お久しぶりです。polaris_outdoorです。
今回は、GPSウォッチを中心にウェアラブルヘルスケアデバイスを展開している「ZeppHealth」様よりご提供いただいた「Amazfit T-Rex 3」という商品についてレビューいたします。
提供していただいた商品ではございますが、担当者様より「何なりとレビューしてください」と言って頂けましたので遠慮せず全開でいこうと思います(笑)
普段のトレーニングでの使用感は勿論、愛用しているSuuntoとの比較も併せて「Amazfit T-Rex 3」という商品の詳細が分かるよう綴って参りますのでどうぞ最後までよろしくお願いいたします。
総評

「Amazfit」とは
近年、益々の盛り上がりを見せているスマートウォッチ界隈。有名どころとしてはAppleが展開する「Apple Watch」シリーズは言わずもがな、陸上選手を中心にスポーツウォッチとして人気を博する「Garmin」、「Samsung」や「HUAWEI」の商品も家電量販店でよく見かけます。
そんな競合ひしめくスマートウォッチ業界、その一角を担っているのが「Amazfit(アマズフィット)」です。
ZeppHealthについてはあまり深く存じ上げませんがヘルスケアデバイスを中心に取り扱っている企業だそう。中国発の企業ですがNYSE(ニューヨーク証券取引所)にも上場しているので信頼に足る企業と言えるでしょう。
そんなZeppHealthが展開するウェアラブルデバイスブランドが「Amazfit」というわけです。公式サイトによると22年第3四半期では出荷台数国内3位らしい。Apple、Garminに続くと言えば分かりやすいでしょうか。Suuntoよりよっぽど売れてますね(笑)
ネットの情報を見てみると「Amazonと名前を似せている」や「Xiaomiと関連性がある」といった情報が見受けられますが、ZeppHealth及びAmazfitブランドにそのような意図や関連性は全くないということにご留意いただきたいです。
製品概要
公式スペック

本体
ディスプレイ
バッテリー
スポーツ・ヘルス機能
ざっと重要な機能を網羅するとこのようになりました。やはりディスプレイがAMOLED(有機EL)というところには注目したいですね。MIPディスプレイでは少し見づらい環境(快晴の屋外など)でも色彩豊かで輝度の高いAMOLEDディスプレイですので非常に見やすいです。
また、スマートウォッチという分類ではありますが、きっちりデュアルバンド対応のGPSを搭載しているので測位精度についても心配いらないのではないでしょうか。後の項目で検証します。
バッテリー持ちに関しては「27日間」と謳われています。が、心拍数が5分ごとの測定だったり文字盤が静止画だったりとそれなりの制約を設けた状態での数値のようなので、実際の使用環境でどのくらい持つか気になるところです。こちらも後ほど検証していきましょう。
この価格でこれだけの様々な機能を備えている…他ブランドなら5万円どころか10万円くらいしていても不思議ではないスペックです!期待が高まりますね。
開封・内容物

パッケージはスッキリとしており良いですね。シンプルイズベスト、です。

箱を開けるとこんな感じで本体がドンと入っています。土台に等高線が配われているのが「アウトドア向け」という感じがして良いです。
バンドのカラーは「オニキス」。黒瑪瑙ですね。
付属品は以下の通りです。
- T-Rex 3本体
- ユーザーマニュアル
- 充電ベース
- ドライバー
- バンド換装用アダプタ(2つ)
外観・機能レビュー
外観

開封してまず感じたのは「デカい」という印象。それもそのはず、約49mmあるのでかなり巨大です。以前愛用していたSuuntoの「Vertical」というモデルとほぼ同じサイズ感なので違和感こそ無かったが大きいものは大きいです。
ぱっと見、ゴツゴツと角ばったスタイルや隅に配置されたネジのデザインなど「The アウトドア」という感じ。スマートウォッチとしては若干好み分かれるところとは思いますが、アウトドアスタイルとしては非常に良いと思います。
また、本体が樹脂製という割にそこまでチープさを感じない。樹脂部分が黒色でぱっと見で素材を判断しにくい事に加えて、表面がステンレスなので光を反射しやすいので全体的な仕上がりがまとまっていることが要因ではないでしょうか。
その上驚いたのが「非常にディスプレイが大きい」ということ。1.5インチという事でスマートウォッチの中では最大級。その分本体が大きくはなりますが「見やすい」は正義です。
ヘルスケア機能
AmazfitはZeppHealthが展開しているヘルスケアブランドですから勿論気になるのはヘルスケア機能です。一通りあって欲しいものは網羅されているので順に紹介します。
心拍数トラッキング

