プロローグ

どうもこんにちは。polarisと申します。
簡単に自己紹介をしますと、神戸在住で六甲山に頻繁に登る大学生です。
今回は六甲山の魅力的なマイナールートの数々をお伝えするシリーズの一記事目、お題は裏六甲の有馬温泉からほど近い「瑞宝寺谷道」について解説して行こうと思います。
このコースを登ろうと検討中の方もそうでない方も是非最後までご覧ください。
瑞宝寺谷道の概要
まずは簡単に「瑞宝寺谷道」についてご紹介して行こうと思います。
地図・情報

- 距離:4.0km
- 累積標高(上り):599m
- 累積標高(下り):26m
- コースタイム:2時間(推定・休憩なし)
今回ご紹介する瑞宝寺谷道は一般的な「登山道」とは違って地理院地図に登山道の表記がない、いわゆる「バリエーションルート」の一つです。
とは言っても整備や工事の関係でよく整備されているので難易度自体はそこまで高くはありません。
では何も考えずに歩ける程かと言われると、所々迷いやすそうなところであったり見落としてしまいそうな分岐もあるので、ある程度山の経験を積んでから行くのが望ましいルートであると思われます。
コースの分析
登山道

地図表記のないコースにしてはかなり明瞭な踏み跡があります。むしろ瑞宝寺谷道に入るまでの筆屋道の方がわかりにくいレベルです。
おおむね普通に登って行ける場所ばかりですが、所々ザレ場や急な斜面もあります。そういったところにはしっかりとした梯子やロープなどが設置されていますので適宜活用すると良いと思います。
序盤は傾斜もなだらかで歩きやすいですが、遡上すればする程やはり傾斜は急になっていきます。危険箇所も増えるのでお気をつけて。
環境

人入りが少なく虫や動物の声がよく通る静かな谷です。
銅管ダムの流路では写真のように黒く大型の蝶が吸水を行っていました。比較的細めの翅、長い尾状突起、後ろ翅の白い模様、少ないオレンジ色の模様、ゆらゆらとした優美な飛び方。オナガアゲハのオスでしょうか。六甲山ではあまり見られないようです。
また僕が行った夏は当然虫が多い時期であり、実に5分以上も蜂に追いかけられました。他にもアブや小さな羽虫もたくさん発生している時期ですので虫対策は万全に。いっそ夏以外の季節に行った方が幸せかもしれません。
瑞宝寺谷道探訪
YAMAPの活動記録のリンクを貼っておきますので、それぞれの写真と正確な位置情報の対応は各自よろしくお願いいたします。
PC関連の技術はあまり高くないもので…申し訳ございません。
有馬温泉駅〜瑞宝寺

こちらが有馬温泉駅から瑞宝寺谷道分岐までの地図になります。


まず有馬温泉駅まで神戸電鉄や神戸市営地下鉄、あるいは阪急バスなどを利用してアクセスします。
駅の改札口を出るとすぐ目の前にバスの停留所やタクシーの待機場所があるので、道路まで出て右折。そのまま緩やかな坂を直進します。

少し大きめの交差点を直進して渡り大きな谷沿いを通っていきます。
ここ数年でとてもよく整備され、河原を気持ちよく散策できるようになりました。もはや自然の面影はありませんがね(笑)



もうしばらく進むと三叉路があります。
右手に行けば金の湯や銀の湯などの温泉街があり、正面には有馬三山の一つである落葉山が綺麗に見えます。
我々はここを左折し坂を登っていきます。

余談ですがこの三叉路のすぐそばに「ねね橋」という赤い小ぢんまりとした橋が架かっています。
何かと豊臣秀吉に縁があるのが有馬温泉らしいところです。


坂を登り始めてすぐに左右に分岐する箇所がありますがここは右手に進みます。
左手に進んでも辿り着くことはできるようですが、宿泊施設に入ってしまっているので右側を推奨します。
左手に川を見ながら坂を登っていきます。時々車通りがあるのでご注意ください。


十字路に到着したら左折した後、すぐに右折します。
「瑞宝寺公園→」という標識がありますのでそちらに従ってください。




再びゆるゆると坂道を登っていきます。いくつか枝道がありますが大きな道を道なりに進みます。
しばらく進むと右手にレンガ敷きの道路が現れますのでそちらに向かいます。
ここを直進していったところが瑞宝寺公園です。
瑞宝寺〜瑞宝寺谷道分岐


