【欧州遠征2024】Day15 Mt.Pilatus(活動記録 vol.87 2024/7/8)

旅行(海外)

プロローグ

polaris
polaris

 スイス。それは日本と肩を並べる、あるいは日本以上に急峻な国土を有するまさに「山岳国家」という名がぴったりの国です。

 そんなスイスを訪れているのに山に登らないだなんて、勿体無い!ということで今回は旅行記×活動記録というMix形式の記事をお届けしたいと思います。1日中山に居たので別記事に分けるのも難しいという裏事情は内緒です。

 今日は滞在しているスイス中部の都市「ルツェルン」から程近い距離にある「ピラトゥス山」に登ります。果たしてどのような山なのでしょうか。

活動概要

YAMAP
YAMAP

本編

Kriens→Fräkmüntegg

 おはようございます。2024年7月8日、スイスはルツェルンからお届けしております。今日はルツェルン近郊に聳える2000m級の山「ピラトゥス」に登ります。

 この写真が何かというと…自分もよく分かりません。なぜ撮影したのでしょうか。たぶんあっちの方角にピラトゥス山が見えるはず…というやつです。

 時刻は午前11時といったところ。プラハから移動してきた友人と合流しロープウェイの駅へと向かいます。夜通し座席列車に乗って来たらしい。普通にしんどそう(笑)

 あんまし人いないかな〜と若干楽観的に行ってみたら普通に人並んでて草。でも、できる男なのできちんとオンラインで切符は買っておきました。あとはちょっとゴンドラの順番が回ってくるのを辛抱するだけです。

 いまいちどこにいるか分かりづらいと思うのでPILATUSの公式サイトから地図引っ張って来ました。ピラトゥス山をおよそ東から見た時の模式図です。今いるのが右手の麓の方「KRIENS」と書いてる場所です。

 ここからゴンドラに乗って中腹約1400mに位置する「Fräkmüntegg」という駅まで登っていまいます。本当は麓から登りたかったですが、夜通し列車に乗ってた人間を引き連れていたので流石に断念しました。

 チケットを確認してくださった方はどうやら日本人でした。お互い分かったみたいで日本語で話しかけられました。アジア人の見分けは案外容易ですからね。白人内の差は全く分かりませんが。

 さて、ゴンドラは4人乗り。自分らふたりと後ろには3人家族か。と貸切を確信して乗り込むと係員が後ろの3人も詰め込んできました。ええんか!?とビビりましたがご家族も戸惑ってたみたいなので係員が悪いです。

 スキー場のゴンドラと感じはほぼ同じなので、駅構内のコンベアからケーブルに乗り換えると「ググッ」という加速感と共に明るい屋外へ飛び出し上昇します。今更ですが晴れて良かった。

 ふと眼下に目をやると先ほどまでは大して並んでいなかったゴンドラの待機列が4倍か5倍くらいに伸びており、あぶね〜と安堵。観光バスが立て続けにやって来たみたいです。マジでギリギリだった。

 Kriensの駅はそこら辺の住宅街の中にポツンと突然現れるので運ばれた道へと目をやると整然と住宅街が広がっています。右手の方に見えている湖の辺りにルツェルンの中心市街があります。

 それにしてもこの向きで眺めるとスイス北部ってあんまし山が無いように見えますよね。どっちかというとチェコみたいな丘陵が多い国家的な?IC(都市間特急)に乗ってた時も似たような景色でした。

 このゴンドラは途中にKriensereggという途中駅があり、子供たちが楽しく遊べそうな大型遊具がある公園が併設されているみたい。今回は山登りのために来ていますが本来ここは山岳リゾートですから。

 グイグイ標高を上げて15分ほどすると針葉樹が減って来て開けたオープンが目立つように。道を登ってくる人やMTBでゴリゴリしてる人がちらほら。やっぱ歩かんで良かったわ。絶対しんどい(笑)

Fräkmüntegg→Klimsenhorn

 ゴンドラに揺られること20分でFräkmüntegg駅に到着です。ゴンドラはここで終わり輸送はロープウェイに引き継がれます。が、もちろんここからは歩いて登ります。そのために来たんですから。

 とは言うもののこの岩壁を見ると…うっ…少し気の迷いが…いや、ダメです。昨日はルツェルン駅のバーキンでカーボローディングをしたんですから。きちんと消費していかないと太ります。

 しかしまぁ、なんと景色の綺麗なことでしょう。小さな花たちが可愛らしく咲き誇っています。ベビーカーを押す人や杖をついた人もおり山の上とは思えない雰囲気です。

 眼下にはフィアヴァルトシュテッテ湖の湖面が広がりその先対岸にはルツェルンのもう一つのシンボルであるリギ山などが連なっています。山がちなのは日本も同じですが湖があるところが大きな違いですね。

 さあ、靴紐結んで気合い入れて登っていくぞ〜と意気込んだのも束の間、なんとこの先崩落のため登山道通行止めという案内が。オワッタ(^。^)

 しかしここはオリエンティアらしく、別のロープウェイの終着駅に向かってそこから頂上へアクセスする登山道へ乗り直そうと再プランニング。若干距離と登りが増してはしまいますが流石にここまで来て帰りますはナシです。

 気を取り直してしばらく下っていく道を走っていると何やら「ガランゴロン」と少し重厚感のある金属音が聞こえて来ました。

 そうですね。カウベルの音です。クマ鈴のチリンチリンという音とはまた違った重々しくも心地の良い音に癒されます。それにしてもそこらへんで普通に放し飼いにしているのすごいな…

 舗装路からトレイルに入りペースアップ。きちんと整備された道なので走りやすく気持ちよく駆け抜けられます。もうすでに最高なんだが?

 右にはピラトゥス、左にはルツェルン湖とリギ山という贅沢なロケーション。こんなに眺めの良い場所が大きな都市からすぐそこにあるというのが俄かには信じがたい。

 30分くらいで別のロープウェイ駅に到着。美味しそうな生ハムとワインを提供しているレストランを横目にお手洗いをお借りしてすぐに出発。ちょっとだけ急ぎます。

 ここからはついに登りが開始。先ほどからずっと見えていた岩壁の方へと向かって歩みを進めます。写真右手奥には乗ってきたゴンドラの駅が見えてますね。

 最初は尾根を直登する針葉樹の森ですがすぐにその区間は終わり、トラバースしつつ登っていくスリリングな道へと変貌しました。

 大雨が降ったらすぐに地滑りして崩壊してしまいそうな急斜面をコンタしていく道なのでよろめかないように慎重に走ります。慎重に走るとは何なのか()

 ますます道は険しく恐ろしくなっていきますが、それに比例して眼下に見渡す眺望もますます素晴らしくなっていきます。山裾で隠れていたルツェルン市街も見えるようになりましたね。

 全体的に標高が高いので涼しく感じるスイスですがここは標高1500m。気温に加えて涼しく風が吹いているのでちょっと肌寒く感じてくるくらいです。

 森林限界に近づくとなんか…こう、表現し難いですが深山幽遠とした景色が広がります。ゴロゴロと身長より遥かに大きな岩が転がる沢。さらにその奥に聳え立つ何mあるのか分からない巨大な岩壁。

 そんな深山の境地と言ってもあながち間違いでは無い場所を飛び越えていくロープウェイ。右上にケーブルが架かっているのが見えますよね。マジで文明の利器って感じですわ。

 ここまでくるとコンタして登ってという感じもなくなり九十九折りで必死に高度を上げる険しい道に変わります。周りが草原なだけにのどかと言えばのどかですがガチでしんどい…

 しかも足元が土ではなく崖が崩壊して堆積したであろう石灰岩質の砂礫なので、滑ったり足を取られたりして疲労度がゴリゴリ蓄積していきます。

 ほれほれ、もうちょいもうちょい、と山屋が言いがちな定番フレーズを既に疲労が見える友人に言いながら登っていきます。普通は不眠だった日に山登るもんじゃないよ。

 とか言ってたら目前の鞍部に何やら不思議な建物が…?ロープウェイも何も通っていないのになかなかしっかりした建物のように見えますがあれは何でしょう…?

