【装備レビュー】薄底・軽量でゲイター付き「S/LAB CROSS 2」はオリエンするならサロモンで最高の一足

装備レビュー

総評(はじめに)

 薄底・スリムフィット・ゲイター付きな特徴的なトレラン/オリエンシューズ。SALOMONの発売しているシューズの中では最もオリエンテーリング向き。

 消耗の早さや足型などの点で完全無欠ではないがここぞというレース用の一足としてオススメです。

created by Rinker
SALOMON
¥17,710

製品概要

 それではいつも通り、紹介する製品の概要をさらっと見ていきましょう。

  • 【重量】230g
  • 【アッパー】テキスタイル/合成素材
  • 【アウトソール】ラバー
  • 【インソール】テキスタイル/合成素材
  • 【ヒール】16.5mm
  • 【フォア】12.5mm
  • 【ドロップ】4mm
  • 【シューレース】Quicklace

 SALOMON公式サイトの製品紹介文も載せておきますね。

S/LAB CROSS がかつてなく大胆な装いでカムバック。新しいブラックのアッパーが、サポート性と通気性を最大限に高めています。オーロラのような虹色の輝きは、コラボレーターのスティアン・アンゲルムンドの生まれ故郷ノルウェーからインスパイア。もちろん、画期的なラグ形状やアンクルゲイター、Matryx® アッパーはそのまま。S/LAB CROSS 2 は、テクニカルなトレイルでその実力を発揮します。

SALOMON 公式HP

外観レビュー

アッパー・ゲイター

 まずはアッパー周りから見ていきましょう。合成素材と書いており具体的な素材名などは不明ですが一層目に固くて細いファブリック繊維と金属のような光沢のある繊維で織られたメッシュを採用。触った感じはザラっとした硬めの感触で丈夫そうな印象を受けます。どうもアラミド繊維が織り込まれているようです。

 二層目に少し分厚めのストレッチ性がある生地(上部やゲイターと同じ素材)を採用しています。靴全体としては足袋のように整形されたストレッチ性の高い生地に硬度の高い丈夫なアッパーを重ねた感じです。

 光のあたり加減でオーロラ色に輝くプリントがされており、日光下では黒色に見えますが雨天などで水に濡れたりいい感じの角度で見ると非常に美しいです。アッパーのゴム保護はつま先周辺の最低限って感じです。

アウトソール

 アウトソールはご覧の通り、力を最も伝達しやすい母指球周辺は少し大きめの円柱状のラグが、他の部分は一回り小さく前後に対してグリップ力が上がるように整形されたラグが配置されています。サロモンの中でもかなり異質なラグパターンとなっております。

 加えてラグの高さは6mmとサロモンの中では(おそらく)最も高くなっており、滑りにくいと定評のあるサロモンの独自ソール「Contagrip」を採用していることからも、ぬかるんだ地面に強いという説明には信憑性がありそうです。

オススメなところ

ぬかるみに喰らいつく深いラグ

SALOMON 公式HP

 SALOMONで最も深いラグを持つCROSS 2、スパイク…というには少し太いですがソールから突き出たラグはしっかりと地面に突き刺さり確実に体を安定させられます。

 特にオリエンテーリングで入るような不整地ではトレイルのように踏み固められた場所よりも地面がふかふかだったりザラザラと崩れやすいところを通る場合が多いのでラグが深いのは利点と言って良いでしょう。

 某inov-⚪︎の212なんかはラグが8mmとさらに深くなっているのですがあちらはラグ自体が非常に柔らかくまた細くなっているので走った感覚変わるかも?こちらはアスファルトの上を走った時とか結構ガッガッという感じがします。

解けず丈夫なシューレース

SALOMON 公式HP

 SALOMONの多くのトレイルランニングシューズで搭載されているシューレースは他の靴紐と違って手で結ぶ必要がないもの。使い方は省きますがワンタッチで締めたり緩めたりできるのが良いところ。

 細めの紐をプラスチック製の調整器具で挟み込むように留める仕組みのため解けることがないというのが最大の利点。普通の靴紐を結んだ後にビニールテープなどでぐるぐる巻きにしている人を見かけますがSALOMONの場合その必要はありません。

 細い紐で大丈夫?切れちゃったりしない?と心配なさるかもしれませんが大丈夫、そう簡単に切れたりしません。僕の場合は…一度だけ切れたことはありますがヤベェ木にしっかり足を擦った時だったので常用の範囲で切れることはないでしょう。オリエンが常用かどうかは議論の余地がありますが。

 余ったシューレース部分はプラの器具と共にポケットに収納できるので余った部分が引っかかってバランスを崩すみたいなこともないので走る時安心です。

薄底で軽い

 厚底が嫌われがちなオリエンテーリングですが、ご安心ください。このシューズはフォア12.5mm、ヒール16.5mmの薄底シューズです。どこぞの212の8mmとかいう頭のネジが飛びそうなほどの薄底ではありませんが足裏感覚を大事にしたい人も十分満足できる薄さです。

 薄底で足裏感覚が掴みやすいということは逆にクッション性はかなり抑えられているということでもあるので、高いところから飛び降りたりする時(特に地面が岩のように硬いところ)は注意が必要。下手すると踵が粉砕されます。

 重量はゲイター付きなのに230gとかなり軽量。最軽量というほどではありませんが十分な機能を備えたトレランシューズの中では割といい方なのでは。重量厨でも安心ですね。

脱げない汚れないゲイター

 傍目から見るとかなり違和感を感じる見た目はそう、ストレッチ素材で構成されたゲイターのせいですね。普通、ゲイターというと外付けのものが一般的ですがこのシューズにはゲイターが元から付いています。

 これのおかげでシューズの中に砂や石、細かい木の枝などが全く入りません。SPEEDCROSSではタンと足の隙間に異物が溜まってレース中掻き出す必要があったので効果は大いにあると思います。

 得られる効果はそれだけでなく、このゲイターがあるおかげで(ゲイターというかシューズ全体の構造のおかげですが)ぬかるみにハマってもシューズが脱げません。泥化した湿地でも躊躇なく足をカチこみ引っこ抜けます。

 これが案外良くて沼地を通ろうとすると靴が引っこ抜けるのを恐れて迂回したりゆっくり渡ったりしていたのが気合いと根性で渡れるようになったので良いです。100%脱げないわけではないのでご注意ください。

最高のデザイン・カラー

 特筆すべきはこの色!特に水で濡れた時が格別に美しく本当に綺麗なオーロラ色に輝きます。見る角度によって紫色になったり青緑色になったり、普段は真っ黒にしか見えないのでギャップがすごい(洗う前でごめんなさい)。

 シューズを見た周りの人も「真っ黒のシューズやと思ってたわ」というくらい濡れると印象が変わります。晴れた日も光のあたり加減や見る角度によっては色が変わりますが鮮やかに変わるというほどではありません。

そこそこ良心的なお値段

SALOMON 公式HP

 気になるお値段ですが実はそこそこ良心的。「S/LAB」というとSALOMONの中でも比較的上位のグレードの製品を指す名前なのですが、こちらのシューズはどういうわけか永年セール中。

 きっとこのシューズの存在そのものが世間に知られていないせいでいくらセールをやっても誰も買わないのだと思います。7月くらいからずっとこんな感じです。

 定価は¥25300とそこそこのお値段しますがセールで30%OFFになり実際は¥17710といったところ。某212の定価が¥19800なことを考えると上位グレードの製品がこの価格で買えるのは結構お得なのではないでしょうか?

