【再編集版】出場して分かった、トレランの競技性と大会の方向性(Kobe trail 2025)

登山情報

はじめに

 どうも、Twitterで炎上しましたpolarisです。私はトレイルランニングの大会というものがどのような形で行われているのか、それを体感すべく4月20日に神戸市で開催された「Kobe trail」という大会に参加してきました。

 ルートを間違ったりしてしまうと困るので、事前にきっちり試走した「割とちゃんと出場するつもり」で参加した感想、発見した問題点、改善すると良くなるポイント、その他について書き連ねて参りますのでぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。

「Kobe trail」について

どんな大会なのか

 詳しくは大会HPを見ていただきたいですが軽くどんな大会なのか紹介しておきましょう。

  • 開催日:2025年4月19・20日
  • 距離:21K/15K/4K
  • 参加費:¥18000/¥9000/¥6000
  • 提供:SALOMON
  • 特別情報:GTWS第1戦

 必要な情報としてはこんなもんでしょうか。昨年2024年より始まったレースで今年で2回目の開催のまだ新しめの大会みたいですね。

 とはいえ、オリエンティアでもお世話になっているSALOMONがプロデュース(宣伝に「powered by SALOMON」と書いてあるだけで協賛だけかもしれません)していることに加え、GTWSというワールド・シリーズの一戦ということでしっかりした大会といった印象を受けます

GTWS

 「GTWS」という聞きなれない単語、どうやらこんなシリーズ・レースだそうです。

 サロモンによって設立された世界唯一のトレイルランニングレースシリーズ。
 シリーズはワールドシリーズと、国・エリア毎のナショナルシリーズで構成され、世界のトップトレイルランナーが集結しNo.1を競います。
 ワールドシリーズは通称「GTWS」と呼ばれ、2025年はヨーロッパと北米を中心にアジアの二カ国も追加した全8戦+最終戦で構成されます。

 なるほど、要するに世界大会ってことですね。SALOMONが設立したと書いてありますからその品質や競技性はある程度担保されていると考えて差し支え無さそうです。

 スイスのトップオリエンティアや日本で有名なトレイルランナーも多数参加していて随分と盛り上がる大会と聞いています。楽しみですね。

実際に走るよ!

試走(2月17日)

 せっかく出場するのにコースをロストしてしまっては勿体無いですから掬星台まで公共交通機関で行って試走することにしました。往復で3000円と結構お金がかかってしまうのが山岳交通の大変なところですね。

 大会当日では無いので荷物置く場所はありません。全部を持ってとりあえず周回しました。六甲山のマイナールートを通るという事もあって枝道や踏み跡も多く迷ってしまう人も多そうですね。

 結果として2時間42分くらいで試走終了。タイム的にはレースペースなら総合入賞、今日のタイムなら年齢別で入賞できそう…というくらい。当日頑張りましょう!

レース(4月20日)

 レース当日、テーピング、レース前のアップ、アミノバイタルも飲んでしっかり準備します。試走の際はザックからinゼリーを取り出して補給していましたが、ちゃんとジェル系飲料も十分な数用意して飲み水も片方(500ml)は経口補水液にするなど考えつく準備は全部しました。

 そして、レースを実際に走りました。結果は総合24位/年齢別7位の2時間47分という惨敗。試走より準備万端であったにもかかわらずタイムを落としてしまい冴えないレースとなってしまいました。

 敗因としては試走時より気温が10度以上高い(当日の最高気温は21度)だったことと、ループ2の尾根の取り付きでギアをあげたのが原因でバテたのが理由でしょうか。高温に弱い自分の弱点が突き刺さった印象を受けましたね。

良かったポイント

荷物置き場がある

 驚いたことに会場にスチール製のラックが並べておりそこに荷物を置いておける様になっていました。誰かが監視をしたりしている訳ではありませんでしたが、目の届かないところに放り出しておくよりは気持ち的にも安全というのは間違いないです。

 写真を撮れていないのが残念ですが、これが結構しっかりしたもので設置も撤収も、そして何より運搬にも相当コストがかかっているなと感じました。

会場が近い(距離的・心理的に)

 今回の会場である摩耶山掬星台はトレイルランニングの大会にも関わらず「都市型」と銘打っているだけあってアクセスが非常に良好。ロープウェイとケーブルを乗り継ぐだけですぐに到達できます。

 距離もアクセスも良好なので参加することそのものに対するハードルが低めだと感じました。参加自体に抵抗感を持たなくて済むのは良ポイントだと思います。

昼からの出走

 スタート時刻はお昼も正午を回った13時過ぎ。これは恐らく一般登山客との動きを逆にするための施作では無いでしょうか。

 摩耶山に登ってくる登山客の多くは朝に登り、昼に下山するという行動パターンの場合が多いです。出走時刻を昼すぎにすることで少しでもすれ違いを減らそうとしているな好感を得られました。

気になったポイント

参加費が高い…

 本当にごめんなさい!参加費に関しては、運営としてもいろいろと考えて設定しているでしょうからそう思うんなら参加せんといて、というのが当然と理解しています。

 でもやっぱり大学生に10000円の参加費は結構沁みます…軽いお財布がもっと軽くなってしまいます。もうちょっとお安ければ手軽にいろんな大会に出てみようとなれるのですが、遠方の大会は交通費も考えると結構大変です…

コースについて(自分の場合)

 ループ1を終えた後に写真のようなΩのロードがあります。黄色の線で示したように道の左側に対して運営者が設置してくださった短冊が続いていて多くの競技者がそれを辿って走っていたようです(現地とGPSログより)。

 そこで私はΩカーブをショートカットする青い点線で示した道に入り込んでしまいました。私だけでなくしばらく離れた後続の数人も入り込んできてしまっていました。

 現地の様子を写真と図で見るとこのような形です。黄色が実際に短冊のついていた位置で赤色のルートに誘導するようつけられていたみたいです。

 しかし私は左手に続いている誘導を見ていて、さらにその先に左手に小径が続くのが見えたものですから迷いなくそこに入り込んでしまいました。

 すぐ先の誘導員にレース中にすぐ報告しましたが人員がいないとのことで取り合ってもらえず。きっとこのかたはボランティアだったでしょうから、対応できないのも無理はありませんね。

 あまりに間違える人が多かったのか、ループ3で同じ箇所を通過した際には看板が設置されていましたが柵に立てかかっていたのでよく見えず。ひとまず赤ルートで通ることとしました。

 レース完走後GPXファイルとコースマップの両方を確認しました。

 GPXファイルは多少の誤差がどうしても生まれるものですので確実なことは申し上げられませんが前後の折れ曲がった点の間隔からしてロードを走るのであればもっと大きく曲がっていないとおかしいのでは、というのが受けた印象でした。

 また、コースマップについては解像度の関係でこちらも判断しかねますが薄い青色で示された道路の形にはどうにも沿っているようには見えず…やはり小径でΩをショートカットするのが正しいルートだったのかなと思いました。

コースについて(トップ選手の場合)

 これらはどちらもStravaに掲載されていたトップ選手のGPSのルートです。先ほど指摘したΩについてはトップ選手も道路を走っているのでなんとも言い難いところがありますが、もっと見て欲しいところがあります。

 それはΩの上のU字カーブのところ。GPXファイルは文字列なので技術があれば編集することも可能だと前置きしておきますが、コースをショートカットしているように見えます。

 実際、ここには小径があり私が走った15Kのレース中は誘導員がここに立って看板と指示で競技者がU字の道に進むよう誘導を行っていました。

 トレイルランニングのレースでコースをショートカットすることはルール上許されているのかなと疑問に思った点です。

ナビゲーションの主体は誰?

 以上のコースについての疑問点も踏まえて抱いた感想は「ナビゲーションの主体が競技者なのか主催者なのか明確でない」というものでした。

 もちろん「コースを正しく走るナビゲーションをすることは競技者の義務です」と大会の競技情報に明記している大会もあるようですが、今回の大会を踏まえその主体がどこにあるのか疑問に思いました。

 コースには短冊による誘導がつけられ右左折や分岐点には看板や誘導員が設置され一見すると主催者がコースを明示しているのかと思いきや、誘導がコースと違っていたりもしており不確実な様子。

 全ての大会に適用されているわけでは無いようですが、日本トレイルランニング協会の示している競技規則には競技者がルートを辿る義務を持つのか、それとも主催者がルートを示す義務を持つのか。曖昧でよくわからないという点が気になりました。

参加賞について

 渡された配布物の中に注文した覚えのない白いTシャツが入っていてビックリしました。どうやらこれが参加賞みたいです。

 デザインとかに関してはここで評価こそしませんが、正直なことを言ってしまえばあまり欲しいと思わないのでその分参加費を安くして欲しいな…と思ったり(デザインされた方、本当にごめんなさい)。

 サイズも合わないので普段着としても着れないしどうしよう…と扱いに困ってしまいました。事前に聞いていただく形でも良いので、せめてサイズは選ばせて欲しかったな。

運営に関して

 複数の大会運営に参加したボランティアさんから、運営の準備や指示が雑であったという報告を耳にしました。

 具体的にはボランティアの申し込みをして実際に当日働くことが決まっても、事前に配置や業務内容について説明がないというものです。選手の誘導や受付などがボランティアさんができる仕事かなと想像しますが、当日来ていきなりこれやってというのも少し準備不足のように感じました。

