プロローグ
「人の不幸は蜜の味」そんな言葉がありますね?何がとは言いませんが、続々いきましょう。きっと今回もたたくさんキーボードを打つ事になるのでしょうが頑張っていきましょう。

総集編は3編目、前編はチェコJWOCとスイスの旅でした。今回はいよいよ海峡を渡った先で色々とあります。色々とね。
本編
Day19:WOC2024 Day1

ブリュッセル中央駅からユーロスターでイギリスはロンドンにやって来ました。本日のロンドンはシトシトと静かに雨の降る少し陰気な雰囲気が漂っています。
ユーロスターが発着するのはセント・パンクランス駅。ロンドンにこのまま宿泊するなら宿に向かうのですが…本日のお宿はこちら、ユーストン駅から出発します。そう、また寝台列車に乗車するのです。

その乗車する列車というのがこちら「カレドニアン・スリーパー」という寝台列車です。世界的にも有名な寝台列車、イギリスに残るそれでは数少ない一つです。
特徴はヨーロッパ大陸本土を走っている寝台列車のほとんどが格安であるのに対して、このカレドニアン・スリーパーはかなり格式の高い列車であるという点です。

今回、宿泊するのはこちら「スタンダードクラス寝台」という客室。見ていただいたらわかる通りまるで走るホテルかのような内装。ベッドシーツや布団・アメニティといった備品も非常に良質です。
これが今まで乗ってきたクシェットとの大きな違い。無理やり寝付くあちらと違ってこちらはしっかり快眠できそう。というか普通に枕があるだけで嬉しい。

なんとこの車両の部屋の中にはトイレとシャワーの両方が備え付けられています。日本で唯一の定期寝台列車となってしまったサンライズでさえ個室にシャワーはありません。
それだけ一つの個室にお金がかかっているという点からもこの列車の格式が高いことがわかります。人生一度きりになるかもしれない格式高い列車の旅を楽しみたいと思います。

と、そんな風に思っていた時期が私にもありました。が、残念ながら深夜なのと普通にめっちゃ眠かったという事もあって一瞬で爆睡。それだけ布団の質が良かったという事なんでしょうからOKです。
朝ごはんは前日にオーダーする形。ドアに飯のチョイスを書いた紙をぶら下げておきました。これは伝統的なスコットランドの朝食というやつ。うん、まあ、美味しいんじゃないですかね。うん。

ロンドンから走り続けること8時間、エディンバラ最大の駅であるウェイバリー駅に到着です。冷たい雨の降りしきっていたロンドンも大概でしたが緯度が上がったので結構肌寒く感じます。
下車後もラウンジは使えるらしいですか、残念ながら時間がないのと昨晩何故か営業終了していた事もあってそそくさと駅から退散。もうちょっと長居しておけばと少し後悔しています(笑)

どっちが目的地に近い出口か複雑な構内をウロウロしながら何とか地上?に脱出。さすがスコットランドの首都、世界的にも有名な街だけあって駅前の大通りは人で埋め尽くされていました。まだ朝だよ?
線路を跨いで向かい側にはエディンバラらしい古い街並みが。チェコとは違ってシックな色合いなのが特徴。こちらも世界遺産に登録されている非常に貴重な街並みの一つです。

そんな古い街でもトラムが走っているのがヨーロッパの街並みの常。日本も正直真似して欲しいなってくらいトラムの路線網が発達している事には目を見張るものがあります。
このトラムの路線はエディンバラの街外れにある空港へのアクセスも担っているのでそれらしい大荷物を持った乗客もちらほら。自分達も同類ですがもっと良い交通手段でやって来たんだぞと勝手に心の中でマウントを取ります(笑)

今日はWOCスプリントの予選と決勝がある日。もちろんこれを応援する現地観戦勢となるのが我々の役目です。午前中に予選が開催されるエディンバラの港の地区「リース」というところにやって来たのでした。
WOCというから大々的にイベントをやっている感じなのかな…と想像していたのですが会場はこんな感じ。もちろんこの後から続々と人がやって来て賑わいこそしてはいましたが予選だからか会場規模自体はそこまででした。

会場規模は地方大会さながらでしたがオリエン用品の物販はかなり充実しておりスプリント競技のみの大会ではありますがフォレスト用の各種装備や衣類も販売していました。
お爺ちゃんにもらった旧ポンド紙幣を若いニキに偽札と疑われたり(旧紙幣は使えないらしい)しつつも珍しいブランドの衣類を購入。これはいいお土産になりそう。