まずは定番の「心拍数測定機能」から。デフォルトでは5分ごとの測定となっていますが、測定間隔は1、5、10、30分と選択することができ1分ごとに計測する状態に設定するとバッテリーが著しく減少するという警告が出ます。
また、リアルタイムな測定に加えて10分間の心拍数が高すぎたり低すぎたりすると警告してくれるアラート機能や、移動を検知すると自動で測定回数を上げてくれる「アクティブ心拍計」という機能もあるようです。
睡眠トラッキング

こちらも定番な「睡眠測定機能」について。睡眠時間や寝ている時の心拍数計測についてはもちろん、深い睡眠やレム睡眠、覚醒回数についての項目もあり充実しています。
睡眠測定を行うのに特に操作などは必要なく、布団に入って就寝するとウォッチが自動的に体の動きや心拍数の変動、呼吸回数などを検知して睡眠測定を行ってくれます。

レム睡眠や深睡眠などはこうやって時間や程度を一覧で表示した上にその状態が適切であるかの目安も詳細で見れるのでなんだか嬉しい。
それ以上に睡眠スコアが具体的な数値として出してくれるので自然と「明日は『良い』睡眠にしてスコアあげよう」と思う事ができます。長すぎても下がるようなので適切な時間が大事です。

また、「Zepp Aura」という睡眠アシストに特化したサブスクサービスもあるようなので非常に睡眠分野に力を入れていることがわかります。
月10ドル、年30ドルという比較的安価なので睡眠に不安を抱えている方は入ってみても良いのでは?
ストレス値

心拍数の計測と通じて得たHRV(心拍数変動)データでストレス値を計測してくれます。睡眠中は低くランニング中は高い様子が見て取れますね。
体感としても「しんどいなぁ」って感じてた時(バイト中とか)はストレス値が上昇していたりするので整合性は取れていそうです。
その他
以上に挙げたもの以外にもいろいろとヘルスケア機能は多いです。
ワークアウト機能
ヘルスケアだけでなくアウトドア等でも使用できるというのがT-Rex 3のウリですからこちらも気になるところ。日々のトレーニングの助けになる機能も豊富に用意されています。
GPSトラッキング

何よりも大事なGPSロギングは勿論あります。GPSの精度も実用上十分なようなのでトレーニングやレースの反省には使えると言えるでしょう。
地味に嬉しいポイントとして直接アプリからGPXファイルを出力することができるのでオリエンのルート図を作る時も労力が少なく済みます。何のことか分からない方は忘れてください。

また、種類にもよりますがアクティビティ中の様々なデータも計測して閲覧することができます。例としてランニングの場合を示しておきますね。
オフラインMAP

あらかじめスマートフォンから一連の操作い地図をダウンロードしておくことで、登山やトレイルランニングなどオフライン環境下でもウォッチの画面上に地図を表示することが可能です。
地図はベーシック・スキー・コンタマップと3種類用意されており、各地図ごとに強調されている内容が変わります。ダウンロードにそこそこ時間がかかる点は注意が必要です。
また、アプリから直接登山などのコースを設定することはできませんが、YAMAPやヤマレコから、あるいは直接GPXファイルをインポートすることでルートガイドを設定することが可能です。
YAMAPやヤマレコと「連携している」と宣うブログ記事等も散見されますが、連携があるわけではありません。一般的に使用されるGPXファイルをインポートする機能があるだけです。また、YAMAPやヤマレコからGPXファイルを出力するには有料プランに加入する必要があります。
VO2Max

ランナーなら誰もが気になる自身のVO2Maxを測定する機能も勿論ついています。
体感としてはSuuntoと同じくらいの値が出ているような気がします。GarminやCorosよりは2くらい低く出るという話を聞いたことがあります。
レディネス

睡眠トラッキングを通じて「レディネス値」という身体やメンタルの回復度合いを示す指標を提示してくれます。体感良く寝られた日は見るからにこの値が向上するので、数値を上げるために良い睡眠取りたくなります(笑)
その他
他にもアクティビティ・ワークアウトに関する計測項目は多いです。
スマートウォッチ機能
全般