 また、当日誘導を行うために必要なコーンやテープ類はそもそも必要な数だけ十分に用意がされておらず誘導員が全力の身振り手振りで活動していたなどのこと。確かに腕を全力でブンブン振ってる人は多かったですね。

 今回の大会は有名な選手を招待したりディスコやマルシェといったイベントも行っているとのことでそちらにお金がかかってしまうのかなと想像したりしましたが、ボランティアさんに働いてもらっているくらいですからそこはきっちり対応してあげて欲しいなと感じました。

分かったこと

思っていたよりも厳格じゃない

 私のイメージとしてトレイルランニングというものは「決まったコースを誰が一番早く走れるか決めるレース!」という感じでした。

 しかし、実際はみなさん早さを競うというよりは完走することや山中で発生する不測の事態にスポーツとしての楽しみを見出しているようで、レースが終わってもコースについて何か言っている人とかは特に見かけませんでした。

 もっと厳格に決められた大会ももしかしたら存在するのかもしれませんが、今回参加した大会に関してはゆるゆるふわふわという感じだったようです。

一斉に走ると…

 同時に全員がスタートするという以上どうしても仕方がないのですが、結構混雑します。特に道が細くなる箇所などはスピードも落ちるし人も密集するしで結構つっかえてわちゃわちゃしてしまいました。

 また、これも仕方のない事ですが、次から次へとランナーがやってくるので大会に参加していない登山者の方がずっと避け続けて進めないといった状態も実際にたりました。やっぱり関係ない人からしたら結構待たされて気分は良くないんじゃないかなという想像です。

運営費はどこへ…

 トレランの大会を運営したことのない立場で申し上げることになりますが、誘導に使うためのコーンやテープが足りないのはやっぱり問題だと思います。Tシャツを参加賞として配布しないで、必要な資材にお金を回すなど準備に対してお金をかけて欲しいです。

 あとはボランティアさんに働いてもらった分のお金を渡すとか。善意で働いてくれる人に頼っているのに準備が酷いといずれ見放されてしまうんじゃないかなと感じました。

学んだこと

ガチなつもりで行かない方が良い

 結構ゆる〜くコースを回って来れたらOK、それでタイムが早くて入賞もできたらラッキーだな。という感じの雰囲気を感じました。

 自分がいかにタイムを縮めて走ろうとするかを考えて参加するとその気持ちと雰囲気のギャップに驚いてしまうと思います。

自分には向いてない

 やっぱりトレランはしんどいです。ずっと決められたコースを走るので「何でこんな苦しいことしてるんだろう…」って虚無感に陥ってきます。

 自分には同じコースをただ走るだけなのは向いていないようなので今後は参加することはないかな…

かつての経験から

polaris_outdoor_blog
【短編】クレフェス運営と渉外問題未遂-caused-by-(何/

 私が大学に入学した1年目、大会の運営で発生した問題の原因がある程度何となく察することができました。競技としてガチガチに決められていないというトレランの良さが裏目に出た形でした。

 どういうスタンスや考え方でトレイルランナーの皆さんが走っているかおおよそ理解することができたのでこれをしっかり生かして大会運営していきたいですね。

結論

お金がある時に参加しよう。

レースは割と適当なところが多いので、求めすぎない。

 というような感じでしょうか。お金に余裕があればどんどん参加できそうですが、お金が無いうちにはこの出費は結構な額かなと感じました。

 レースに関してもそこまで厳密であることは求められていないようなので、そういう心づもりで参加することが精神衛生的にも良いことだと思います。

 私はスポーツとして自分に向いていないことが分かってしまったので今後は参加しないです。

おわりに

 と、いう感じでした。普段、記事を書く時はこういう感じでとにかくニュートラルにという意識を心掛けていたのですが、いやはや失敗してしまいました。思っていても書くべきではない事とデカデカと書いてしまったのが間違っていた点でした。

 トレイルランナーの皆さんには個人的な意見をお見せしてしまってだいぶ嫌な思いをさせてしまったかと思います。改めて申し訳ございませんでした。

 誘導のつけ間違いに関する疑念点とか、コースを辿る責任が誰にあるかとか、あるいはボランティアによる運営とか。気が向けば着目していただいて、ご自身がレースを走るときに気持ちよくあれるようにしていただければと思いました。

 それではまた〜👋

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました