どうも、polarisです。今回は2026年5月9日に京都の比叡山で開催された「比叡山インターナショナルトレイルラン」に参加してきたので、完走した感想の全般を書いていきたいと思います。
はじめに
比叡山ITRの概要

比叡山インターナショナルトレイルラン(以下「比叡山ITR」)は「挑め、己の限界に」をコンセプトに京都と滋賀の県境に位置する比叡山周辺で開催されたトレイルランニングの大会です。
毎年5月ごろに開催され50mile、50km、23kmの3クラスで構成されています。コース自体はアップダウンを繰り返すよくある低山といった感じですが、急登が多い故に走れるロードやトレイルの区間の比率が増え比較的走りやすい部類の大会のようです。
特筆すべき点としては特に50mileの関門時間が非常に厳しく毎年の完走率が低いことで知られています。かつては「東の彩の国、西の比叡山」と謳われた時期もあったようです。
コース

私が参加した50kmのコースは公式での距離と獲得標高がそれぞれ50km/3700mで、ITRAによるコースの走りやすさを示す指標であるMountain Levelは「7」と、比較的走りにくいコースとしてカテゴライズされています。
確かに登りの割合も約8%とかなりあるようにも思えます。しかし、実際に走ってみるとそこまででもなく、先に言った通り急登が多いため裏を返せばそれ以外のところはかなり走れる印象。実際、自分も参加した知人も「かなり走らされた」と言う感想だったので数値の見かけにはよらないかもしれません。
逆にそのようなコースフィールなのでタイムを狙うと必然的に走れるところで妥協できず、私の場合は最後の林道の下り(約4km)はずっとキロ4前後でプッシュする感じでした。
やってみよう!の前に
試走

さあ早速大会に出場…といきたいところですが、せっかく頑張るなら…?
そうですね、試走をしましょう。何を隠そう今回の比叡山ITRが私の人生で初となる50kmの壁を突破するコース。六甲全山縦走が最長最大の負荷だった私にとってこの領域は全くの未知だったわけです。
流石に突撃〜してそのまま「グエ〜死んだンゴ」となるのはいささか悲しいものがあるので、体を慣らすというのもありますし何よりコースの感じを知るために試走に行ってきました。

比叡山延暦寺のあれこれに苦戦しながらもとりあえず完走した完走という感じ。
思っていたよりも50kmと言う距離そのもののハードルは高くなかったように感じますが、やはり距離は距離。有酸素能力というよりは筋力による律速が最後の方は効いてたのでとりあえず足は重かった。
とはいえ余裕がなかったかと言われるとそういうことでもないし、もうちょっと押し切ることができればそれなりに戦うことはできるんじゃないかというなんとも微妙な感じでした。
作戦
では作戦はどうしよう。ということで考えました。
登りは走らない
まず「登りは走らない」ということです。登りというのはこの場合不整地の登りを指すのですが、コース全般に言えることとして登りが集中し尚且つ急登というのが挙げらられます。舗装された林道はともかくとして、トレイルの登りは急すぎて走ると逆に効率が悪くなるように感じられました。
ですから、あえてとも言えますが初めから開き直って登りでの加速を捨て、最大限に素早く登りつつも平地や下りに走力を充てることとしました
平地と下りは走る
逆にコース全般に言える裏の面として走れるところはとても走れます。トレイルでもガンガン加速できますし、後半の林道は嫌でも走ることになります。
ですから「平地と下りは『妥協せずに』走る」ことで最大限タイムを短縮することとします。これは苦しい決断というか、正直な話をすると自分は走ることが得意な部類ではないのでその走ることそのものに活路を見出すと言うのは不安なのですが、まあやるしかないってこった。
初手で突っ込む

「爆死するヤツの思考で笑」と言われそうですが、何を隠そう今回第二ウェーブからのスタートなんです。馬鹿正直にフルマラソンのタイムを無しと書いたら後ろになっちゃいました。
レース出たことある人なら分かると思いますが、集団に捕まるとマジで速度出ません。チャリンポコのレースで前に抜け出すのと同じです。
とにかく何でも良いので初手のローリング、今回は鏑木さんが先導している区間で前に出てその後の下りで完全に後ろを千切ってなるべく早く第一ウェーブの大半を抜き切ることを決めました。
「VJ ULTRA 3」を信じる
このように使える能力を適当な形で分散させ、いわば「効用最大化」を行う算段はつきましたがやっぱり持つか不安です。こればっかりは仕方がないので私の最オキニのトレランシューズである「VJ ULTRA 3」を信じることにしました。
これはティアならわかるかと思いますがVJはフィンランドのオリエンシューズブランド。トレランシューズもいくつか出しており、プロパーである「ULTRA 3」はヨーロッパを中心にかなり評価の高いロング向けシューズ。
La Sportivaの「Prodigio Pro」と似ており、臨海発泡させた高反発のミッドソールが垂れた後半でも脚を前へと押し出してくれますし、踏み込みにしっかりレスポンスがあり推進力としても頼りがあります。
それでいて厚底の不安定さを感じさせない左右のブレの安定性と広い接地面が攻めた走りもカバーしてくれる圧倒的な信頼感をくれます。私の勝負シューズです(今回が勝負に初投入)。

まじでオススメなので本当に履いて欲しい。ロング向けではありますが、しっかりスピードも出せるのでかなり万能型と言えると思います。
タイム設定

あとはこう言う感じで試走の時の通過タイムを書いておいて調整を行いました。具体的な通過目標を決めるとけっこう焦ってしまうことが想像できたので、あくまで自分のゴーストランナーを意識する感じで。
レースレポート
結果

最初に結果から書いておくと、6時間37分8秒のタイムで6位入賞でした。景品ありがとうございます。7位の人とは20秒も差がなく僅差だったようですが、最後のロードもガチプッシュしましたし、登りもしっかり押せて最後はゾーン5でフィニッシュしたのでギリ滑り込めて良かったです。
4位、5位あたりの人とはチェイシングできそうなタイム差だった(後半で離された)のでやっぱり単独走は厳しいの印象。そこら辺は後でまとめますね。
レース展開

全体としてはこんな感じ。全体的に試走の時よりもバランスよく加速しているといった感じですね。
ちなみにグラフは最近流行っているチャッピーで作りました。色がキモいですが便利なので仕方がない。
Start(延暦寺)〜A1(ロテルド比叡)

まずはスタートしてから少し登ったのち、一気に下ることとなります、鏑木さんはスタート前のブリーフィングで突っ込むと死ぬよと仰ってましたが、私は突っ込まないと巻き込まれて死ぬので突っ込みました。
前日の天候が晴れだったこともあって試走の時のように滑る恐怖に怯えることなく大きな水系を渡るところで第一ウェーブの最後尾を追い抜き、林道で数名を抜かしました。この時点で試走から3分巻き。
コース南端からA1のロテルド比叡までは断続的な登りでしたがここが曲者で、第一ウェーブの皆さんを追い抜いていく必要があるのですがみんなかなり余裕が無さそうで全然抜かさせてもらえません。登りでペースが落ちた間隙をついて声を掛けながら追い越しますがその度に自分は7倍8倍と踏まされるのでなかなかハードでした。
この時点で試走から1分巻き。試走より2分遅いと言うことで危機感を感じA1はスルーしました。エイドが混雑していたのと十分な補給があったための判断でそのままフラットな林道走りに突入です。
A1(ロテルド比叡)〜A2(比叡山延暦寺)

ここから坂本までの市街地は下り基調。斜度もそこまでキツくないのでガンガン走って先ほどの遅延を回復していきます。試走の時は平らな林道が少し苦しかったですがレース当日はしっかり体を動かせ、走れたように感じます。
特に言うこともなく坂本の市街地に到達し登り返し。この登りは走れるところと急な登りがかなりはっきり分かれているので、登りは歩きつつも走れるところは脚を動かし少しでもタイムを稼いでいきます。ここら辺からマイルの人をぼちぼち抜き始めました。
試走から坂本で5分、A2の延暦寺で7分巻いてぼちぼちのペース。10分くらい巻けたらいいなと漠然と思ってはいましたが、先ほどのA1までの遅れを考えると許容範囲といったところでしょう。
A2のエイドで初の補給。水をもらってオレンジを何個か口に放り込んだらさっさと退出。エイドの停滞は人生の停滞ってはっきりわかんだね。
A2(比叡山延暦寺)〜A3(せりあい地蔵)

A2を退出してすぐに大比叡に登ります。ここがしんどいとよく言われるらしいのですがつづら折りだしあまり個人的には苦しくなかったかも。
大比叡まで登ればしばらく下り基調の走れる道が続くので無理ない範囲で加速。寺の間を抜けて西にガッツリと下ります。この下りはかなりガレており危険な印象だったので安全第一。
下り切ったら…?そうです、登るんです。虚無な登りですが淡々と登ればそこまで頑張らなくても気がついたら終わってました。小笠原さんみたいに軽々走るのは絶対無理ですが。
A3は登ってきたランナーを労う雰囲気で和気藹々としていましたが、知り合いも何もいない私は水とオレンジですぐに出発。この時点で試走から15分巻き、いい感じです。
A3(せりあい地蔵)〜A4(仰木)

横高山にガッツリ登って走れたり走れなかったりするトレイルと走っていきます。とにかくこの区間はゆるく登ってゆるく下るところが多い。登りで無理をして力尽きることが目に見えていたので、焦らず平地を待ってから走りました。
A3からA4までがエイドの間隔が一番開くところ。コースの北端で林道に折り返しガッツリ山を下ります。舗装路なのでスピードも出ますが足に負担のかかる諸刃の剣な箇所です。
下り切ったところにWSがあり水とトイレだけ済ませてすぐに出発。林道の登りが続きますがここも焦らず走ったり走らなかったりでぼちぼちA4まで到達。美味しい水羊羹をゲット、ここまでで20分と半巻いています。
ここのおっちゃんに「後少しやな、最後まで押し切れ!」と激励されて嬉しかった。あんまり上手く反応できなかったのが悔やまれます。
A4(仰木)〜A5(横川中堂)

仰木のエイドを過ぎてからもずっと舗装路なので着実に脚部へのダメージが蓄積していきます。正直足がしんどくないと言えば嘘になりますが、妥協しないと決めたい以上下りは走行します。
再度の登り返しはしばらく緩い道が続くので走りたかったのですがここで押すと急登に入ったタイミングで破壊されるなと感じたので早歩き。その想像通り、急登はかなり足全体の筋肉が張ってプッシュはできず。走ってたら危なかったと思います。
A5のエイドに入る前の下りでもたついているおばあちゃんを避けようとしバランスを崩しました。そのタイミングで咄嗟に壊れた鉄柵を掴んでしまい右手が血まみれに。エイドの人達にしっかりと見られていたので恥ずかしかった。
この時点の巻きは23分、あと少しです。
A5(横川中堂)〜Finish(延暦寺)

あと一押しのこの区間が最大の鬼門。下りの整備された不整地の林道という、動きかた次第でタイムが全然変わってくる区間を4km程度走ります。
だがしかし、ここで諦めてなるものか。残った脚を使い切る気持ちでキロ4分前半に突入。べらぼうに早いペースでないとは言え、既に45kmを刻んでいるのでなかなかにしんどいペース。何故だか知りませんが僕の前をゼッケン着けてない人が走ってて無心で追いかけました。
最後の登りに突入したらもうどうにでもなれの気持ち。20%の急登を無心で登り、最後押し切れそうなところでスプリント(遅い)し心拍数を上げ切った状態でフィニッシュ。
最終的な巻きは28分となりました。
概要

と、こんな感じのレースでした。平均心拍数は161とトレランか?と思うくらい高く、序盤から力尽きることを心配しながら走っていましたが、結果的にはこの強度で押し切れたので結果オーライでした。
レース全体としてまとまりは良く、うまく作戦通り運べたかなと言った印象。第二ウェーブだったことだけが想定外でしたが、渋滞に巻き込まれてこのタイムなら現状の実力を十分発揮できたと言えるのではないでしょうか。
分析というかなんというか

散々おまえKobe Trailのことボロカス言ってたやんけ、媚びたこと言ってんじゃねーぞ
と言われそうですが、正直に比叡山ITRはとても楽しかったです。Kobe Trailへの参加を通じてトレランという世界を見ていましたが、改めて比叡山ITRに参加して自身が誤った見方をしていたと気づくことがいくつかありました。
Kobe Trailとの違い

これは普通だぞと言われそうですが、コースってちゃんと事前に提示されてるしマーキングが間違っていることもないんです。やっぱりそこが1年前にあの記事を書くきっかけになったので、これに関してちゃんとしていたのは安心しました。
また、同じくらいの参加費を払った感想として「いらんとこに金使うなや」感がほぼありませんでした。Kobe Trailは前日のフェスとか、1ヶ所しかないエイドとか、マーキング間違ってたりで「どこに金使ってんねん」という割高な感が非常に強かったですが、比叡山ITRは先に言及した通りレースをサポートするためにお金が使われている感じがあり納得しやすい価格設定だったと思います。
ぽえぽえしてる
なんでかわからないんですが、ポエマー多いですよね。旅とか、己と向き合うとか、新時代の幕開け?的な?
いや、全然良いんですけどちょっと困惑するところがあります。自分もポエる時はそりゃあるんですが、大会を大々的に宣伝する時はあんまりポエないのでよく分かりません。
不満点(ほぼない)
と言っても正直あまりない(ガチ)ので言うことはほとんどないのですが、やっぱり絶対値としての参加費は高いですね、はい。U22割で10000円ちょっとでしたが、正規料金は倍するのでなかなかちょっと手が止まってしまう価格ではあります。
とは言え5ヶ所のエイドと1ヶ所のWSのことを考えると「レースをサポートする」といった意味でしっかり恩恵を受けられるのでこの距離・このコースでタイムを目指すならエイドを頼ってレースを組み立てることが出来たので「参加費が無駄になった感」は全く無かったです。
あとはちゃんとコースが面白い。六甲山に週2で出かけている身としてあのコースは面白みの欠片も無かったのでナニコレ感がありましたが、
競技性はちょっと気になる
今回はちゃんと入賞したので言わせて貰いますが、やっぱりタイムを狙いたくなってくると少し不安になる点は多いですね。
ウェーブスタートなら第二の方が200人近く抜かないといけないので不利ですしエイド滞在にかかる時間も変わってきます。特に今回は入賞ラインと20秒も差がなかったので負けていたらもうちょっと不満に思っていたとは思います。
申し込む時に正直に申告した自分が悪いというのはまあそう。ITRAインデックスやそれが無い人は目標タイムでスタートするウェーブを決められたら嬉しいかなと思います。
あとは青龍寺近くの誘導で「本当にこっちで合ってる?」と誘導員に声かけられて止まってしまったので競技者への能動的な干渉もしない方が良いかなと思ったり。親切心は分かりますがずっと言ってる「ナビゲーションの主体は誰なのか」といった競技の根幹部分に関わると思うので。特に、この場合私は何も間違っていないわけでただ困惑するだけでした。
完走した感想
比叡山ITRは楽しい
とりあえず言えるのは「比叡山インターナショナルトレイルラン」はとても楽しい大会だったということです。あんまり蒸し返すつもりは無いのですがKobe Trailと比べて不満を感じる点はほとんどありませんでした。
コースもちゃんと走れて面白かったし、マーキングも事前のコース通り正しく付いてました(普通そう)。参加賞もボトルと実用性がありますし受付も郵送で省略と手間がかかるところがあまり無かったです。
演出はだいぶしっかりしてましたが、なんというかKobe Trailみたいに「そういう金の掛け方せんでええやろ」みたいなのが無かったので参加費なりに気持ちよく参加できました。
あっちは「都市型エンターテイメント」ですって?そうですね、すみません。
コースはハード

コースはプロフィールから見えるものよりかなり面白いと思いましたが、正直言うとまあまあキツい部類に入ると思います。
特に走れる区間が多い割には登りで全然進まないのでプッシュすることが要求されます。走ることが苦手な人は苦戦が想定されますが、逆に陸上やマラソン上がりの人は結果を狙えるのではないかと思いました。
とはいえ50mileほどの高レベルが要求されるわけでは無いので、それなりに普段走ってる人なら全然完走できると思うのでオススメはできるかな。最初に参加するなら覚悟はしたほうがいいかも。
トレランの「大会」に出る意味はあった
手のひらを返すようですが、比叡山ITRに参加してトレランの大会に出場する意味はあると感じました。Kobe Trailはあのコースを走るのに大会運営があってもなくても大して変わらないですが、比叡山ITRは大会運営をしっかり利用することで競技をより高度に楽しむことができると思います。
マーキングはその一つですしエイドなどのサポートもそうでしょう。競技者が取り組むトレランという競技の競技性を向上させることが多分にできていると思います。
そういった意味できちんと支払った分の恩恵を受ける事ができているという点でこの大会に参加する価値はあったと思います。
おわりに

と、いう感じで「比叡山ITRを完走した完走」でした。昨年、幾らかのトレイルランナーさんが仰っていた通り他の大会に参加することで見えてくることがあるというのはまさにその通りでした。
Kobe Trailを通じて見えたものと比叡山ITRを通じて見えたものはかなり違っていて、前者はお世辞にも良いものとは言いませんが後者は間違いなく良いものであったと参加して感じました。
改めてですが「トレランを楽しむ」という点で私の考え方や立場は間違っていました。今後訂正する機会があれば都度比叡山ITRで感じたことを伝えていければなと思います。
時たま隅っこの方で走りに行くつもりなので次の大会が楽しみです。90kmかぁ…壊れるなぁ。
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