そういえばこの子、スマートウォッチでした。天気やカレンダー、アラームやミュージックといったスマートウォッチとして要求される機能も一通り用意されています。
また専用のストアにアプリが用意されているのでそこからダウンロードすることで機能を増やすことが可能です。無料のものから有料のものまで幅広く取り扱われているようです。ミニゲームなんかも入れれるらしい…
ウォッチフェイスカスタマイズ

同じくアプリの専用ストアからさまざまな種類のウォッチフェイスを選択することができます。デフォルトでウォッチに内蔵されているものは数少ないですが、ストア上に非常に沢山あるのでお好きなものを選ぶと良いと思います。
私は夕暮れ時に撮影したスウェーデンのガムラスタンの写真をカスタマイズしてウォッチフェイスにしています。AMOLEDの高精細さと高輝度が相まって腕を上げるたびに美しい写真を見られるのがお気に入りです。
Zeep シリーズ

こんな感じでZeep 〇〇と名前のつく機能がいくつかあります。どれも今流行りのAIを使用して自身のワークアウトを分析しトレーニング計画を立ててくれたり、睡眠を分析してその改善方法を教えてくれたりするようです。
また、内蔵のマイクを用いて音声で多機能AIを呼び出すことができ、タイマーやストップウォッチの始動など音声入力に対応します。20万するGarmin Fenixシリーズと似たような機能です。
バッテリー検証(Suuntoとの比較)
それではいよいよ皆様が気になっておられるであろう、実際に使ってみた時のバッテリー持ちについて検証していこうと思います。
主に私がこれまで愛用してきたSuuntoとの実用上の比較となります。
スペック比較
まずは軽くスペックを表で比較してみましょう。こうして見るとT-Rex 3の価格の安さが際立ちますね。
Amazfit T-Rex 3 | Suunto Vertical | Suunto Race S | |
価格(¥) | 39900 | 129800 | 64900 |
サイズ(mm) | 48.5×48.5×13.75 | 49×49×13.6 | 45×45×11.4 |
重量(g) | 68.3 | 74 | 53 |
素材 | ステンレス・樹脂 | チタン | ステンレス |
ディスプレイ | AMOLED | MIP | AMOLED |
解像度(インチ) | 480×480(1.5) | 280×280(1.4) | 466×466(1.32) |
バッテリー検証
さて、Suunto Race Sとのバッテリー比較検証です。念の為言っておきますが、T-Rex 3とRace Sでは筐体のサイズが大きく違う、つまりバッテリー容量が違うので純粋な比較はできません。
一応Race Sと比べてみたときにどうかという程度の参考のつもりで参照してください。メインで見るのはT-Rex 3のバッテリー持ちの方でお願いします。

0時ごろまでフル充電し計測をスタート!設定は基本的に何も弄っていません。通知はウザいと思ってしまうタイプなので通知オフにしているくらいでしょうか。スマホに縛られたくない。
Amazfit T-Rex 3 | Suunto Race S | |
1日目 00:00 | 100 | 100 |
1日目 09:00 | 96 | 94 |
1日目 21:00 | 91 | 86 |
2日目 09:00 | 83 | 75 |
3日目 00:00 | 76 | 64 |
3日目 07:00 | 73 | 59 |
3日目 19:00 | 69 | 49 |
4日目 01:00 | 66 | 45 |
4日目 11:00 | 45 | 16 |
4日目 23:00 | 5 | |
5日目 10:00 | 36 | |
5日目 21:00 | 28 | |
6日目 07:00 | 20 | |
6日目 13:00 | 8 | |
6日目 19:00 | 5 |
それぞれ充電が残り5%になるまで使用しました。Race Sは4日程度で充電がほぼ0になってしまったのに対しT-Rex 3はほぼ6日使用できました。