日本のトップティア、そして海外のトップティアの異次元の走りを眼前で観察。ちょっと異次元なくらい速すぎてあんまり現実感がわかないですね。欧州勢はやすぎ問題。
朝ごはんが質素だったので近くのLidl、俺たちのLidlでお昼ご飯。物価の高いイギリスにおいても一個100円前後で購入できるクロワッサンは生命線です。ヨーロッパに来る際は是非。

WOCer達のレースが終わったら自分達の番。併設大会でリースの街中でスプリントに勤しみます。久しぶりのスプリントレースでしたが市街地なので結構楽しかった。
併設大会に来ていた日本人選手や予選を走り終わったWOC代表と随分と久しぶりに会った気がしてなんだかまた嬉しくなっちゃいました。何気に1ヶ月ぶりとかでしたからね。

あまりにも陰湿すぎて簡単にうつ病になってしまうとさえ言われるグレートブリテン島ですが、今日は珍しく快晴。こんなに青空が見える日は本当に珍しいんだとか(留学者譚)。
予選と自分の併設レースが終わったので決勝の会場へと向かいます。当然同じムーブをする世界各地のオリエンティアが多数なので帰りのトラムは結構混雑していました。

さて、WOC決勝の会場に移動して来ましたが…日本ではなかなか見ない巨大な会場の奥にはエディンバラのシンボルであるエディンバラ城が聳えています。
実はここ、驚き桃の木、駅前なんです。駅から西に5分ほどの公園が世界大会の会場、しかも今年のテレインはエディンバラのド街中とあって非常にレベルが高そうなスプリントです。

地図販売で結晶の地図を購入。確か5ポンドとかだったから日本よりは結構割高な印象ですね。まあ、向こうの物価を考えると日本の500円くらいなので妥当と言えば妥当か。
コースをよくよく見てみると…やはり難しい。比較的簡単で先読みができる区間とガッツリルートチョイスが要求される区間とが入り乱れていて流石WOCという感じですね。

途中までぶっちぎりで強かった選手がラスト前のチョイスで大きく順位を下げたりとスプリントらしい秒差の白熱した戦いでした。あんまり海外選手には詳しくないので詳細は省きます。すみません。
エディンバラのまさに中心部をふんだんに使ったスプリントの観戦もぼちぼち終わって宿に移動。今回は最高の宿チョイスをしたのでマジでエディンバラのど真ん中に宿泊できます。

エディンバラ城の入り口にある「トルブース・カーク協会」。尖塔の高さは70m程度と特段高いわけではありませんが5階建てくらいの古いビルの中に突然現れるのでものすごいインパクトがあります。
宿はここから1分くらいの崖に建てられたドミトリー。もちろんめっちゃ古いので作りなどは年代を感じさせますが大階段とか、ドミトリーにあるまじき素晴らしい雰囲気で嬉しい。

チェックインを済ませ宿に荷物を置いたらせっかくなのでエディンバラの街並み観光といきましょう。滞在期間は長いですが何てったって世界遺産の街ですからね。
こちらがエディンバラの旧市街を東西に貫く大通り「ロイヤル・マイル」です。まさにエディンバラの顔ともいうべきこの場所でさっきまでスプリントをやっていたというわけです。にわかには信じ難いですね(笑)

エディンバラといえば坂の街。古期造山帯であるグレートブリテン島らしく溶岩が氷河によって削り取られた残丘に築かれています。道の形も複雑で良き。
建物同士のわずかな細い隙間も歩道として使われていて迷路のように入り組んでいます。なんか、中世の城下町って感じがして良いですね。やっぱ城か、城でスプリントするしかないんか。

そろそろお腹も空いて来たものですから晩ごはんにしましょう。ロイヤル・マイルにあったインド料理屋さんが空いてたのでレッツゴー。なんでイギリスに来てインド料理やねん(笑)
人生で初めてビリヤニというものを食しましたがこれが辛いの何の。多少の辛さは覚悟していましたが普通にめっちゃ辛くて辛いものが苦手な身としては結構苦行でした。

宿泊しているドミトリーはかなり規模が大きいようでせっかくなので置いてあるボドゲをやることに。小学校の時に英会話スクールでやったモノポリーがあったのでプレイ。
やっぱ独占しか勝たん。鉄道会社は全部買い占めました。なかなかボドゲをする機会もないので明日はカタンでもやりましょうかね。
Day20:WOC2024 Day2