Klimsenhorn→Pilatus Kulm

 鞍部の先にあるのがKlimsenhorn(クリムセンホルン)という小ピーク。気付けば時刻は13時半を回る頃合いに。教会もあったことですし休憩しましょう。

 そよ風に吹かれつつピラトゥス山の北壁を眺めますが本当に荒々しい山容です。登ってる人でもいるんじゃ無いかと目を凝らしてみましたが流石に見つけられませんでした。

 山頂にはこんな感じで十字架が立っています。遠距離からだとそこまで大きく見えませんが近寄ってみてみると身長の3倍くらいはある超巨大なオブジェです。

 先ほどの教会といいこの十字架といい結構キリスト教関連の遺物や施設がちらほら見られます。そもそも山名の由来となったピラトゥスという人物はイエスを処刑したローマの軍司令官だったりするので関連があるんでしょうか。

 まあそういう俗な説は置いておいて景色を堪能しましょう。せっかく山岳国に来ているんですからね、何だかガスって来ましたがピラトゥスの方を眺めます。

 ここの標高は既に1900mあるのであと200mも登ってしまえば今日の登山はほぼ終わったと言えるくらいなのですが…本当に200mで済むの?という圧倒的な存在感があります。

 相変わらず九十九折りが続く岩の道を登っていきますが完全にガスってしまいました。下が見えないので怖さ控えめというのはありがたいですが景色が見えないのは残念。

 厳しいと連呼する友人に「もうちょっとだから」の定番フレーズで追い立てます。ごめんて、嘘じゃないよ。あと100m登ったら着くからすぐだって(笑)

 なんかすんげぇ岩壁にぶち当たったと思ったらなんかすごい道が続いています。よく分かりませんがこっちの方だと案内板が言っているので従って進みます。思ったよりすぐ登って来れたな。

 有難いことに手すりがついてるなぁと思って下を見たら断崖絶壁だったので納得。落ちたら肉片になるまでスライスされそうな感じでした。怖いねぇ。

 案内板の矢印が急に岩壁の方を向くのでどうしたもんかと思って右手を見るとこんな隧道が続いていました。ここに来ると急に人が増えたりとなんかいろいろ想像を超えて来るのが凄い。

 しかもこの隧道、どうやら重機を使っていないらしく高さ2mほどの岩肌剥き出し仕様です。ほぼ山頂なのにどこからこんな水が…というくらい湿った道でした。あの光の先は…

Pilatus Kulm⇄Tomlishorn

 トンネルを抜けると、そこは山の上でした。東西に連なるピラトゥスとその連山の尾根をくぐるトンネルだったんですね。

 反対側の南斜面はこんな感じで大きな谷になっており先ほど見えていたロープウェイや写真に映る登山鉄道、ホテルや展望台、レストランなど山岳リゾートとしての施設が充実しています。

 流石に昼食を取ろうということで展望デッキのベンチに腰掛けスーパーで買ったパンにジャムをベタ塗りしてパクパク。クロワッサンも買っておいたので準備に不足はありません。

 そんなふうに食事をしているとワラワラと黒い体に黄色の鮮やかな嘴をした鳥たちが集まって来ました。キバシガラスと言ってユーラシアの高山に生息している高所に順応した鳥らしい。かわいい。

 展望台ではインターネットが使えたのでZoomで地図読みに参加したり鳥と戯れたりしばし休憩。ガスってはいますがなかなか悪くない場所です。

 展望台の裏手には岩峰に無理やり作ったみたいな階段があるのでせっかくなので登ることに。何故だかわかりませんが足腰に不足がありそうな皆さんが気合い入れて登って大渋滞してました。

 10分ほどかけてEselというピークまで登るとホテルや展望台をさらに見下ろせる位置に。標高は2119mとピラトゥスでは2番目に高いピークです。

 晴れてさえいれば360度の大パノラマが堪能できるスポットらしいのですが、本日は残念なことに周囲が雲に覆われており南がちょっと見える程度でした。残念。

 さて、ここから少し離れたところのTomlishorn(トムリスホルン)というピークが標高2128mでピラトゥスの中で一番高いという話なのでそちらへ向かいます。

 水平歩道よろしく岩壁を穿つように作られたトラバース道を進みます。かなり狭い歩道なのですれ違うのも大変ではありますが簡素な柵くらいはあるのであちらよりは安全ですね。

