皆様、どうもこんにちはこんばんは、polarisです。ようやく冬の寒さもいくらか本格的になってきて雪山に行きたい欲が深まると同時に寒くてお布団から出たくない欲が高まる季節ですね。
今回は23FWシーズンの新製品として登場したmont-bellの「トレールホッパー」というトレイルランニング向けのシューズについてレビュー記事を書いていきたいと思います。
これまでmont-bellのローカットシューズと言うとパッとしない旧来の考え方にとらわれたモノばかりだったのですが、遂に遂に真の意味でトレランシューズと言うことができるようなシューズが登場しましたのでご紹介致します。
総評(はじめに)
従来製品から抜本的な構造の見直しでmont-bell史上最もバランス良く仕上がったローカットシューズです。ロードランニングからトレイルランニングまで対応できる高い汎用性と素晴らしいクッション性が特徴。
製品概要
- 【価格】¥16280
- 【品番】1129693
- 【素材】アッパー:ポリエステル・ポリウレタン
アウトソール:トレールグリッパー - 【平均重量】314g
- 【カラー】ブルー(BL)、カーキ(KH)
- 【サイズ】24.0〜29.0(0.5cm刻み)
- 【特徴】トレールグリッパー/ソール張替え不可
- 【ワイズ】レギュラー
- 【ドロップ】10mm
公式サイトの商品説明文です。
トレイルランニングに適した軽量シューズです。アッパーには通気性に優れたメッシュ素材を使用し、部分的にポリウレタンで補強し、しなやかさを失わずに保護力を高めています。ミッドソールには軽量でクッション性に優れた素材を使用。グリップ力に優れた独自パターンのアウトソールが軽快なランニングをサポートします。
mont-bell 公式サイト
外観レビュー
まずはアッパー周りから見ていきましょう。ここら辺は今までのmont-bellのローカットシューズでも見られた圧着とメッシュで構成されています。トレイルランニング用という位置付けなのでGORE-TEXといった防水透湿性素材は使用せず濡れたら乾かせば良いじゃないの精神ですね。
シューレースは細めの平紐。ループなどは特に設けずアッパーに開けた穴を直接通る構造となっています。タンはアッパーと別構造になっていますがファブリックを介して縫い付けられているのでフィット感も悪くないし砂塵の侵入も多少は防止できます。
踵の部分には硬めのヒールカップが内蔵されていますので足をホールドしやすい構造。つま先部分にも硬めの補強が施されているので耐久性には問題なさそう。
横から見るとこんな感じ。一番印象的なのはこの角度から見た時ですね。これまでのmont-bellのローカットシューズはトレイルランニング用と謳っていたものも全て薄いミッドソールを全面覆うように薄いアウトソールが貼り付けられていました。
しかしトレールホッパーは一味違い、非常に分厚いミッドソールの上を足の前後で完全に分離したアウトソールが貼り付けている構造となっています。mont-bellでは今までにない革新的なアイデアの採用と言って良いのでは?
ソールはこんな感じ。先に言及したようにアウトソールが前後に分かれて、間に挟まれた土踏まずの部分はミッドソールが露出しています。果たしてこの構造がどこまで影響してくるのでしょうか。
アウトソールに関してはこれまでのローカットシューズに搭載されていたトレイルグリッパーと似たような形状のラグが採用されているのでそこらへんのグリップ感とかは特に変わらずと言った感じですかね。
オススメなところ
抜本的な構造の見直し
これまでのmont-bellのシューズは基本的に「歩くこと」を意識して作られており「ランニング用」あるいは「トレイルランニング用」という風に謳っている商品でさえウォーキングや登山用に作られたものと同じ「薄いミッドソール+薄い全面アウトソール」という構造が基本でした。
そのため明らかに他者のトレランシューズと比べて走った時のフィーリングが劣っており全体的に硬い感じ。無理やり走れない事はないですしメッシュ構造の導入などでなんとか近づけようとしているのは分かるのですが、如何せん構造上走ることには向いていませんでした。
しかし、今回のトレールホッパーでは非常に分厚いミッドソールを搭載。これのおかげで高いクッション性を発揮しちょうど良い沈み込みと反発をもたらしてくれるので走った時の感覚がとても良くなりました。走ってる時の感覚は厚底シューズほどではありませんがそれに近いフィーリングです。
加えて硬いトレールグリッパーのアウトソールが前後に分かれる形で分裂したことで、つま先部分が湾曲した時にシューズ全体が綺麗にたわむ感じとなりこれも走行感覚の向上に寄与していると思います。
