はじめに
どうも、Twitterを辞めたpolarisです。私はトレイルランニングの大会というものに非常に否定的で嫌いであるという前提を踏まえた上で、その大会がどんなものなのか体感するべく4月20日に神戸市で開催された「Kobe trail」という大会に参加してきました。
9000円という高額な参加費を払った上、事前に試走までした「割とちゃんと出場するつもり」で参加した感想、発見した問題点、改善すると良くなるポイント、その他について書き連ねて参りますのでぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。
基本的にオリエンテーリングの大会の競技性やクオリティを念頭に置いています。
結論
さて、まず初めに「Kobe trail」に参加した結論から申し上げます。
高い参加費に見合わない競技・運営のクオリティ。
参加費が2000円なら考える。同じコースを自分で走ったほうがよっぽど良い。
注意点
なお、今回の話をするにあたってトレイルランニングの大会という全般に話題を広げていますが私が参加した「Kobe trail」という大会を根拠にした物言いです。
他の大会ではもっとちゃんとしているのに…という可能性もございますので、一回参加してみてどう思うかご自身で考えるのが妥当と思います。
とはいえ、自分の私情を排除した客観的視点からの指摘を心がけますので、一般化するに十分だと私は考えますがね。
「Kobe trail」について
どんな大会なのか
詳しくは大会HPを見ていただきたいですが軽くどんな大会なのか紹介しておきましょう。
- 開催日:2025年4月19・20日
- 距離:21K/15K/4K
- 参加費:¥18000/¥9000/¥6000
- 提供:SALOMON
- 特別情報:GTWS第1戦
必要な情報としてはこんなもんでしょうか。昨年2024年より始まったレースで今年で2回目の開催。昨年開催されるという情報を聞いてふざけた大会をするもんだと憤りを覚えたことが頭に残っています。
とはいえ、オリエンティアでもお世話になっているSALOMONがプロデュース(宣伝に「powered by SALOMON」と書いてあるだけで協賛だけっぽい?)していることに加え、GTWSというワールド・シリーズの一戦ということでしっかりした大会ぽいですね。
GTWS
「GTWS」という聞きなれない単語、もちろん私も聞きなれておりませぬ。Chat GPTとHPの情報によるとどうやらこんなシリーズ・レースらしいです。
サロモンによって設立された世界唯一のトレイルランニングレースシリーズ。
シリーズはワールドシリーズと、国・エリア毎のナショナルシリーズで構成され、世界のトップトレイルランナーが集結しNo.1を競います。
ワールドシリーズは通称「GTWS」と呼ばれ、2025年はヨーロッパと北米を中心にアジアの二カ国も追加した全8戦+最終戦で構成されます。
なるほど、要するに世界大会ってことですね。自称じゃなくてSALOMONが設立したって書いてますしさぞかししっかりした大きな大会なんでしょうね。すごい。
実際スイスのトップオリエンティアや日本でも有名なトレイルランナーが多数参加していて随分と盛り上がる大会らしいです。へぇ(小並感)。
実際に走るよ!
試走(2月17日)

流石に試走くらいはね、大会に参加する人なら誰でもするよね。だって事前に通るコース公開されてるんだから。しない意識低いやついるわけないよね。
ってことでお前ちゃんとやってないやろという言説を封じるためにわざわざ高い交通費を払って掬星台にやってきました。ここまで来るのに往復でなんと3000円以上掛かってます。六甲山なのにバカらしい。
荷物置く場所はないので全部持ってとりあえず周回。全力で走って回るというよりきっちり何処をどういう風に通るのか確認する感じです。六甲山は庭なのでわざわざするまでも無いですがイレギュラーがあるかもしれんですから。
結果として2時間42分くらいで試走終了。タイム的にはレースペースなら総合入賞、今日のタイムなら年齢別で入賞かなってくらい。まあ直前にスーパーで転んで怪我したとか、睡眠3時間とかを加味すると悪くは無い感触でした。
レース(4月20日)

レース当日、一緒に出る職場の先輩と掬星台に高い交通費を払って乗り込みいざ準備。手を抜いてると思われると困るのでテーピング、レース前のアップ、アミノバイタルも飲んで準備。
試走の時はザックからin ゼリー取り出す仕様でしたが、ちゃんとジェル系飲料も十分な数用意して飲み水も片方(500ml)は経口補水液にするなど考えつく準備は全部しました。

ほんでま、レース走ったわけですが結果は総合24位/年齢別7位の2時間47分という惨敗。試走より準備万端な癖に遅くなってて草ともう大草原な結果で悲しくなりましたね。
敗因としては試走の時より気温が10度以上高い(当日の最高気温は21度)だったことと、ループ2の尾根の取り付きでギアをあげたのが原因でバテたのが理由でしょうか。高温に弱い自分の弱点が突き刺さった感じ。
良かったポイント
荷物置き場
会場にスチール製のラックが並べておりそこに荷物を置いておける様になっていました。誰かが見ていたりする訳ではありませんがそこら辺に放り出しておくよりも気持ち安全というのは間違いないです。
会場が近い
とりあえず近い、距離感的に参加へのハードルは低めなので参加に抵抗感を持たなくて済むのは良ポイントだと思います。
昼出走
スタート時刻は1305だったのですが、これは恐らく一般登山客との動きを逆にするため。多くは朝に登り昼に下山するのでスタートを昼にすることで少しでもすれ違いを減らそうとした努力を感じました。
悪かったポイント
一覧
- 高額な参加費
- 低質な競技・運営
- 不適切な誘導・コース管理(自分/トップ選手)
- 競技に対する誤認識
- 明示されない会場誘導(ループの切り替え時)
- 無駄な参加賞
- 雑な運営リソース配分
見合わない参加費
とにかく高額

まず真っ先に挙げられるのがこの点でしょう。「参加費が高い」という問題です。
聞いてびっくり、21Kは18000円、15Kは9000円、4Kは6000円という距離に対しての高価格を設定しています。これはこの大会に限った話でなくトレランの大会全般が高価格設定です。
しかしこう思うでしょう。「高い」って基準は相対的で絶対的じゃないよね。はい、その通りです。であるからして次のポイントに着目する必要があるのです。
低質な競技・運営
参加費が高くとも競技や運営の質が高ければ何も文句を言いません。高級レストランに高額な料金を支払ってでも行くのはそのホスピタリティの高さや料理の質が高いことをもって納得されているわけですね。
オリエンでも通常多く見られるよりも参加費の高い大会はいくらかあります。東大大会や遠方で開催される大会、あるいは新規開発のテレインは準備コストが高かったりブランディングやコースの質で納得させられるだけの「価値」があるものです。
つまり参加費を高いと感じたのは競技や運営の質が低かったということ。1万円払って1万円のサービスを受けられたなら誰も文句を言いませんからね。
そんじゃ何がそこまで酷かったのか、競技→運営の順に見ていきましょうか。
不適切なコース管理(自分の場合)

まず、自分がハマったミスポイントとして適切にコース誘導を辿れなかったという点があります。ループ1で摩耶別山を登り切った後のロード、そのロードのΩをショートカットする小径に入り込んでしまいました。
ここに至るまでの下りのロードで進行方向左手の薮についていた短冊(黄色線で表現、ライン状の誘導でなく不定期な短冊)をたどって走っていたので、右手に曲がる赤色の順路でなくショートカットする青色の道に入り込んだという形です。

現地の様子を見るとはっきりわかります。黄色のマーキングが実際の短冊の位置です。ずっと左手に誘導がついているのを目線で追ってきていたので、左手の小径に入った先に短冊の誘導が続いているものと思っていました。
しかし実際は赤線の方が正しいルート。次の短冊が目線を右に移動させないと見えない位置にある(俺はここまでずっと左を見ている)ことを考えるとミスするのも無理はありません。
私だけがミスをしたならお前の不注意だと言えるかもしれません。が、小径を中盤まで降ったところで短冊がないのと前方を走る選手にありえないタイミングで追いついたことから間違いを認識。その際、同様に同じ小径に入り込んでくる選手が2人もいました。
つまり自分以外の選手も同様のミスが発生していること、そしてループ3の終盤でこの箇所にコーンと看板が追加されていたという状況証拠を踏まえると「客観的に見てミスをする不適切な誘導」であったと言うには十分すぎます。

オリエンテーリングにもこのような誘導区間は往々にしてありますが、当然のこととして入り込む可能性がある小径がある場合には、それを見越して適切な誘導が行えるように対処します。
例えば今回の場合、そもそも左手ではなく右手に誘導をつけるべきとか。人間は目線を向けている方に進むという習性があるのはご存知の通りなので間違える可能性がある分岐で右に行くなら誘導は当然右にあるべきでしょう。
仮に渉外上や何かしらの都合でそれが叶わないなら小径を封鎖するように短冊でなくライン状にテープを張るとか、あるいは看板で進路を示すとかいくらでもやりようがあります。

と、ここまでさも私が間違っていたかのように話しましたが提供されたGPXファイルは明らかにΩをショートカットしているのです。わろた、舐めてんのか。コースマップもショートカットする道に線が引いてありました。
つまるところ誘導の短冊がただただ間違っていただけと言う話。つまり俺が正しくて運営が間違ってるってわけ。誘導の付け方も不適切だし、そもそも通るべきコースに誘導をつけれてないですよというあり得ない話でした。信じられんね。
前日のGTWS走ったトップ選手たちも車道走ってるので、トレランというのはあまり厳密にコースってのが決まってないんかもしれませんね(笑)
不適切なコース管理(トップ選手の場合)

出走前のアナウンスでこのようなことが言われていました。「昨日のレース(GTWS)でもトップを走っていた女子選手がロストして順位を大きく下げたので短冊を見失わないように注意してください。ナビゲーション大事ですよ!」と。
なんかいい感じの注意喚起にしてるつもりなのか知りませんけど、決まったコースを短冊で誘導している上で、競技者がそれを見失ってしまうのは競技者の不備ではなく運営者の不備ではありませんか?

またこちらは某日本のトップトレイルランナーのレースのログですが、先のΩをしっかり回っています。そっち、コースじゃないのにね。
これを正常なコース通るだけで3周回合わせれば1分近くタイムが短くなるでしょうがそこまでコースが正しいことは重要ではないみたいです。
タイムを競っている競技なのに不思議です。私にはよくわかりません。

そしてこちらは某トップオリエンティア。件のΩの北側に位置するΩ…ショートカットしてるじゃん…良いんですかこれ…
決まったコースを通るのがトレランであるはずなのですが、別にコースを短縮したとしても何も言われないとなると収拾がつきません。19日は存じ上げませんが20日にはこの位置にはコース係員がいたはずなのでどうしてこうなったのか。
何はともあれこんな感じで適当なんです。本当に。
競技に対する誤った認識

トレランの大会の最も大きな欠点としてナビゲーションの主体が競技者なのか主催者なのか未だ明確でないと言う点を挙げます。
多くのトレイルランナーが持つ「常識的な」考え方をするのであれば、競技者が事前に示された適切なコースを自身の責任で地図を見てナビゲーションしそのタイムを競うという風に認識しているようです。
しかし実態としてはどうでしょうか。GTWSを走る選手は何も持っていません。せいぜいウォッチに取り込んだGPXファイル程度。地図やコンパスを持っている選手なんていません。翌日(私が参加したレース)の競技者に関しても地図やスマホを見たりして逐一ナビゲーションをしている人間などいませんでした。
つまり定義に反して、実態としては主催者が設置した誘導によって示されたコースを辿ることが普通となっているわけです。であるならばその実態にそぐう形で誘導は設置されているのでしょうか。

答えは否です。トップ選手でさえミスをしてロストしたりコースを短絡したり、間違った誘導を辿る。先に示したような客観的にミスが生まれるようなポイントでミスをするような短冊の設置がされています。おまけにそもそも誘導が違うと。
コースを覚えていないのが悪いという意見もあるでしょうが15kmという長い距離のコースを一レースのために隅から隅まで全て暗記するというのは実に非現実的です。書いていない小径や地図のコンタに表記されない地形などいくらでもあります。そう言うならやれるもんならやってみろという話です。
まとめるとトレランというものは「『実態として』主催者がコースに対して管理を行うべきであるにも関わらず、野良のレースどころかワールド・シリーズまでその点がお粗末な競技」と結論づけられます。

その論を補強するものとして、一般財団法人日本トレイルランニング協会が提示しているトレイルランニングレース競技規則第1章第1条の2において上記の画像のような文言があります。
トレイルランニングレースとは専門的な山岳装備を使わず行われる健脚を競い順位をつける競技である、と。
つまり競うべきは健脚であってナビゲーション能力については問題外なのです。マラソンと同じでナビゲーション能力は必要とされていないのです。

また、日本陸上競技連盟規則第9部第251条総則1のbにおいて上記のような言及があります。これを解釈するにトレイルを走るレースにおいて競技者が特別なナビゲーションスキルを有する必要がないということは明白です。
つまり、どれだけ未熟な競技者(この場合初心者などが該当)が出場したとしても正確にコースを辿れるよう管理する必要があるということ。世界のトップ選手ですらコースをロストするような出鱈目な管理を行なっているという点は上に挙げた規則等で十分に明らかです。
それはつまり「『実態として』だけでなく『規則として』も主催者がコースに関して管理する」という事実に他なりません。

コースのロストを「自己責任」であると主張するトレイルランナーもいるようですが彼らは何を根拠に自己責任を主張するのでしょうか。競技規則というものをご存知ないのでしょうか。
少なくとも私が見た限りでこれらの競技規則にロストが自己責任である、あるいは競技者はナビゲーション能力を有する必要があるというような言及は発見できませんでした。
つまり自己責任というのは「勝手に言ってるだけ」な自己に都合のよい妄言でしかなく、競技規則によって明確に定められたものではないのです。
結局この後やり取りしましたが「マナーや常識だから」の一点張りで根拠のある主張は引き出せませんでした。仕事でも属人的な主張は敬遠される時代にマナーや常識が競技スポーツに通用すると思っているだなんて残念。子供がいる大人の競技者の認識がこのレベルとは、競技全体の程度が知れます。
明示されない会場での誘導

この大会のコースは複数のループから形成され掬星台という拠点をスタート・中継所・フィニッシュとして活用しています。つまりこの掬星台を複数回コース状で通ることになっているのですが、逆にいうとそこまでしかわかりません。
どういうことかというと、具体的に拠点のどこをどういうふうに通過して次のループへと移行するのかということが全く示されていないのです。

オリエンテーリングにも似たような場面はあります。そうですね、リレー競技です。次の競技者の期間を知らせるためにビジュアルがあり、次の走者にバトンタッチするチェンジオーバーレーンなどがあります。
これらは拠点となる箇所を通るのが常ですが、その際競技者がどのような動きをするかというのは要項で当然のように明示されています。
上記の画像は2024年のインカレリレーの図。このような複雑な誘導になればなるほど事前の告知はレースを走る競技者にとって重要であることは言うまでもないでしょう。

頑張って当日の誘導の形を書きました。実際の位置とは多少のずれは当然ありますがおおまかにこのような形でコースをこなすという参考までに。
まずループ1は青のルートで西に進み車道を降ります。周回してきたら水色のルートで会場内を通過し赤ルートのループ2に入ります。
ループ2を周回してきたら薄赤のルートで掬星台に戻ってきてスタートレーン付近を通過しループ3に入り、ループ3を周回してきたら黄緑のように車道を登ってきてゴールレーンにフィニッシュという感じ。
どうですか?わかりました?わかんないですよね?そう、わからないんです。走った後に思い出して描いても複雑だなと思うのに事前の明示もなく走らされたらどこをどういけば良いかなんてさっぱりわかりません。

こんな会場レイアウト図で示した気になっているのか知りませんがこれでどうやって理解しろってのか理解に苦しみます。エイドの右方か左方かどちらを通るのかすらこれでは分かりません。先のインカレのレイアウト図と比べてみてください。
私は試走に行きましたし掬星台は何度訪れたかわからない庭のような存在なのでこう行くんだろうと想像できたりしますが、必ずしも全員がそうではないし遠方から来た人なんかは試走なんてする余裕はないでしょう。
様々なクラスの競技者が複雑に交錯するこの広場をレーン形式ではなくおおまかな広場に置いてあるコーンの表記(矢印)を見て理解しろと言うのは実に不親切な話。しかも掬星台はコースのトップに位置するので競技者は長い登りを終えた直後です。そんな頭に視覚での判断を要求するなんて相当に無理があります。
その上、どのように会場を通過するかなんて決まりきった話なのだから事前に情報提供できるはず。同じ箇所を何度も通過するならその誘導が複雑になるだなんてダチョウでも分かります。それをしない運営は怠惰なのか、レイアウトが決まらないからなのか、はたまた思い当たらないからなのか。
無駄な参加賞

受付で配布物を回収して驚きました。注文してもいないTシャツが入っているではありませんか。どういうことだろう…と思いましたが、HPを見る限りこれは参加賞、らしいですね。
いや、普通にいらね〜。何これ、何でこんなん勝手に用意するわけ?何なんすか?
デザインに関しては趣味嗜好があるから置いておくとして、何とも悪質な商売やってるものか、いわゆる抱き合わせってやつじゃないですか。どう考えてもこのTシャツの原価と参加費に含めた定価の差額で利益出してるじゃん。

しかも普段着るものより数段大きいサイズを勝手に押し付けられたから普通に着ないのでゴミ箱行き確定。自己満Tシャツ押し付けてくるとかいい加減にして欲しいものです。
しかも素材コットン100ですよ?スポーツイベントでコットン素材のTシャツ配るってどういう感性?おまけに別にSALOMONの製品とかな訳でもなく安いアパレル製。本当にただ自己満足で作ったみたいなTシャツ。
Tシャツの販売はどうぞご自由にって感じだしそこに関して言いがかりをつけるのはナンセンスですが、勝手に望んでもないゴミを押し付けられるのは本当にいただけない。
同じアパレルブランドで働く身から見ても、衣類として低品質。生地薄いから安見えするし混紡糸じゃないからすぐにシワになる。ユニクロでエアリズムオーバーサイズコットンTの5分袖買う方がよっぽど満足度高いです。
雑な運営リソース配分

このKobe trailというイベントは「都市型トレイルランニングエンターテイメントイベント」とのこと。その位置付けの中にGTWSというワールド・ツアーがある様です。
そう銘打っているだけあってなんかよく分からないイベントもやっているみたい。他には掬星台にマルシェを置いたりと盛り上げようと色々取り組んでいます。
が、それよりもっと誘導しっかりするとかさ、会場の案内図をきっちり作るとかさ、トレランにもっと純粋に取り組める様にした方が良い要素が上記の通り多くて、リソース配分をどう考えているんだろうかという感じ。

また、これは複数人の方からお伝え頂いた伝聞情報なのですが、ボランティアに対する仕事の振りがかなり適当だったとのこと。
例えば事前のボランティアに対する仕事の説明がないこと。誘導や受付などなど、当方トレランの大会運営を行ったことはありませんがボランティアにさせる仕事はそのあたりでしょう。
当然、オリエンなら事前ミーティングやパートマニュアルといった手段で仕事を共通化しそれぞれの対応を円滑にするといった対処を行いますが、どうやらそういうのもしていないよう。
また、当日に準備された誘導コーンやテープも足りなかったとのことで。確かに走りながら先の短冊のルート間違いを指摘しても「人員いません!」と返されたのであれもボランティアだったのでしょう。
幸いなことに多くのボランティアさんは大きく身振り手振り使った全力の誘導で競技者をコントロールしようと対処していたみたい。実際そんな方を多く見かけましたから本当に感謝しかありません。
分かったこと
競技とはいえない

まず第一として「競技」というにはあまりにも規則の整備や運営体制が未熟です。
コースを辿ることに関すること一つとってもその義務が競技者に課せられるものなのか、あるいは主催者に課せられるものなのかという点について規則の整備はなく、また競技者の認識がそもそも規則に至っていない場合が多いようです。
多くは「そういうものだから」とか「マナー・常識」と言った人それぞれに価値基準があるあやふやなものをやんわりと繋げて満足しているだけのよう。
厳密さや公正さにこだわるような気配は全くないのでそこを期待して競技に臨むと足元を掬われます。私のように。
ルールが統一されていない

驚いたことにトレイルランニングのレースに共通する規則というのはないようです。もちろん先に挙げたような一通りの競技規則はあるようですが、恐らく中央管理団体がなくそれぞれの所属団体によるという感じなのでしょうが。
つまり組織による大会のコントロールができておらず乱立している状態。競技規則には則らないけどオリエンテーリングやります的なもの。それオリエンちゃうやん、もどきやん。
オリエンテーリングの大会は原則として日本オリエンテーリング競技規則に則って執り行われ、それから逸脱する場合はEAによるチェックや逸脱の告知を行うとされます。その厳密さと比べると実に曖昧です。
そういった規則や責任を「明確にせず曖昧にする」というのは実に日本的だなという感じがしますが、昨今そういう風潮は消え去って久しいと思われるのでそろそろやめた方がいいと思います。少なくとも競技とは言えないので、参加するならそこを心得ておく必要があります。
コースはそこまで気にされない
だいぶ上の方で話しましたがコースを短絡しても問題にはならないようです。レース中も頑張って守ろうとした俺の努力を返してくれよ…
こういう点一つとっても到底競技とは言えませんね。コースの短絡なんて明らかにルール違反なのにそれが罷り通るような界隈なのですから。ズルなんてし放題です。
団体のトレイルランナーは邪魔
これは常々申し上げてきたことですが、団体様でやってくるトレイルランナーというのは本当に邪魔です。自分のタイムのことしか考えていないので基本的に一般登山客に道を譲る人はいません。
実際、自分が走っていても数人のランナーの列をかわすために延々待っているおじおばを縦走路の下りで見かけました。本当にお邪魔して申し訳ない。
特に数百人単位で一気に出走するものですからその初動にでも当たってしまったら…もうこの世の終わりみたいな時間待つことになります。
参加費は見合っていない

オリエンテーリングの大会を開くためにはイベントそのものの開催や準備だけでなく地図の作成やコースの設定といった特殊な著作物を作成する作業が待っています。地図やコースには毎大会で異なるものが要求されそのハードルも規則に縛られることで高いクオリティを担保している場合が多いです。
一方でこの大会は昨年と同じコース、また整備の必要がない既存の登山道をコースとしています(一部そうでない区間もある)。その点を加味して考えるとコース設定等にかかる労力が0に近いにもかかわらず高額な参加費を徴収されるのはまず間違いなく見合っていません。
また、予算の振り分けとしても備品の十分な数の準備であったり当日動員される役員への報酬を削って、ディスコやマルシェ・選手の招待という演出にお金を使っています。
そういう「全体の雰囲気とかで盛り上がりたい」みたいな「ちょっとしたフェス with トレラン」という認識で参加すればガバガバな競技体制でも納得できるのかも知れませんが、トレイルランニングを楽しむことを期待していくのは間違いです。
学んだこと
「競技」についての考え方が違う
トレイルランナーの競技に対する考え方は非常に曖昧で未熟です。日本では2000年ごろから普及し始めたという非常に歴史の浅いスポーツであること、そして参加者となる層が自身が一人の「競技」者であるという自覚や責任を持つ人が少ないことがその原因と推察します。
我々は統一されたルールや競技規則の元で公平公正に勝負することを是としますが、トレランでは曖昧なルールの中で自己の責を追求するというのが是と見ていて・話していて感じました。
「ナビゲーション」の認識違い

驚いたことにトレイルランナーは自身が「ナビゲーション・スポーツ」をしているという認識なようです。私はトレランのこと(少なくとも大会においては)を「決まったコースを誰が最速のタイムで周回するか」という健脚を競うものと解していたので藪から棒でした。
まさかトレイルランナーに「健脚を競いたいならロード走ってろ」と言われるとは夢にも思いませんでした。それは山で君らがやってることじゃないか。ナビゲーションスポーツをやっている人間にトレイルランナー如きがナビゲーション能力でマウントを取ってくるとか笑止千万。流石に笑いが止まりませんでした(笑)
彼らにとって山野に設定された決まった道を進むことは「ナビゲーション」と認識されるようですからそのままどうか幸せに生きていてくださいという感じ。一生レールの上走っとけ。
ちなみに本記事でナビゲーションという言葉のニュアンスについて書き分けるのが面倒くさかったのでトレランのそれとオリエンのそれをごっちゃにしているように見えるかも知れません。悪しからず。
問題が引き起こされた理由

こうして私は2022年に開催されたクレフェスの後の事件が発生した理由を察しました。何が起きたかというと、とあるトレイルランナーが大会地図を使って後日テレインに無断で侵入し勝手にオリエンテーリングを行なっていたというものです。
偶然、希望ヶ丘だったから、偶然地権者が許してくれたから、今でもあのテレインは使えますが、一歩間違えればテレインも地図も全て無駄になるところでした。
しかし今回の大会に参加して理解しました。彼らに「ルールや規則」という概念はないのです。そういうスポーツの世界で生きていないから。
オリエンテーリングを彼らがやるスポーツと同様の適当でも許されるものと捉えていて、厳密な規則の上で渉外や諸準備を行なっているという認識、そしてルールや規則の存在に思い当たらないから渉外問題の火種となるのでしょう。
そうやって仮初の自己責任(世間では無責任と呼ぶ)を押し付けてくるから、勝手に地図を使ってテレインに入ろうという発想になるのです。その地図は誰が作っているかに考えが及ばないのです。
交わる必要はない

これらを踏まえて改めて強く思ったのはトレイルランナーをオリエンに引き入れる必要はない、ということ。
もちろん、自分の好みで参加することはご自由にという感じですし、多くの人にオリエンテーリングの面白さを知ってほしいとは思っています。トレイルランが森を走るという点では似ているという主張も理解はします。
が、そもそも「競技スポーツ」に対する認識がこれだけ違う属性のものを、教育無しに引き入れることは問題を増やすことに他なりません。オリエン→トレランはその適当さ故に許されるかもしれませんがトレラン→オリエンの流れはあまりにも危険すぎます。
一つ上の見出しの件、わかる人にはその恐ろしさがよく分かるでしょう。自分も1年間苦心して渉外先と信頼関係を構築し身を削って地図を描いた波賀で、無責任な者に同じことをやられたら背筋が凍ります。いえ、それどころではすみません。きっと手を血に染めてしまいます。
競技人口が減ってしまう?大丈夫です、任せてください。私たち大学生が精一杯頑張ります。だからどうか「郷に入っては郷に従う」ことができる人を招待していきましょう。
結論
出る価値はない
ここまでの情報を考慮して最終的に出した感想は以下の通りです。
高い参加費に見合わない競技・運営のクオリティ。
参加費が2000円なら考える。同じコースを自分で走ったほうがよっぽど良い。
わざわざ書きませんでしたがスタートで渋滞してタイムロスすることとか、1日経っても結果が出ないなど挙げ出せばキリがありませんが、トレランという競技のクオリティを期待して参加するべきではありません。
あちらでは一般的かもしれませんが、競技に対して公正であることを是とするオリエンテーリングの環境そのままに参加するとあまりの差に愕然とするばかりです。
加えてトレランのコースはその多くがいつでも無料で走れるものばかりです。GPXファイルだけ頂くか、自分でコースを設定して、自分で走りに行くのが幸せになれる方法だと結論づけました。
今後トレランのレースに参加することはないでしょう。そもそもこの一回も検証のためでしたから。
おわりに

これは心底思ったのが「オリエンってすごい」ってこと。地域クラブどころか大学クラブがあれだけ多数の競技規則を遵守し高いクオリティの大会をコンスタントに開いているというのは本当に稀有な界隈だと痛感しました。
その理由はそもそも地頭の良い学生(一般に言う高学歴)が参加者の母体となっていることでルールを遵守することをそうあるべきものとして捉えられているからでは無いでしょうか。
共通化されたルールというのは競技を公正に執り行う上で必要不可欠なことです。その際には多少面倒なこともあるでしょうが、ルールや規則を守って大会運営する事こそがこの「公正」であり続ける業界の継続と発展に寄与していくことと私は信じています。

と、いう感じで終わりです。まあ、結局のところオリエンテーリングのようにタイムにこだわるとか順位にこだわるとかそういう競技的な厳密さをトレイルランニングの大会に求めるのがお門違いということです。
コースは短絡もOK、誘導は適当、参加費はぼったくり!彼らは彼らなりの適当な競技を楽しんでいるのですからそれを邪魔するのも野暮でしょう。それが楽しいと思う人も一定数いるようですから。競技とは口が裂けても言えるものではないですけどね。
大した内容も無いものに高い金を払うくらいなら、もっと良い山に参加費を交通費にして登る方があらゆる意味で良いお金の使い方でした。
それではまたどこかで〜👋
追記:4/23
トレイルランナーの皆さんには個人的な意見をお見せしてしまってだいぶ嫌な思いをさせてしまったかと思います。配慮が至らず申し訳ございませんでした。
もっと適切に疑問点などに着目していただきたいと思い再編集版を投稿しました。気が向けば読んでいただければと思います。
改めてこの度は大変申し訳ございませんでした。
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