ルートは比較的白い箇所を走り続けられ途中の山塊にある急斜面さえうまくこなすことさえできればあとはコンタするか降るかで鞍部まで辿り着けます。尾根から沢を見ながらアタックできるのでアタックでミスをする可能性も少なくなります。

 一方青ルートは距離自体を短縮できるものの途中の沢にある礫地とB薮、山塊のコンタに至るまでの複雑な地形のこなしを行わなければなりません。加えてアタックも緩めの地形の尾根を斜めに切るという難易度の高いものです。

 以上のことを踏まえると赤ルートの方が最適なチョイスと言えるのでは無いでしょうか。青ルートも完璧にこなせる上級者であれば選択肢だと思います。

13→14(40)

 コンピレッグ①、尾根を辿る安直なレッグと思いきや手前に同じ方向に伸びる尾根があるのでそちらに気を取られ吸い込まれないように注意。

 なお、試走時にりょうすけさんは見事に吸い込まれて行きました。皆様は上手くこなせましたか?

14→15(57)

 コンピレッグ②、道に脱出した後そのまま道を走り続けるか、尾根から思い切ってオープンを切ってしまうかの2択のレッグ。

 コース終盤ということもありここまで上手くいってる人は無難にスピードが出せてミスをしない青ルートをチョイスするのも一興。ここをキロ4で飛ばせれば赤ルートを上手くこなすのと同等のタイムが出ると想定。

 しかしやはり走れることを考えると大きな沢を切ってしまう赤がベスト想定。上手くこなせる方、体力の残存具合を見てまとめましょう。

15→16(120)

 後半の勝負レッグ③、のつもりだったのですがそこまで大きな差がつきませんでしたね。プランナーのベスト想定は赤ルート。尾根を登りアップ損が出ないようコンタし鞍部を越えたら道を走り沢に飛び込みピークを巻きアタックするルート。

 鞍部を通る前に青ルートのように少し登っても良いですが急斜面を降ることになるので多少遅い。道を走らず湿地を切ってしまう黄ルートも考えられアタックでアップ損がないのが魅力。上手くこなせればこれはアリですね。

16→17(69)

 ラス前コンピ①、道まで各々の方法で脱出したら尾根を一気に超えるだけ。乗り越えたらポストが見えますよ。

17→18(92)

 ラス前コンピ②、侮れないコンピ。このエリアには夥しい数の隣ポが存在します。見える人は3個途中にあったはず。

 当然、正解は一つしかないので番号をきっちり確認して落ち着いて対処しましょう。

18→19(38)

 ラス前コンピ③、最後くらいはまっすぐ行ってもいいよという気持ちのレッグ。視界は良いのでもうラストコントロールが見えているはず。

19→◎(15)

 頑張って走ってください。降りなので。

結果を見て

Lap Center

 20位までのタイムはこのような感じとなりました。参考記録の人が遅いですが、朝メシ抜き+寝坊で爆速準備だったので許してください。

 結果としてトップと20位で10分の差が生まれタイムもいい感じにバラツキがあってみんなアタックでたくさんミスをしたんだなぁと勝手にしみじみしております。

 ランキングポイント的にも巡航115、ミス率8%の自分で1800手前くらい。これくらい出せば全日本エリートかなという肌感にも合うコースセッティングだったと思います。

 先ほどご覧にいれたこの巡航/ミス率チャートもいい塩梅。走れる人でもアタックでどれだけミスを重ねたか、上手くこなせたかの僅かな差で勝敗が決まるミドルらしい結果にできたのではないでしょうか。

海外を走って得た感想

 あまりこういうことを言うとまたかぶれとか言われちゃいますが、ぶっちゃけると日本のミドルは簡単です。もちろん難しく調整されたコースもあるにはあるのですが傾向として見える位置に置きすぎな印象を受けます。

 特に望郷のようなリロケが難しいテレインならともかく、地形的特徴がはっきりとしているテレインで見える位置に置いたら誰でも行けて当たり前。あまり蒸し返したくないですが走力で勝負が決まるならそれはTTかトレランで良いんですよ。

 これはとあるWREの地図。Cansiglioの微地形が発達した難易度の高いテレインです。もちろんこのテレインの素質自体が難易度をガッツリ引き上げてはいますが注目したいのはポスト位置。徹底的に隠されています。誰もすっとぼけた尾根上にポツンと置いたりしないのです。

 道がある、リロケしやすい、地形が明瞭、そういう性質をどうしても持ってしまう「簡単な」日本の森でどれだけ攻めたコースを組めるかという問題はありますが、少なくともミドル・ディスタンスを名乗るのであればそういったコースを組む努力はすべきです。

WOCみたいだね、でも難しいかも

 樹さんに感想をお聞きしたらこんなお返事が返ってきました。ポスト位置を徹底的に隠した結果「WOCみたい」そんな感想を持っていただけたのであれば本当に光栄です。泣きそうになりました。

 一方で難易度が高めかもねという言葉も。確かにインカレミドルと比べたらひっくり返ってくたばるくらい細かい部分の難易度を上げたつもりでした。

 でも、テレインが白くて走りやすくて簡単、そんな波賀で最高のコースを組むならばアタックを難しくするという選択肢は適切だったと思います。ミドル・ディスタンス競技のあるべき姿を目指して。

おわりに

 長々とお付き合いありがとうございました。波賀でコースを組むのはとても難しかったです。地形的制約、舗装路の存在、隠せないアップ、それら全てを克服するコースを組む仕事でした。

 結果としてコースプランナー横江として満足の行くコースが作れました。インカレのコースプランナーだって今ならできる自信があります。大袈裟すぎますかね?

 デフが沢まみれになったり、アップがちょこっとキツかったり、エリアが狭かったりと少し心残りな部分もないわけではないですが、多くの方に「難しかったけど楽しかったよ」と言って貰えて感無量でございます。

 次は…どんな大会でコースを組むか分かりませんが、少なくともフォレストで、そしてミドルディスタンスを担当する事があればきっと皆さんを満足させることのできるコースを組めるよう全力でまた取り組みたいと思います。

 何なりとご意見頂戴できれば私としてもコースプランナー職の成長につながりますのでよろしくお願いいたします。

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