グラフにしてみるとこのような形となりました。この間行ったアクティビティを以下に列挙しておきます。
このようにして見てみるとやはり冬山登山に行った時の減り具合が大きいですね。冬山登山では4時間で20%の充電の減りだったのに対し、ロゲイニングでは12%の減少でした。
低温環境下ではリチウムイオンバッテリーの性能が著しく低下することはよく知られていることと思いますので特段不具合とかではないでしょう。
比べてみると…?
Race Sとの比較ではT-Rex 3の方が2日程度長時間使用できることがわかりました。バッテリーの容量そのものが多いため当然の結果ではあります。
先述したVerticalと比べるとどうでしょうか。同様のアクティビティを行った上での検証はしていませんが、かつてVerticalを同じように日常使用していた時は14日間ほど無充電だったのでそれと比べるとバッテリー持ちは劣るということになります。
しかし、VerticalがMIPディスプレイを搭載していることや太陽光発電機能を搭載していることを加味すると、スマートウォッチとして充実したヘルスケアトラッキングを行えたり、好みの精細な画像を盤面として使用できる上でこのバッテリー持続時間を達成しているのは非常に優秀であると言えるのではないでしょうか。
実地検証
さて「アウトドア向け」そして「タフネス」を称するからには、ということで冬山登山とオリエンテーリングで実地検証をしてきました。使ってみないとわからないですからね〜
詳しくはまた別の記事で取り上げようと思いますので概要だけ記しておきます!
1本目:冬山登山(伯耆大山)

天候の悪くない日を狙って鳥取県の伯耆大山へ冬山登山へ。当日の天気は曇り予報でしたが雪が降り始め森林限界より上部では吹雪でした。自分が登ってきたルートが青線で表記されるので、最悪青線を辿るように戻って行けば安全に帰ることができますね。
地図のコンタ(等高線)が粗いという評価も見ましたが、大まかな高度と地形さえ分かれば十分なので不足はありません。どうせ地理院地図も大したこと描いてないんですから(笑)
画面を見ずともオートラップ機能で進んできた距離が分かるので、コースの概要が頭に入っていれば山頂やチェックポイントまでの距離も把握できると思います。
2本目:オリエンテーリング(日光)

最強寒波で雪の降り積もった日光でオリエンテーリングです。オリエンテーリングというのは地図を見て森の中を全力で走り回るスポーツです。
基本的に林の中を走るのでGPS測位が怪しいかとも思いましたが、特に大きくログがズレるようなこともなく十分な精度でトラッキングしてくれました。
個人的には登り・下り・平地で別々にケイデンスやストライドをとってくれるところが面白いなと思いました。
番外編:ランニング
特筆すべきアクティビティではありませんが普段のランニングで使用した時の使用感も記述しておきましょう。筆者は月250〜300km程度の距離を走るランナーです。
1ヶ月ほど先述したZeppコーチのトレーニング立案機能を使用してみました。自身が達成したいと考える目標を設定することでZeppコーチが適切と思われるトレーニング計画を立ててくれます。
ペース走やロングラン、インターバルやテンポ走などごく一般的なトレーニング内容で固めてくれるので走り始めたばかりの人にも比較的使いやすいのではないでしょうか。
ただし、音声や振動でアラートを送ってくれるランニングコーチ機能を使用しているとアクティビティ中の充電の減りが早くなるので注意です。
総評

ZeppHealth様からレビューを依頼されてから2ヶ月ほど使用いたしました。当初抱いた印象通り、この40000円という価格でこれだけ豊富な機能を有しているのは驚きです。
特に私の使用環境は他のレビュアーと比較してかなり過酷であるのでタフネスさを売りにしているT-Rex 3がどこまで耐えられるかという事には大きく期待していましたが、その期待以上の性能でした。昨日のインカレで沼に突っ込み全身泥だらけという状況を経ても洗浄後一切の問題なく動作し続けていることには感服するばかりです。
改めて総評を述べておきます。
ひと綴りの文句としてまとめるならこのような形になるでしょうか。ご提供品という形での出会いでしたが、あまりに良くて某S社から乗り換えたのは内緒です(笑)
とはいえ若干の不満点と言えなくもない点もあるので最後に書いておきます。
デザインは好みに依るところが大きいので、アウトドア感溢れるタフネスな見た目のスマートウォッチが欲しい方にはドンピシャな製品だと思います!
おわりに
以上、ZeppHealth様からご提供いただい「Amazfit T-Rex 3」のレビューでした。割と辛口めに書くつもりだった(スミマセン)のですが想像以上の完成度であまり突っ込む点がありませんでした(笑)
Amazfitを知らなかった〜という方はこれを機に公式サイト等をご覧になってみるのは如何でしょうか。より普段使いやランニング向けのウォッチも取り扱っているので好みのスマートウォッチが見つかるはず!
後日、より実地検証の内容をたくさん詰め合わせた記事も公開する予定なので「もっと実際の使用感を知りたい!」という方はぜひ見に頂けますと私が喜びます。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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