フィット感の向上
シューズ全体が柔らかくなったことによるものか分かりませんが足に対するフィット感が向上しました。入荷して来てもちろんすぐに試着してみたのですが靴紐を閉めるとススッとアッパーが足に纏わりつく感じで気持ちが良い。足型を変えたりしたという話は聞いていないのですが正直びっくりするくらいスッと足に馴染みました。
通勤通学時やランニングといったシチュエーションでも多用していますが(というか普段履くつもりで買った)上々の履き心地。
意外な耐久性
ミッドソールが露出しており地面に直に接するので耐久性は大丈夫なのかな…という風にも思ったのですがどうやらその心配はしなくて良さそうな感じがします。普段使いや沼津アルプス縦走で使用しましたが特に破壊されたりなどはしていません。
加えて伊豆大島大会の時、某全日本エリートのtnkさんにこのシューズをお貸ししてスコリアや鋭い火山噴出物に覆われた裏砂漠を存分に走って頂きましたが非常に好評でありました。正直購入したてのシューズを日本で最も過酷と言える環境で試すのは怖かったのですが驚いたことに特に問題なし。
ズタズタになってたらどうしようとか心配しましたがそこは安定と信頼のmont-bell、ちゃんと耐久性に問題はないようです。その上巡航トップで走っていらしたので履く人にパワーがあれば普通に速いというところまで証明してくださいました。ありがとうございます。
オールラウンダー
前述の通りそこまでラグが深くないこともあってアスファルトで舗装されたところも違和感なく走ることができます。SALOMONの製品で言うと近いのはSENSE RIDEシリーズですかね。舗装路もトレイルもバランス良くいけると言うやつです。
加えて厚底シューズなので足へのダメージも軽減してくれますから非常に良いですね。ただ、捻挫すると怖いのでそこだけ注意です。
イマイチなところ
微妙なホールド感
さっきフィット感が良いとかなんとか言ってたじゃん、と思われるかもしれませんが何というか足がシューズの中でズレていく感じがするんですよね。シューズが足にピッタリ合うのがフィット感だとすれば、それを動きながらでも維持してくれるのがホールド感というわけです。
沼津アルプスを走っていた時の話なのですが、急傾斜の降りを進んでいると段々とシューズの中で足が動いて前にずれていく感じがしました。何度か靴紐をかなり強く締め直しましたがそれでもずっとずれ続けかなりストレスだったのを覚えています。
自分の足の実寸が27.0を少し超えるくらいなのでシューズは27.5のものを購入した(もちろんどちらも試着して)ので一般的にはサイズが大きすぎるということもないはずなのですがズレるということはやはりサイズが合っていないのでしょうか。
履いていた靴下との相性などもあるとは思いますが、mont-bellのランニング用ファイブトゥソックスを着用していたのでmont-bellとしても十分想定される組み合わせなはず…それでも足が大きく動いてしまうのはちょっと引っかかるポイントですね。
絶妙なデザイン
絶妙というのは悪い意味での絶妙なのですがこのデザインでございます。まあ、別に極端に悪いとは言わないんですけど癖があるといえば癖のあるデザインだと思います。トレイルランに履くシューズとしては悪くないのですが街中だとやっぱり結構目を引くデザインかなと。
あとカラーの展開がブルーとカーキというなかなか微妙なラインナップ。これは別にシューズに限った話ではないのですが何故かmont-bell製品にはブラックの展開が少ない。とりあえずブラック出しておけばなんら問題無いはずなのにどうしてされないのかよく分かりません。
他モデルとの比較
さて、トレールホッパーの情報に一通り目を通したところでmont-bellがラインナップしてる他の2種類のトレランシューズ(として使えるもの)と比較してみようかなと思います。
トレールランダー
トレイルランニングやスピードハイクに最適な全天候型シューズです。アッパーのメッシュ素材に防水透湿メンブレンを直接張り合わせた、GOREインビジブルフィットを使用。今までにない柔らかさと、高レベルな透湿性を実現しました。樹脂シートで部分的に補強を施し、しなやかさと剛性を両立。軽量でクッション性の高いミッドソールとグリップ力に優れた独自パターンのソールを搭載し、軽快なランニングをサポートします。
mont-bell 公式サイト
トレールフライヤー
トレイルランニングやスピードハイクに最適な軽量シューズです。全面に通気性に優れたメッシュ素材を使用。合成皮革とポリウレタンのシートで部分的に補強を施すことで、しなやかさと保護力の最適なバランスを実現。軽量でクッション性の高いミッドソールとグリップ力に優れた独自パターンのソールを搭載し、軽快なランニングをサポートします。
mont-bell 公式サイト
比較
名称 | トレールホッパー | トレールランダー | トレールフライヤー |
重量 | 314g | 320g | 312g |
カラー | BL/KH | CHGY/RBL | GY/IKBL |
防水性 | なし | GORE-TEX | なし |
比較表を起こしてみるとこんな感じですね。全体的にそれぞれのシューズに重量差はそこまでありません。トレールランダーとトレールフライヤーの差はGORE-TEXが入っているかどうかとトゥやヒールの補強の仕方が違うくらいであとはほぼほぼ一緒です。
こうして横並びに見てみると一目瞭然ですがトレールホッパーはソール周りの構造が従来と全く違いますね。特にミッドソールがとんでもなく分厚くできていることがお分かりになるのではないでしょうか。従来品はトレラン用とカテゴライズされているだけで全くトレラン向きの構造をしていなかったところが大幅に改善されたと言って良いでしょう。
アッパーにも若干の違いがあり通気性が良くなるようにかメッシュ生地の面積が増えていますね。また、補強部に関しても圧着によるものがほとんどなので縫い目を減らして少しでも軽量化しようとする意図が見て取れるように思います。
ただこうやって比べてみると酷評したカラーリングについてもだいぶマシな、比較的履きやすいようなデザインになっていると言えなくもないのではないでしょうか。これまでのカラーリングが奇抜すぎたというのは否めませんが。
どんな人にオススメ?
ここまでトレールホッパーについて他の製品と比較しつつ色々見てきたわけですが、個人的には以下のような人にオススメできます。
- mont-bellでトレランシューズが欲しい人
- 舗装路もトレイルも同じくらい走る人
mont-bellでトレランシューズが欲しい人
他のmont-bell製品との比較でも挙げた通り、mont-bellが展開するシューズの中では間違いなく一番トレラン向きのモデルであると断言することができます。
フィット感やクッション性などほぼ全ての点が従来品より向上している完全上位互換と言っても良いものに仕上がっているので、デザイン性などでこだわりがない限りはmont-bellでローカット→トレールホッパーという流れで間違いありません。
まあ、そもそもトレランシューズをmont-bellで買おうという時点で現状は?な感じですがmont-bellのモノが買いたいというお客様もいらっしゃるでしょうから。
舗装路もトレイルも同じくらい走る人
同じくらいというのは距離や時間のことです。ソールの構造が改善されたとはいえラグが低めのローカット用トレイルグリッパーなこともあって路面状態がドロドロといった過酷なトレイルではグリップ力が不足してしまうことが考えられます。
その反面、ラグは低いながらもスニーカーなどとは段違いのグリップ力を持っていることは間違いないので簡単なトレイルや不整地、あるいは分厚いミッドソールを活かしたランニングといった用途では如何なくその性能を発揮してくれることでしょう。
総評(おわりに)
従来製品から抜本的な構造の見直しでmont-bell史上最もバランス良く仕上がったローカットシューズです。ロードランニングからトレイルランニングまで対応できる高い汎用性と素晴らしいクッション性が特徴。
とまとめることができます。点数をあえてつけるとすれば…75点といったところでしょう。やはり自分的には降りで足が動いてしまうのはかなりのマイナスポイントですね…それでも平地や登りでは大きな不満を感じなかったということでこの点数です。
他のトレランシューズブランド(SALOMONとかHOKAとか)の製品と比較してしまうとやはり様々な点で粗が目立ちますが、本格的なトレランシューズ業界への参入とも取れる新製品ですのでなかなか期待してしまいますね。一作目としては十分素晴らしい出来だと思います。
ある程度の店舗であれば店頭に十分在庫があるはず(要確認)なので気になった方はぜひお近くのmont-bellに行って試し履きしてみてください。履いてみんことには分からないですからね。
というわけで23FWにmont-bellから発売されたトレランシューズの新製品「トレールホッパー」についてのレビュー記事をお届けしました。ぜひ他の記事も読んでいただけると嬉しいです。
それではまた〜👋
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