 登山道に沿って南西に進むと少し雲が晴れてずっと先の景色がチラッとですが見えるように。ゴツゴツした岩峰に氷河が付いているのが見えてテンションが上がります。

 日本の山なら大体いる場所と方角さえ分かればどんな山が見えるか分かるものですが、流石にスイスの山は詳しく無いので誰かわかる人がいたら教えてくだしあ。

 時刻は15時過ぎ、Tomlishornに到着です。ここまでEselから歩いて来るうちに一部雲が晴れて「お先真っ白〜」という状態は何とか回避できました。

 鋭い尾根を挟んで左手(北側)は分厚く濃い雲が充満していますね。こういうところは日本のアルプスも似たような感じなので不思議で面白いところです。

 友人はギブして途中のベンチで睡眠してるので眺めを堪能するのもほどほどにさっさと戻ります。まあほぼ徹夜な状態からで連れ回してしまい申し訳ない(小並感)。

 こんな感じの切り立った岩壁。もちろん繰り抜いたところもあれば巨岩の隙間やクラックをうまく活用したところもありそそりますね。これを水平歩道と名づけましょう。僕が今初めて考えました(既出)。

Pilatus Kulm→Kriens

 山岳鉄道の駅に戻ってくると何やら飛んでいる人が。パラグライダーの皆さんですね。こんな公共交通と近いところで飛んで大丈夫…?と心配になりつつスゲーと眺めます。やりたくは…ちょっとある。

 また、この登山鉄道もなかなか面白くてですね、世界で一番勾配がキツい鉄道として知られています。何とその斜度は最大で48%(480‰)。33‰でも急と言われる鉄道ではありえない急勾配をしています。

 そんな珍しい鉄道にぜひ乗りたかったんですが、乗ってしまうと別の麓の駅に飛ばされ戻って来るのにお金も時間もかかってしまう事から泣く泣くロープウェイで下山。まあまた来るっしょ知らんけど。

 ロープウェイ乗り場には世界各地の時間を示した時計が。ここはスイス、中央ヨーロッパ時間なので標準時+1です。が、サマータイムなので+2となり日本との時差は7時間です。

 いざロープウェイで降り始めるとなかなかに素晴らしい景色が。乗り込んですぐ奥の方に分け入って窓際を確保した甲斐がありました。フィアヴァルトシュテッテ湖の大展望です!

 それにしても不思議な形の湖だこと。この複雑に入り組んだ湖の形と湖岸線のおかげで、このルツェルン周辺はライバルひしめく中央スイスの中でも指折りの観光リゾートとなっています。

 Fräkmünteggの駅でロープウェイからゴンドラへと乗り換え。朝はなかなかに混雑していたこのゴンドラでしたが、流石にもう夕方5時となる頃合いなので普通に空いてました。

 あ〜なんだか充実感の溢れる登山だったな。初めて海外の山に登りましたが公共交通も堪能できて大満足。そんな感慨を抱きつつ下界を眺めてました。

 名残惜しくはありますがピラトゥスを後にします。しっかりアルペンチックな山容で良い山でした。

 駅の売店でカウベルでも買って行こうかと思いましたが流石にやめときました。どうせ置物になるでしょうしね。何より明日がありますから。

 宿までの帰り道に「MM」というスーパーがあったので今日の晩御飯と明日の朝ごはんを買い込みます。スイスはスーパーが閉まるのも異常に早いですからね。

 スモモの缶詰と日清のカップヌードル、ヨーグルトとドリンクで確か10フラン(2000円)くらいしたかな。栄養バランス終わってますが仕方がない。だって金欠だもん(笑)

エピローグ

 初の海外登山、ピラトゥス山でした。ルツェルンに滞在するからと選択した山でしたが思いの外どころか非常に素晴らしい山でした。

 登山道もきっちり整備されている上にロープウェイや登山鉄道が通っていますから安心安全。その気になれば今回とは逆にロープウェイで登って走って下るということもできますから。

 スイスというとツェルマットやグリンデルワルドがどうしても有名なのでそちらに目を奪われがちですが、本当にどこに行っても素晴らしい山々があるのでぜひ行ってみてください。

 次回はどこかというと、その、はい。グリンデルワルドです。そりゃ行きますよもちのロン。それでは次回もよろしくお願いします。

関連記事

前回

 まだ

次回

 まだ

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました