プロローグ
さてさて、夏といえばなんの季節でしょう?海水浴とか花火とか色々ありますよね。
僕にとっては夏は遠征の季節!大学生という半ば特権階級を活かしてあちこち回る時間が手に入るわけですからもちろん使わない手はありません。
今回は2泊3日(登山は1泊2日)で日本最南端の百名山「屋久島・宮之浦岳」に行ってきます。直径30kmにも満たない島ながら2000m近い標高を持つ峰々が連なる山岳島。登山者を惹きつけてやまない島に登りに行きましょう!
前回
こちらが1日目の活動記録です。未読の方はぜひ。
活動概要
活動記録
新高塚小屋〜平岩
さてさて、おはようございます。0420、新高塚小屋を出発しましょう。
夜中も雨は断続的に降り続いていたようで雨音で起きてしまうくらいでした。今から本降りにならなきゃ良いけどなぁ。
宮之浦岳までは3.5kmとそれほど遠くはありませんが1時間30分ほどかかりそうな感じ。まあ登りがきついんでしょうね。
結構藪がひどいという話を小屋で聞いていたので朝露対策でレインウェアを着た状態で出発します。
小屋を出発してから断続的にロープの補助がついた岩が出現。一枚岩で足がかりが少ない上に濡れているので結構気を使います。
雨は止んできて…るのかな?朝露なのか雨なのか正直よく分からない(笑)
木々の間から顔をのぞかせる夜空はまさに「満天の星空」という感じ。オリオン座くらいしかわかりませんが綺麗なことに変わりはありません。
それにしてもスマホでも星空の写真撮れるものなんですね。一等星くらいならはっきりわかりますね。
標高を上げていくと段々と周囲の木々も低くなり1700m付近からは森林限界となり低木が多数を占めるようになります。
この辺りが結構藪がひどくて朝露をレインウェアで給水しながら進みます。上の方に行くと刈り入れが入っているらしい。
日の出の40分ほど前になると段々と東の空が明るくなってきます。
流石に洋上の島なこともあって見渡す限り雲です。でもなんだかこれも幻想的。
平岩〜宮之浦岳
0523、平岩に到着。ここでようやく宮之浦岳の頂が見え…てはいないですね。雲に覆われてしまっていますから。
後ろに聳え立つ雲も相まってなんだか少し不穏な雰囲気を感じます。雨降らないと良いけど…
先ほどよりも東の空が明るくなってヘッドランプもそろそろ要らなくなってきそうなくらい。
雲の動きも目まぐるしくてダイナミック。刻一刻と変わる景色が美しい…が、雨降らないかなぁ…(雨恐怖症)
谷を挟んだ西側に聳える永田岳とネマチも段々と姿を表してきました。
すごく…なんというか…不思議な形ですね。地形図を見ても非常に急峻なことがわかります。
登山道な岩がちなところと木道を交互に進む感じ。相変わらず濡れているのでスリップ注意です。
ここらへんは刈り入れが入っているおかげでそこまで薮くないですが両側の生え方からすると元は相当に藪かったぽい。
北側を振り返るとこれまた幻想的な景色が。谷間を埋め尽くす雲に浮かぶ稜線が美しい。
空の色も朝焼けという感じに変わってきて素晴らしい。で、でも雲が…
無駄に持ってきてしまったテント泊装備の重さに何度も立ち止まりながら少しずつ標高を上げていきます。
標高は1900mを越えたところ。あと少し、見上げたところにある岩の上がきっと山頂でしょう。
宮之浦岳山頂にて
0606、宮之浦岳山頂に到着です。日の出の時間は過ぎていますが…少し雲がかかっていますね。
ちなみに山頂直前の大岩は左側から巻くみたいです。右から巻いたら普通に登山道じゃなかったんで気をつけて。
補給したりと周囲の風景を堪能していると雲がだんだんと晴れて太陽が見えてきました。
いやぁ…とても良い景色ですなぁ。ここまで登ってきた甲斐があるというものです。
山頂は360度の大パノラマ。四方の山々の先は海という洋上の島らしい素晴らしい景色です。
雲も完全になくなるのではなく展望が開ける程度に退いてくれているのがさらに美しい
そして、わかりますか…?うっすらとですがブロッケン現象が起きています。
昨年の冷池山荘といい割とブロッケン見る確率高いのでは?
そして太陽が上りすぎないうちに見られるいわば「影宮之浦岳」もうっすらと。
なかなか見られないレアな現象が見られて非常に嬉しい。
太陽が昇るにつれて屋久島の雲上の庭園ともいうべきエリアが明るく照らされていきます。
まさしく洋上のアルプスと形容される風景です。
空の色もとにかく綺麗の一言。むしろ言葉なんていらないくらい。
とにかく絶景という言葉がこれほどまでに相応しいことはそう無いと思える風景です。
宮之浦岳〜投石岳
名残惜しいですが目的のバスを逃すと4時間も待つことになってしまうのでぼちぼち下山を開始します。
下山していく先もまるで天国かのような景色。
左手に見えるのが翁岳、中央は名もなきピーク、右手に見えるのが安房岳です。
ゴツゴツと聳え立つ1800m越えの岩峰たちの迫力が凄まじいです。
森林限界を超えてはいますがちらほらと低木に混じって屋久杉が生えています。
この木々もやがて大きくなって下の方に生えている巨大な屋久杉のようになっていくのでしょうか?
屋久島が特徴的なのはあちらこちらに比較的安定した水場があること。
稜線上でもあちらこちらから沢山の水が流れ出してきます。流石の降雨量なだけはありますね。
稜線とは言ってもとてもなだらかな地形なので木道の存在も相まってちょっとした湿原歩きのよう。
しっとり湿った滑りやすい木道に気をつけつつ水の流れをのんびり観察です。
んんん〜いいね。背の低い草がもりもり生い茂って屋久杉の森とはまた違った大自然の景色。
雲の平とかもこんな感じだったりするんですかね?行ったことないから知らんけど。
投石岳〜花之江河
0659、投石岳を通過。正確にはピークを巻いていますけどね。
日の出から1時間ほど経っているので日の当たる部分も随分広がってきました。
正面に見える大きな岩の群れは黒味岳の山腹にある大規模な岩崖。
黒味岳も非常に展望の良い山らしいのですが今回は時間がないのでスルー。どうせ屋久島には何度も来るのですから次の機会にです。
この辺りで標高は1700mを下回るようになり周囲の木々も比較的大きなものが多くなってきます。
時を同じくして雲の中に突入し以後展望が開けることはありませんでした。
度々出現する滑りやすい一枚岩を慎重に降ります。ロープがあるかないかで安心感がだいぶ変わってきますよね。
途中どこかの岩場で男性二人組に遭遇。どうやら昨日登山道の草を刈り払ってくれていた人達みたい。彼らの手助け無くして登山道は維持できませんから頭が上がりません。
黒味岳との分岐。結構間違って進んでしまう人が多いようであちこちに分岐についての注意書きが貼ってありました。
黒味岳の登山道は他と一転して岩場だらけになるらしく雨の日とかは結構怖いらしい。
黒味岳分岐を過ぎると一層傾斜はなだらかになりまさに湿原の木道といった雰囲気に。
ここまでくれば日本最南端の高層湿原である花之江河はもうすぐです。
花之江河〜淀川登山口
0737、花之江河に到着、ここでちょっとだけ休息です。
雲の中に入ってから降り出した雨はそこそこ本降りに。稜線で振られていないだけマシと考えましょうか。
一面が苔と清流に覆われたまさに「湿原」といった風景。南国の島でこんな景色が見られるとは。
雨が降りあたりが雲に呑まれていることも相まって幻想的な景色が広がります。
低地ではとんでもないデカさに育つ屋久島も標高1600mではこの通り、まるで盆栽のよう。
晴れていても雨が降っていてもさぞ美しい景色なのでしょう。今度は花の咲く時期に来たいなぁ。
すぐ近くには小花之江河というところもありこちらも同じく高層湿原。
どうもこれらが生み出されたのはおよそ2500年ほど前らしい。もう2000年くらいはこの環境が続くと良いけど。
花之江河を過ぎたら淀川小屋までひたすら長い下り坂、濡れた木道と屋久杉の根に気をつけて降りましょう。
この辺りからスマホのレンズから水滴と曇りを除去出来ず写真がガビッガビに。これはこれで味があっていいかもしれません(笑)
濡れていて滑りやすいですがちゃんと足の置き場は確保できるので心配はいりません。日頃から登山道を整備していただいているおかげですね。
こんな感じの道がうねうね曲がりくねりながら2.5kmほど続きます。
最後に一気に河岸まで斜面を降ったところを流れるのが淀川。某大阪の大河と名前は一緒らしい。
立派な橋が架かっているのでちょっとやそっとの増水では渡れなくなることはないでしょう。
0828、淀川小屋に到着。こちらも整備が行き届いた避難小屋で今日淀川登山口に下山する方が何名か宿泊していらっしゃったみたいです。
小屋の軒下?と言えばいいんでしょうか。屋外だけど雨が当たらないスペースがあると本当にありがたく感じます。
登山口まではあと少し、小屋から多少のアップをこなしたらあとはなだらかに降っていく道だけ。
ここまで来ればもはや到着したも同然。最後の一踏ん張りです。
0907、淀川登山口に到着!出発から4時間と45分ほど、宮之浦岳を越えて縦走登山終了です。
全部の活動は10時間ほどとそう長い登山ではありませんでしたし、雨は非常に過酷でしたが最高の達成感です。
ひとまず、お疲れ様でした〜
エピローグ
ってな感じで飛行機で屋久島現着からの弾丸登山でしたが、なかなか登り応えのある山でした。
mont-bellで働き出してから幾度となく屋久島に行くというお客さんから話を聞いていてずっと登りたいと思っていた山、いい感じに雨間を縫って朝日まで拝めて大満足です。
全体的な行程は特段危険な箇所も少なくなまじ体力が必要という感じなので未踏の方にもめっちゃおすすめできると思います。
屋久島自体、宮之浦岳以外にも大自然の息吹を感じられる島なのでまとめて行っちゃってください!
それではまた〜👋
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