レンガ敷きの道を直進して木々が生えた林の中に瑞宝寺、および瑞宝寺公園はあります。
厳密には瑞宝寺に到着する前に瑞宝寺公園の入り口が現れます。
この辺りは秋以外の時期、特にその早朝ともなればほとんど人の訪れることのない無人地帯と化していますが、紅葉のシーズンだけは朝から晩までたくさんの人が美しく色づいた紅葉や銀杏の木を見にやってきます。


何かと秀吉にゆかりのある有馬温泉ですがこの瑞宝寺公園も例外ではなく、秀吉がここの紅葉をいつまで見ていても見飽きないものだと称したことから「日暮しの庭」とも呼ばれています。
公園内には秀吉が残した唄が書かれた石碑がいくつか建てられていたりなんかよくわからないけど色々あるらしいです(適当)
そこら辺はもっと詳しい方にお任せします。


さて、立派な木製の門をくぐったら細い舗装道路を道なりに進みます。
頭上には元気に生い茂った紅葉たちが覆いかぶさっているため、年中じめっとした雰囲気となっています。


3分ほど道路を道なりに進んだら看板や標識と共に分岐が現れるので「癒しの森方面」へ。
ここからは先程までとは打って変わって登山道となります。


登山道はすぐに川底に出ます。どこに向かえば良いのかイマイチわからない雰囲気は低山あるある。
ここは小さな標識が立っている右側の小沢へ進むのが正解のようです。
本当に道なのか若干疑いたくなるような感じですが倒木を潜り抜け進みます。


少し進むと再び沢は大きくなり、正面には太鼓滝という小さな滝が姿を表します。
おそらく名前の由来とかが看板に書いているんだと思いますが見ていないのでよくわかりません。
尚ある程度濡れる覚悟で渡渉しないと画像のような画角で太鼓滝を見ることはできません。


続いて進んでいく道はかなり見辛い位置に入り口があるので目を凝らしてよく探してください。
左奥へと向かえば太鼓滝がすぐに見えるような位置関係ですが、絶妙にわかりにくいです。
入り口さえきちんと見つかれば、あとはそこまでどうってことのない登山道になります。


太鼓滝を越えるといよいよ瑞宝寺谷らしさの象徴である堰堤越えが発生します。
数えきれないほどに並んだ砂防堰堤が崩れやすい六甲から人々を守っています。
そういった堰堤たちの整備を目的としてかケーブル類が様々張り巡らされているので、引っ掛けて転んだり踏みちぎってしまわないようにお気をつけください。


しばらくは標識を用いた案内があるのでそれに従っておけば迷うことはありません。
今通っている筆屋道もこれはこれでマイナールートなので全く人とすれ違いません。


所々で今進んでいる谷から分かれていく小さな沢たちが分岐していますが、基本的に道なりを遵守してください。
少しこの時期は藪っこいかも。


少し分かりにくいですが足元の小さな標識で左に分岐、そのあとすぐに渡渉します。
対岸に渡った後ももうしばらく似たような道が続いています。



緩やかな上り坂を過ぎるとまた標識が現れますのでこの指示通り左手の道に進みます。
この辺りは地図に表記のない道がたくさん整備されているので迷い込まないよう注意です。
また一つ堰堤を左手から乗り越します。随分と古そうな感じがしますが…字が上手く読めません。



ここからしばらく崖上の道が続きます。
足元の綺麗な石畳であったりそばを這うケーブル、頭上の新しめなピンクテープなど人がよく訪れるであろうことがわかります。
左手にある木の標識を過ぎましたら間も無く筆屋道と瑞宝寺谷道の分岐です。
瑞宝寺谷道分岐〜銅管ダム

こちらが瑞宝寺谷道分岐から六甲最高峰までの地図です。


こちらが瑞宝寺谷道分岐の目印となる「六甲の森林」と書かれた看板です。
看板を右手から回り込み画像左手の方向に続いている道が瑞宝寺谷道になります。


踏み跡は至って明瞭で人がきちんと通ることのできる幅があります。
所々木の根や落ち葉などで滑りやすい点は注意です。



次々と現れる名もなき堰堤たちを一つ一つ乗り越え進みます。よく目を凝らしていないと気づかない間に通り過ぎてしまいそうなくらいに自然と同化した堰堤もありました。
写真は撮影できていませんが再び川底まで降って大きく開けた方へと進んでいくとこのルートのハイライトが姿を見せます。
銅管ダム〜瑞宝寺第四砂防ダム