WOC併設も2日目、今日は昨日と違ってしとしとと冷たい雨の降りしきる実にスコットランドらしい天気です。これがずっと続くと考えるだけでちょっと鬱になってきます。
今日はエディンバラ大学でインドアスプリントが開催されるので参加しに行きます。今日はWOC本戦はレストデイなのでフラフラのんびりスプリントの旅です。

大学自体はすぐ近くなのでサクッとバスに乗車し到着。二階建てなのがアツかったですがすぐ下車できるように一階に乗車しておきました。
かなりスタートが早かったので意気揚々とスタートに向かったのですがSIACを宿に忘れて来たことにここで気がつきます。取りに戻る時間は流石になかったのでお金払ってレンタルする羽目になりました。ポンコツ。

ポストにユニットが設置されていないなど若干のトラブルもありつつ、無難な感じで感想。正直インドアスプリントの面白さというよりはヨーロッパの大学構内の構造が面白かった。
何というか、講義室とかは日本と似ていますが共用スペースが会社のオフィスみたいでよかった。食堂もオシャレで結構しっかりした食事を売っていました。こちらは確か10ポンドくらいのハンバーガーです。高い。

近所に小規模ですがショッピングモールがあったので人生経験がてら散策しに行きました。特段いうこともなく日本と似たような感じでいろんな店が並んでいる感じ。
スーパーとか携帯電話ショップはもちろん、写真のような日本でいう「百均」みたいなお店もありました。基本店の商品全部1ポンドってやつです。何というか、商売ってどこの国でも似たり寄ったりになっていくもんなんですね。

郊外にいてもやることはあまりないのでエディンバラの中心部に戻って参りました。ちなみに朝から降りしきっている雨は未だ降り続いています。本当にしとしとという感じで傘はいらないくらい、でもすごく陰湿な感じ。
外を出歩くのも気だるいのでスコットランド国立博物館にやって来ました。何と入場料は無料、あまねく人がタダということで太っ腹ですね。こういう文化資本へのアクセスがしやすいのはとても良いことだと思います。

かなり大規模な博物館なため全ての展示内容を見るというのは到底できず。恐竜や動物といった生物系の展示からアニメなどサブカル的な展示まで本当にありとあらゆるモノが展示されています。
先日訪れたスイスの交通博物館も良かったですが、こちらは本当に無料で入って良いのかというくらい高いクオリティをしていて驚きです。せっかくだし時間がある時にまた来ましょう。

近所のスーパーで購入したインスタント食品が今日の晩御飯。電子レンジとかあってもなかなか手を出しにくいですからね。この機会に多少は嗜んでおきましょう。
果たしてお味は…というと、まあ不味くはないかなというレベル。値段相応と言えばそうですが日本の格安かつ美味しいレトルト食品をイメージしていたので若干の期待外れ感はありました。腹の足しにはなります。

そんなこんなでキッチン兼談話室でくつろいでいると何やら人だかりが。どうも今日は「ビーリンピック」という酒を飲みまくる頭の悪いイベントが開催されるらしい。
流石に明日も走るので参加しませんでしたが、なんか色々盛り上がってたくさんお酒を飲んでいたみたい。我々は二階から高みの見物を決めながらモノポリーに勤しんでおりましたとさ。
Day21:WOC2024 Day3

WOC併設は3日目。今日の朝の天気は晴れでなかなか悪くない感じ。あれ?思ってたよりも雨の日って少なかったりするのかな。聞いてたよりはマシ?
今日はWOC本戦、スプリント・リレーの日です。会場はエディンバラの西にあるヘリオット・ワット大学というところなのでまたまたバスで移動となります。

今日の会場は市街地から少し離れたところにあるのでバスと徒歩で1時間くらい。いざ会場に着いてアリーナに入ろうとすると…当日券は売り切れたらしい。売り切れ…?
野外で観戦する分には無料、アリーナに入って観戦するには有料とは知っていましたがまさか入場券が売り切れてしまうとは。とは言えどうしようもないので野外から観戦することにしました。

しかし、こんな感じで野外には大きなディスプレイが展開されていたのでここからでも十分観戦はできる。というかこのあたりをビジュアルで通過するので何なら外で観戦した方が面白かった可能性すらある。
レースはリレーらしい次々と順位の入れ替わる激しい展開。ドローンの空撮映像とGPSトラッキングの両方が選手の動きをよく反映していて見ていて楽しい。やっぱスプリントは見て楽しむ競技ですな。

会場で全日本大会のビラを配ったり(3ヶ月前に宣伝しても人来んやろ…)うろうろしたりして今日の自分のレース。結構長めの距離のスプリントでただただしんどかった。やっぱスプリントは見るもんやで。
ルームメイトの皆さんはお疲れなのか会場に芝生で団子になって爆睡。昨日普通に睡眠したはずなんだけどなぁ…今日は程々にして帰りましょうか。