イマイチなところ

耐久性が不安(特にラグ周り)

 ラグが深くてグリップ力が良い反面、ゴムが柔らかいためかアウトソールの損傷が他のオリエンシューズと比べてもかなり激しいような気がします。

 このシューズは一足目なので現在は第一線からは退いていますが6月ごろに履き始めてOLP大会、東大大会、ロングセレと履くうちにラグが一つ根こそぎ持っていかれ、使えば使うほどどんどん周りのラグが脱落していきました。

 インカレ前までこのシューズを使っていたので靴の更新まで5ヶ月と期間だけ見ればそれほど短くはないのですが、如何せんこのシューズだけダメージの受け具合が他のシューズと比べて段違いなのが気になるところです。

 あとアラミド繊維で強化されているアッパーなのですが穴は開きます。インカレロングの土砂降り笠間で使ったらいきなり右足のつま先付近に穴が開いていてびっくりしました。

 あの日は土砂降りゴツい斜面クソ藪とかなり酷いコンディションだったので穴の一つや二つくらい開くとは思いますがこの日が二足目の初使用日だったのでちょっと残念でした。レースの方がやばかったけどね。

 二足目のラグは欠けてこそいますが壊滅的に崩壊しているわけではないのでまだまだ全然使える感じ。とはいっても消耗は今までのシューズと比較して速いことには間違いないです。

足型がかなり細め

 見た目である程度わかるかもしれませんが結構足型は細めとなっています。公式サイトの足型の欄にも「スリム」とあるくらい。

 inov-8を履けるならそこまで問題にはならないと思いますが今までSPEEDCROSSを履いていた人がこのシューズに足を通すと細身なことに驚くと思います。

 細身なこととシューズの形状によりフィット感が非常に高くなっているので脱げにくくなったり、パワーロス少なく走れたりと良い事も多いですが、どちらかというとゆったり履きたいという人は注意が必要です。

(ほぼ)オンラインショップ限定

SALOMON 公式HP

 SALOMONのオリエンシューズの最大の魅力の一つと言っても過言ではない「店頭に現物が置いている」ということ。実際に履いてみないと相性がわからないシューズ選びにとって気軽に試し履きできるかということはそのシューズが利用されるかどうかに直結します。

 以前オリエンシューズの選び方について書いた記事で消化したSPEEDCROSSなんかは石井スポーツやその他のアウトドア総合ショップに行けばそこそこの確率で現品があり試着できるというのがオススメできるポイントの一つでした。

 しかし残念ながらこのCROSS 2に関しては店頭で現物を見たことがありません。渋谷にあるSALOMON直営店に行っても陳列されておらず困惑したことを覚えています(バックヤードにはあるのかもしれない)。

 ほとんどオンラインショップ限定での販売となっているのでSALOMONの他のシューズで大まかなサイズ感を合わせて半ば賭けのような形で購入ボタンを押す必要があります。無事うまく合えば良いですが合わなかった場合の返品手続きとか面倒ですからね…

 そしてさらに曲者なのが、この「オンラインショップ」というのが公式のものしかないということです。そう、みんな大好きなAmazonや楽天では出品がありません(あっても超高額)。そのためポイ活したいという人にとってはそれもハードルになるかも。

SPEEDCROSSとの比較

比較表

S/LAB CROSS 2SPEEDCROSS 6
クッショニング最小普通
シューズ幅スリムスタンダード
適応地形ぬかるみ&ソフトぬかるみ&ソフト
プロテクション
ラグパターン6mm、円状6mm、楔状
重量230g298g
フォア/ヒール/ドロップ16.5mm/12.5mm/4mm32mm/22mm/10mm
シューレースQuicklace™Quicklace™
GORE-TEXなしなし

 両者についてまとめた表がこちらです。同じところも違うところもそこそこありますが、以下では主に違うところについていくつかご紹介します。

クッショニング・シューズ幅

SALOMON 公式HP
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 SPEEDCROSSがごく一般的なトレランシューズという感じで普通のローカット・厚底のシューズ。よほど足が広いとか細すぎるとかでなければどんな足型にも合うような形になっています(幅広のモデルもあるよ)。

 それに対してCROSS 2の方は足袋のように履く形状なことも相まってかなり細く感じます。ゲイター付きなところがますますぽいですね。

ラグパターン・重量

SALOMON 公式HP
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 ラグパターンも大きく異なっておりCROSS 2は円状(もしくは円を欠いた形状)のラグがあるのに対して、SPEEDCROSSは楔形のラグとなっています。

 どちらも6mmとかなり深めのラグになっているので斜面への食いつきは良好。有意な比較が難しいのでどちらが優れているかは分かりません。

 重量に関してはCROSS 2の方が70gほど軽いです。たかが70gの差と思うかもしれませんが20%近い軽量化になっているので足を通した段階で明らかに軽やかなことを感じます。

フォア/ヒール/ドロップ

SALOMON 公式HP
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 最大のポイントは薄底か、厚底かというところ。CROSS 2の方はドロップが4mm、ヒールでも16.5mmとなっておりいわゆる薄底シューズの部類。着地した時にしっかり足裏の感覚が掴めて安定する反面、地面の凹凸の影響を強く受けます(結構痛い時は痛い)。

 SPEEDCROSSの方はドロップがなんと10mm、ヒールの厚さは32mmとかなりの厚底。クッション性の高さや踏み抜き時の安心感などがある反面、重心が高くなるので捻挫しやすくなるとも聞きます(個人的には着地が下手くそなだけだと思いますが)。

Quicklace™、GOREなし

 両者ともシューレースはサロモンお得意のQuicklace™を採用。解けないので靴紐ぐるぐる巻きからは卒業できます。もちろん余ったシューレースを収納するポケットも付いていますよ。

 加えてGORE-TEXは入っていない(SPEEDCROSSはGORE-TEX有りのモデルも併売されている)ので乾きが早くてよき。どうせ湿地に足ぶち込んだり雨の日などは防水機能があろうがなかろうが濡れることには変わりないので個人的には無くて良いかなと思う派です。

どんな人にオススメ?

薄底でレース用のシューズが欲しい人

 やっぱり気になる薄底・厚底論争。好みはそれぞれですがこのシューズは薄底なのでもちろん薄底がいいという人にオススメです。薄底とはいってもベアフットシューズみたいに極端に薄いわけではないのでそれなりのプロテクションも持ち合わせています。

 加えてゲイターがついているので石・砂・木の枝といった異物が入り込まずに済みます。こういったものが入り込むとめちゃくちゃ痛いし違和感で集中できないしで良いことないのでゲイターがついているのはマジで感謝感謝です。

SALOMONのオリエンシューズが欲しい人

 評価の高いSPEEDCROSSももちろん素晴らしいシューズですが、通論としてはやはり薄底が好まれる傾向にあるので薄底が良い人にはよりこちらの方がおすすめかなと思います。 

 そうで無くとも全体的な完成度やスタイリッシュさ履き心地の観点からも個人的にはCROSS 2の方をオススメしたいです。

総評(おわりに)

 いつも通りの感じに書いたはずなのですが少し情報量が少なくなってしまった気がします。お伝えしたいことは大体書けたのでまあいっか。

 S/LABシリーズに手を出すときは値段も見て(一足目は定価で買った)少し躊躇しましたが間違いなくSALOMONのシューズの中では最もオリエンテーリングをするのに適していると思います(SPEEDCROSSもめっちゃ良いシューズですけどね)。

 実質的にオンラインショップでしか手に入れられなかったり足幅が合う人が少なかったり消耗が早かったりと完全無欠というわけではないですが、その性能は確かなのでここぞというレースの時に履くとかでも良さそう?

 万人に超オススメとは流石に言えませんが興味があったらぜひ履いてみてください。ゲイターのありがたみがひしひしと感じられますから(笑)

 それではまた〜👋

created by Rinker
SALOMON
¥17,710

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