こちらが今回のルートのハイライト「銅管ダム」でございます。
見上げると相当な大きさ、普段あまり見慣れていない形のためものすごい圧を感じます。


このダムを巻く道は見た感じ存在せず、ダムのど真ん中をくぐっていくようです。
1mほどの段差を登るためにご丁寧にハシゴが取り付けられています。案外しっかりしてはいますが過信は禁物です。
水場では美しいオナガアゲハが吸水を行っていました。とても優美な蝶で見ているこちらも癒されます。


太い銅管の下をくぐり抜けたらダムのすぐ右裏に伸びていく道に入ります。
石の積み上がったガレ場のような感じですが人為的な補強もあって登りやすくなっています。


ガレ場を登り切ったら再び明瞭な踏み跡を辿っていきます。
かなり頻繁に赤テープがついているうえにほとんどルート上にしか見かけなかったのである程度信用しても良さそうな感じはします。
振り返ると最後に一目銅管ダムが見えます。

今回のルートはYAMAPでは設定することができなかったのでSUUNTOアプリを使ってナビゲーションしてもらっています。
地図自体が表示されることはなく自分の歩いた軌跡と設定したルートだけというシンプルな画面で情報量不足に僅かながら心配がありましたが、むしろ見やすくてこれはこれでアリです。
すみません。脱線しました(笑)


いくつもの無名な堰堤を越えていきます。行政上ではきっとこれらの堰堤にも正確な区分のために名前があるのでしょうけれどもね。
それにしてもコンクリート式ではなく石積みの堰堤が多いですね。それだけ昔に作られたということでしょうか。


道は相変わらず踏み跡が明瞭な登山道。
とても分かりやすい道であるとは聞いていましたが、ここまでしっかりと整備されているとは。ダムの管理道ですから当然といえば当然なのかもしれませんが…


銅管ダムを過ぎてから3つ目の堰堤を通り過ぎたら一旦対岸へと渡ります。
夏ということもあって虫の数がものすごいです。時折蜂とも思われる大きな羽音がするのでとても落ち着かない。


対岸に渡ったら一気に急斜面を登ります。
石で補強された上にロープの補助までありますが、それでも急な斜面であることに変わりはないので落ちたり滑ったりしないよう十分注意して登ってください。
瑞宝寺第四砂防ダム〜瑞宝寺第六堰堤



急斜面を登り切ったら瑞宝寺第四砂防ダムです。先ほどの急斜面はこの堰堤を登り切るためにあったようですね。
調べてみたところ高さが7m以上あるものは砂防ダム、それ未満のものは砂防堰堤と言うそうでここは20mもあるのでもちろん砂防ダムです。
全然知らなかった…



砂防ダムを過ぎるとまたトラバース道。相変わらずしっかり整備されています。
その後もマイナールートらしからぬ道を抜けていきます。


そして道迷いポイント到来!僕はここで一瞬ミスってました。
右手に谷を眺めながら進んできたわけですが、再び渡渉する箇所があり黄色と黒のテープで明示されています。
僕はこれを見落として少し先まで右岸を進んでしまっていました。ご注意ください。


渡るとすぐにザレ場があるので滑り落ちないように慎重に登ります。一応トラロープもあります。
登り切ったらやはり普通の登山道です。この辺りから蜂に追いかけられ始めました。


相変わらず普通に道が続いていきますが、蜂に追いかけられて逃げるのに必死な僕。
おそらく近くに巣があるのでしょうが5分以上追いかけられ続けていました。随分としつこかったです。
まあ、もう一度別の個体に追いかけられる羽目になるのですがそれはまた後で。
瑞宝寺第六堰堤〜ドライブウェイ出合

蜂に追いかけられている最中だったのでまともに写真を撮れていませんがこちらが瑞宝寺第六堰堤でございます。
高さは14.5m…あるのにどうして堰堤なのか?謎です。
この堰堤の手前には小さな堰堤が5つほど連続しており「多重堰堤」と言うような呼ばれ方をすることもあるそうです。



それはともかくとにかく蜂から逃げております。
そんなに蜂ってしつこくつきまとってくるものでしたっけ?僕だけ?好かれてるの?(多分違う)




次から次へと現れる小さな堰堤たち。しかしそんなものをじっくり見る余裕などあるはずもなくとりあえず進み続けます。
さっきから蜂だと言ってはいますが実際は何の蜂なのか、そもそも蜂なのかどうか特定できていません。が、明かに大きな羽音とチラチラと映る黄色と黒の模様から蜂と推察。
そもそもどこで撒いたか覚えていないのでこの辺りで撒いたと言うことにしておきましょう(適当)



その後もやはりこれまでのようにひたすら堰堤を越えて登山道を進み、堰堤を越えて登山道を進み…を繰り返していきます。
とりあえず画像をあげまくっておくので参考にしてください。


そしてここから再び蜂の追跡が始まります。
俺が何したってんだよ!いい加減にしろよ!教えはどうなってんだ教えは!


大きな岩がゴロゴロ転がった箇所を通り過ぎると鉄骨で作られたお手製の橋が出現。
案外しっかりしているようですが崩れないか少し怖いです。手すりは後付けで作られたとか聞いています。



とにかく蜂から逃げるのに精一杯でまり周りの景色を見ておく余裕がありません。
まあ、特段何かいうことがあるわけでも無いのですが。



さて、こちらの堰堤を越えたら左岸から右岸へと切り替えます。
先ほどど同じく右岸に渡った直後はかなりの急登、ここにロープなどはなかったので自力で。



こちらの堰堤は踏み跡から少しだけ高い位置に堰堤の上部があるので木製梯子で登ります。
こちらの梯子も注意した上で登るのが良いと思います。
その後は大体普通に登山道です。



またしばらく行くと左手にコンクリートの擁壁が登場。
二十年前とのことで割と新しめですね。既にかなり苔むしてはいますが(笑)
自分より少し下側にコンクリートの擁壁が現れたら右手下方の谷底へと降っていきます。
ちょっとここ記憶が曖昧なのでもしかしたら違った道があるかもしれません。ごめんなさい。


しかし渡渉はせず右岸に沿って登っていきます。
こちらの堰堤は普通に左手側から巻き乗り越していきます。



さて、先ほどの堰堤を越えたら一度谷底に降ります。
この辺りから川底を通って右手、左岸へと伸びていく道があるはずなのですが最初見つけられず半ば強引に登ります。
目の前に堰堤が立ちはだかり右手を見上げると盛り土とロープがあるのでそちらに向かって藪の中を慎重に進みます。

ここでさきほど「あるはず」と言っていた道が右手に現れました。
この道を通れば藪漕ぎをする必要はないと思われるのでくれぐれも注意深く探してみてください。


気を取り直して先ほどの盛り土とロープの斜面をゴリ押して登ります。
登り切るとすぐに谷の奥へといくつもの堰堤が続いていく光景が目に入るかと思います。
ここまではひたすら堰堤を登って越してきていましたが、ここからドライブウェイまでの短い区間だけはそうせずに少し右手の斜面を登っていきます。



ここら辺の斜面はそろそろ源流に近いこともあってかなり急な部分が多く、金属製のハシゴや木で補強された石積みなどで補助があります。
ここもやはり注意して通過した方がよさそうです。



後は若干つづら折り気味になった踏み跡を順調に辿ります。
ドライブウェイまではもうすぐです。
ドライブウェイ出合〜六甲最高峰


瑞宝寺谷道が終わりドライブウェイに飛び出すところはかなり草が生い茂っており、ドライブウェイを走る車からはかなり見えにくくなっているのでご注意を。
ドライブウェイの端から見るとこんな感じ。木にかかった小さな看板だけがここに道があることを示しています。これがなかったら到底気付きませんね。


本来はここで瑞宝寺谷道は終わりなはずですが、流石にキリが悪い気がするので六甲最高峰までの道のりも記しておきます。
ドライブウェイに出たら右手にずっと進みます。カーブで見通しが効かないので車にはしっかり配慮して通行しましょう。
しばらく進むと右手にこのような広場があるのでトイレ休憩などはここでできます。大学のトイレよりは綺麗です。



この広場からかなり急な車道がありますのでここを登ります。
正面に東屋が見えたらそのまま右にカーブ。左手には掬星台方面へ伸びる全山縦走路があります。
ちなみにこの日の天気は曇り、下層の雲と上層の雲の狭間にうまくはまったようです。


右カーブの後直進すると電波塔があるので左側の道へ。ここを進んでいくと正真正銘、六甲最高峰に到達です。きちんと一等三角点もあります。
プロローグ
以上で瑞宝寺谷道の紹介は終了となります。
2回ほどどう進んでいいのかよくわからなくなりましたが、概ねわかりやすい踏み跡が続いているので普通の登山道のように進むことは難しくないかと思います。
何かしら訂正などありましたらお気軽にコメントなりでお伝えいただけると嬉しいです。
所々ザレ場やハシゴなどもあるので常に外れたり崩れたりしても問題ないようにご注意ください。
それではまた〜👋
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