晩御飯はFive Guysというイギリスでは有名なハンバーガー屋さんに。サブウェイと似たような感じで自分で乗せたい具材を選んで乗せてくれるというシステム。
この店の良いところがとにかく飯がデカいこと。ハンバーガーはもちろん、一緒についてくるポテトも太いし山盛りだしで満足度が非常に高いです。
Day22:WOC2024 Day4

競技の話は後にしてこの「ikigai Ramen」の話をしましょう。大通りの一角にあるふと目を引いた日本語に釣られて入ったお店。いかにもエセ日本語という感じですが実に美味しそうだったので注文してしまいました(笑)
こちらは鶏白湯ラーメン。正直全く期待はしていなかったのですが普通に美味しい。3週間こちらの味に慣れた舌に懐かしい味が染み渡ります。2500円は高いですがなかなかのクオリティで大満足でした。

遅寝遅起き遅ごはん。WOC併設4日目です。今日はWOC本戦はレストデイなので併設大会のレースのみ。アーバンロングとかいうなんかよくわからない競技をやらされました。
9kmというとんでもない長さのシティ・スプリントでしたのでもちろん全力で走るなんてことはなく若干きつめのジョグでしたが正直楽しかった。やっぱスプリントより普通にランニングをすべきなのでは…?

この前来た時はあまりじっくりと観察できなかったので時間がある今日博物館を再度見てまわりましょうか。一番大きなホールはこのように宮殿のような形になっていて建物として美しい。
今日一番面白かったのはアメジストのジオード。YouTubeでジオードニキの動画を見たりマイクラでそういう地形があったりと存在は知っていましたが実物を見るのは初めてだったので何だか不思議な感じ。

こういった乗り物系の展示ももちろんあります。航空、船舶、鉄道、自動車。他には世界各地の衣装であったり楽器とか本当ありとあらゆるすぎて脳みそがバグる。しかもやっぱり無料だから怖い。
もしスコットランドに来る機会があればぜひこの博物館を観覧してみることをお勧めいたします。5万件のレビューで評価4.8とかいうとんでもない施設なので。

まだまだ滞在期間あると思っていた時期が私にもありました。が、気がつけばもうすぐエディンバラを発つ頃合いに。せっかく来たのに…ってずっと言っている気がしますが観光しましょう。
こちらはロイヤル・マイルに位置するセント・ジャイルズ大聖堂という教会。やっぱり中世御用達のゴシック様式で尖塔などは特にない控えめなファサードが特徴です。

ケルン大聖堂や聖ヴィート大聖堂のような天井の高さはありませんが、ずっしりと重厚感のある天井と柱の感じ。派手な装飾はありませんがそれがより重々しさを演出します。
奥のステンドグラスも青く神秘的な輝きを放っていて個人的には今まで見てきた聖堂の中ではかなり好きな方。無料で入れるというのもデカいですね。俗物なので許してください(笑)

自分はもうすぐエディンバラから移動するので少し手間暇かけて単独行動。本当は少し街から離れたペントランドという地方の丘陵に行きたかったのですが街近くの丘に行き先変更。
カールトン・ヒルという名前のこの丘は頭頂部の一面が芝生で覆われており塔のような個性的なモニュメントがいくつか鎮座しています。

街から近い丘陵地ということでもちろん眺めは抜群。東西南北全方位の景色を楽しむことができます。こちらはカールトン・ヒルから北側の様子。1日目に行ったリースから少し東の景色ですね。
奥の方に見えている水域はフォース湾という広くグレートブリテン島に切れ込んだ湾です。中高生の時に地理を選択していた人であればエスチュアリという言葉に聞き覚えがあるかもしれません。三角江とも呼ばれ上空から見ると非常に特徴的な地形をしているスポットです。

こちらはカールトン・ヒルから南側を眺めたパノラマ写真。左手が西で右手が東ですね。すぐそこにエディンバラ駅の古い駅舎が建っているのに加え、右奥にはエディンバラ城含む城下町の古い街並みが見渡せます。
左手にある大きな丘はアーサーズ・シートと呼ばれるこれまたエディンバラを代表する観光地でまるであのアーサー王の玉座のような特徴的な形をしていることからその名がつきました。

お腹も空いてきたので駅にあるパブに行きました。本当は初日に訪れていたのですが誰かさんがパスポートを所持していなかったので入れず再戦となったのでした。
イギリスといえばなフィッシュ&チップスを注文。普通の美味しかったですが、結構ほろほろと身が崩れて食べにくい印象。まあ、初めてパブに来たという経験も含めて良かった。

そしてこの後エディンバラ城へ向かったのですが…なんと入場するにはチケットが必要らしい。しかもこれまた売り切れということで残念ながらお城に入ることはついぞできませんでした。
後々調べた感じだと少なくとも1週間前くらいには予約しておかないと入れないっぽい。どんだけ人気やねん、という感じですが文化財保護という観点からもそうなっているのでしょうから仕方がないですね。
Day23:WOC2024 Day5

気がつけばWOC併設も5日目、本戦も最終日となってしまいました。本戦最後の競技はノックアウト・スプリント。同じタイミングで複数人がスタートし上位が生き残り勝ち進んでいくという形式。
とはいえまずは予選。ヘリオット・ワット大学の近くのウェスター・ハイレスという地区のコミュニティセンター的なところが会場でエリート達が爆走していました。

複数のパターン振りがあってついて行ったらペナる系レースで大変そう。というか普通にみんな速すぎて日本人で予選通過したのは唯一こんかほさんでした。いや、予選通るだけで凄いんすよ。マジで盛り上がりました。
今日はまた普通のシティスプリントだったんですが、何というか1日目のリースのような感じではなくいわば上尾のスプリントみたいな感じ。謎のオープンや茂みの中にポストが置いてあって結構大変でした。

いつも通りエディンバラ市街に戻ってきてお昼ご飯。この前行った生き甲斐に再来店。今回は確か鶏豚骨ラーメンだったかな?そんな感じのやつにしておきました。
これまた普通に日本のラーメンと比べて遜色ない味をしておりこれにはイギリス人もニッコリ。イギリスの食事って美味しいんですね。知らなかったや。

ノックアウト・スプリントの決勝はやはりエディンバラの街の中。しかも、初日のスプリントとは違いそこらへんの建物の中の広場が会場というここにスプリント極まれりという感じの会場です。
しかもノックアウト・スプリントは会場からスタートして会場にフィニッシュするというレース形式。決勝に進出したつよつよ選手を一人一人見られるので激アツ。

もちろんレースも面白いですが何といっても演出が素晴らしい。GPSトラッキングはもちろん、先日もあったドローンの空撮に加えてリアルタイムでの追い撮りが巨大なディスプレイで表示されていて臨場感が爆上げ。
独自に地図読みをする通常のスプリントと違いお互いの出方を伺いながらリレーよりも戦略的なスタイルなのでこれまた新鮮です。

タイムやルートもそうですが視覚的に「最初に帰ってきた人が勝ち」という条件なのはオリエンを一般化させるのに最も適した競技形式かなと思いました。観戦が実に楽しくスプリントながら来て良かったと心から思いました。
宿までの帰りにそこら辺を軽くジョグして回りました。もう明日にはエディンバラを離れてしまいますから。5日間、長いようで短いあっという間の滞在でした。
Day24:ロンドン探訪

まだまだ観光地の喧騒とは程遠い早朝のロイヤル・マイルです。奥に朝焼けの光が差してきて建物により深い陰影を与えています。ゴツゴツした大聖堂の装飾が影になるとさらに映えますね。
今日はイギリスは首都、ロンドンへ移動。まだ朝の6時半ですがパパッとエディンバラ駅に向かって列車に乗車してしまいましょうか。

本日乗車するのはこちらの「AZUMA」という車両。ん?日本語?と思った方、鋭いですね。こちらの車両は日立製、バリバリ日本の技術力が詰まった車両なんです。
こちらの特急列車はLNERという会社が運行しているのですが、グレートブリテン島を南北に貫く主要幹線である東海岸本線をロンドンとエディンバラからさらに北にあるアバディーンやインヴァーネスとを結んでいます。

もちろん乗車するのはこちら、一等車ですね。どう見てもビジネスマンな人たちがたくさん乗車していてやっぱり場違い感がありますが、何とか雰囲気を誤魔化して紛れていきたいところ。
列車が発車すると車掌さんからの挨拶があったのですが、あまりにも綺麗なイギリス英語すぎて感動してしまいました。まさに教科書通りって感じの発音でした。

イギリスは古期造山帯という古めの地質上に位置しているので高い山はあまりありません。ご覧の通り車窓から見える景色は稀に丘陵があるような比較的平らなものです。
この列車は大陸の高速鉄道のように高速ではなく200km/hほどしか出ませんがそれでも普通の特急列車よりは快調。日本でいう在来線の線路を爆走していきます。

この特急列車の一等車では朝食のサービスがあります。いくつかのメニューから選択することができるようですが自分はコーヒーとパンケーキにしておきました。
ウェイターさんの態度も非常に紳士的で好意的。これぞまさに「一流」といった感じのサービスでさすが紳士の国と感銘を受けました。何かと揶揄されがちなイギリス紳士の精神は本当に凄いと思いますよ、自分は。

エディンバラからロンドン・キングス・クロス駅までは実に4時間と30分の長旅。途中のヨーク駅からお隣さんが乗ってきましたが広くふかふかな気持ちの良い座席であっという間の旅でした。
キングス・クロスではご覧の通り日立製のカラフルな列車達が並んでおり壮観。天井と壁のレトロな感じと列車の近未来的な感じが違和感なくマッチしているのが不思議。

キングス・クロス駅というとやはり有名なのはハリーポッターですよね。9と4分の3番線にカートを突っ込ませるということはみなさんご存知かと思います。そんな例の番線は…というと…
実は9番線と10番線の間に柱はないんですよね。そんな悲しい現実に配慮してか近くの壁に半分埋まったカートがあってそこで記念写真を撮影できるらしい。もちろん人だかりができていましたが私はスルーです。

地下鉄で宿の最寄り駅まで移動しチェックイン。今日もドミトリーですがここのところずっとドミトリーが続いていたのでもはや何とも思わなくなってしまいました。
ロンドンといえばウォーターフロント開発。かつて海で大繁栄を築いた大英帝国時代の名残で街の各所に船を建造・整備したりするドックが多数。それを再開発して市民の憩いの場としているわけですね。

せっかくロンドンに来たのに…となるのも勿体無いので街へと走り出します。まずはパディントン駅とハイドパークを見て回ったのですがイスラム系のみなさんがデモかなんかしてて非常に奇妙な雰囲気。
レイシストになるつもりはありませんがハッキリ言って気持ち悪いので日本もこうならないよう善処した方が良いですね。公園の周囲の道路ではこの行進で大渋滞が起きていたので普通に社会の害だと思います。

社会に仇なすみなさんには怖いので関わらないことにしてバッキンガム宮殿の前までやってきました。おい、ならバッキンガム宮殿を写せよという感じなのはご容赦ください。
こちらはヴィクトリア記念塔というかつて大英帝国を治めたヴィクトリア女王を讃えるための像。当然イギリス国教会の建造物であるのでイギリスらしさががあります。

このバッキンガム宮殿周辺にはイギリス王室に関連する施設が密集しているので衛兵とかも多め。さっきの広場の前にも衛兵さんが何人かいらっしゃいました。
宮殿から北西に向かう通りを走っていると何やら不思議な音が。何かと思えば馬が、馬が歩いてきました。思わず二度見してしまいましたが本当にちゃんと馬で行進してたみたいです。こういうのでいいんだよ行進ってのは。

ロンドンの中心部を流れるテムズ川のほとりにはロンドン屈指の有名な建物である時計塔「ビッグ・ベン」があります。いろんな番組やアニメで見てきた有名な建物が改めて目前にあるとやっぱり感慨深いものがあります。
イングランド王国の戴冠式が行われるウェストミンスター寺院なんかもすぐ隣にあって道は観光客でごった返しています。邪魔にならないように写真を撮影しつつ走ります。通報されないといいな(笑)

ビッグ・ベンからテムズ側を挟んで反対側にはこれまた有名な観光名所である観覧車「ロンドン・アイ」があります。スポークといえば良いんでしょうか、中心部の支柱が細いのが特徴的です。
いい感じのところで反対側の岸に渡ってテムズ川沿いを東へ向かって走ります。お昼間ですがまあまあ人通りもあってさすがヨーロッパ最大級の都市です。

こちらが有名だけど有名じゃないロンドン橋。童謡で有名なこの橋ですが名前ばかりが一人歩きしていて橋が別に大したことないということはあまり知られていません。
何ならもう一本西にあるタワー・ブリッジの方が見栄え的にすごい感があるのでそっちをロンドン橋と誤認する人もいるくらいなので有名な話です。

こちらもまたまた有名なロンドン塔、薄汚い外壁はエディンバラを思い出させますが中世から続く城塞であるのであながち間違っていないというのが面白いところ。
中に入るためには結構高額な料金がかかるので外から見るだけ。側から見る分にはマジでただ薄汚い塊なのでとっとと別のところへ行ってしまいましょう。

営業時間が終わってしまいました。残念。こちらがあの有名な大英博物館です。ギリシャ風の建物の中に世界各地から回収された有名な展示物の数々が眠っています。まあ説明するまでもないか。
ここから宿までは特に有名な観光地などがあるわけでもないのでパパッと走って帰っちゃいましょう。あんまりうかうかしているとスーパーも閉まって晩御飯にありつけなくなってしまいますから。

いつも通りのミール・ディールを利用。いわばセット割引みたいなものでサンドウィッチと飲み物、あと何かしら一品で5ポンドというお得なパッケージ。まあそれでも1000円しますが。
せっかくなので先ほどのドック跡にある公園でのんびりと晩御飯にしました。地味にさっきまで25kmほど走っていたのでプロテインも補給できて良きです。

明日は朝早く出発、しかも飛行機に乗るので遅れられないということで夜更かししないでさっさと寝てしまうことに。リカバリーが効かない時は慎重にいかないといけません。
こちらはヨーロッパのコンセント。日本のように2本刺しのところはまずないのでこういった可変式のアダプタを使用します。本来であれば電圧を調整する機械を挟むべきなのですが横着して使ってました。
Day25:終わりの日

おはようございます。まだ時刻は朝の5時半前ですが移動開始です。今日はフランクフルトまで飛行機で移動してしまいます。ブリティッシュエアウェイズに乗れるのでこれまたアツい。
宿の最寄りであるエッジウェアロード駅から地下鉄に乗車します。途中のWest Hamという駅で乗り換えなければならないので安易に寝過ごさないようにしましょう。

時間通り5:36発の列車に乗車…したところでトラブル発生。ホームにチェコで買った新品のBarkuを入れたシューズケースを置き忘れていたのです。この駅は路線の分岐駅で比較的大きいものですから長時間停車しており念の為貴重品だけ持って靴を取りに下車したのでした。
するとタイミングの悪いことに突然扉は閉まり、わざわざ移動するまでも無いと車内に残しておいた100Lのザックと離れ離れに。なす術もなく列車は次のベイカー街駅へと発車して行きました。

あまりに想定していない出来事に一瞬フリーズしましたが、指を加えて眺めてるわけにはいきません。急いで荷物を回収しないと。さっき改札で目撃していた駅員の存在を思い出し事情を説明して荷物の回収・確保を要請しました。
幸いなことに英語を理解してもらえたようで荷物から目が離れて12分後のFaringdon駅で乗った号車と扉の位置(覚えていた)を確認して貰いましたが荷物は発見されず。ここら辺からガチ目に焦り始めました。

とはいえ諦めるには早すぎる。とりあえず荷物がそのまま電車に乗ったままなのであれば終点のBarking駅で折り返しなため回収されるはず。そう信じて各駅のホームに目を光らせながらBarking駅へと向かいました。
Barking駅で駅員に問い合わせては見たもののそんな荷物はなかったよと絶望の一言。つまり私の100Lのザック、あの持ち上げるのすら相当に膂力の必要なあのザックはわずか10分の間にどこかへ消え去ったというのです。
ひとまず保険会社に事情を説明するも自分に少量の過失がある以上(目を離した)保証はできないと言われこれまた悲しみに暮れつつどうするか考えます。とにかくやれることはやろうと決意し全ての駅を周って聞き込みをして行きました。

全てというのは文字通りで列車が向かったベイカー街駅から一つずつの駅で下車を繰り返し改札にいる駅員に事情を説明して助けを求めました。
親身になって対応してくれる駅員も多い一方で主要駅の駅員には見るからに煙たそうな対応をされ心を削られつつ、しらみ潰しに周りました。
聞き込みを始めてから6時間がたった頃、とある駅の駅員にこう言われました。「気の毒だし助けになりたいが現実も見るべきだ。無いものは無い」と。
ロンドン地下鉄には遺失物管理システムがあるのですが、荷物は拾得された場合すぐそのシステムに報告するという形態らしく、早朝の遺失物が昼間になってもシステムで発見されない時点で状況証拠は十分。そんな意味での言葉でした。

ここに辿り着くまでの数十日間に様々なトラブルがありどれも上手く乗り越えられてきただけに今度も何とかなると思っていたそんな甘い考えに釘を刺されたようでした。普段の自分ならあの駅員と同じ考えにすぐ至るでしょう。
しかし、どうしても現実を認めたくなかった。この2年間の全てとも言えるあの大荷物を失っただなんて認めたくなかった。そんな現実逃避の末、荷物を紛失してから実に8時間の孤独な戦いは幕を下ろしたのでした。

失意ではありますがこのままでは何ともし難い。衣服さえ今着ている物しかないので何とか応急的にも生活物資を揃える必要があります。
近所にどうやらデカトロンがあるようなのでそこで運動もできる安い衣類を吟味して購入。いまだに現実感はありませんが日本で見ることの少ないブランドなので幾分か心が明るくなった、ような気がしました。
当然、今日の移動は諦めロンドンにもう一泊することに。駅前のドミトリーに宿を取り直し随分と少なくなってしまった荷物を収納しました。鍵を自前で持っていたことが幸いでしたね。

何をしようか迷いましたが本当に潰れてしまいそうだったのでロンドン動物園がある近くの公園を周回することに。走ってないとやってらんないという気持ち。
走り終わったら明日以降の予定を急遽組み直しつつ近くのFive Guysへ。あまりのカロリーの高さからもう2度といかないと誓ってはいましたが、あまりに暴飲暴食したい気分だったのでご容赦ください。

あぁ、君のために俺は今こんな気持ちなのかという他責と自らの不注意を省みる自責の気持ちが交互に押し寄せて来て目から雨が…20年と少しの人生でしたがここまで悲しい気持ちになったのは初めてかもしれません。
同室のイビキがものすごいおじさんに若干イライラしつつも心と体の調子を改めて整えるために眠りにつきました。明日以降もまだ旅は続くのですから、寝ないわけにもいきません。
Day26:「」

昨日より早い5時前に出発。まだあの悪夢から1日と経っていないのかと昨日の長い長い1日を振り返りつつ悲しむ気持ちを隅っこに追いやりセント・パンクランス駅に向かいます。
本来は飛行機で海峡を飛び越える予定でしたが、ユーロスターのプランに変更。ユーロスターはパリやブリュッセルといった近場の主要都市が行き先となっていますが日に数本だけあるオランダ、アムステルダム行きのユーロスターで一気に予定を巻いてしまいます。

もう数年間は見ることのないはずだったユーロスターが再び眼前に。どうしてこうなった…と、考えたくないことがいろんな要素でフラッシュバックしてきます。厳しい。
出発時刻からは遅れたりはしていませんでしたが始発のユーロスターなのにかなりの乗客で待合に座るところがなく大変でした。日本の新幹線や空港がよくできていることがわかります。こっちは国際列車ですけどね。

イギリスに来る時も一等車ですがもちろん帰りも一等車。お金はないけどちょっと寝たかったので二等車は怖くてやめときました。今度乗ります、今度ね。
地味に食事が出てくるのが加点ポイント。イギリスの高い食事代を浮かせられるのはかなり良いですね。クロワッサンもヨーグルトも美味しかったです。

英仏海峡トンネルを渡ってヨーロッパ大陸に再上陸したらフランス国内を爆走しブリュッセルへ。あぁ、何で戻って来てしまったのか。これがわからない。
ブリュッセルを越えると進路を北にとりアントワープ・ロッテルダムとネーデルラントを北上して行きます。山がないどころかこの辺りは低地地方とも呼ばれ海面より地表面の高度が低い箇所が多いのが特徴です。

ロンドンを出発してから4時間、イギリス・フランス・ベルギー・オランダと渡り歩いてオランダは首都アムステルダムに到着です。ここで当初の予定と合流。何とか修正できました。
アムステルダム中央駅はアムステルダム市内を流れる運河のそばに設置された大きな駅。湾曲した鉄骨と無数のガラス窓で形成された天井が非常に特徴的です。駅の外まで屋根の鉄骨が来ているのが他でなかなか見ない。

荷物をほぼ全損したとはいえ何もしないのは勿体無い。ので軽くなってしまったデカトロンの手提げバッグを持って観光地へ向かいます。特急から近郊列車に乗り換えです。
今から向かうのは「Zaanse Schans(ザーンセ・スカンス)」という地区。皆さんはオランダと聞いた時に何を思い浮かべますか?色々とあるかと思いますが、この地区ではオランダを代表する特徴的な景色が見られるのです。

駅から30分歩いて到着したザーン川の湖畔、そこにはこのように無数の風車が立ち並んでいるのです。どこかの絵画で見たことのあるようなちょっと現実離れした風景がそこにはありました。
オランダといえばという質問の答え、自分なら風車と答えます。国土の多くが海抜0m以下に位置するオランダでは古くから水害に悩まされて来た歴史があります。

そんな干拓地(オランダではポルダーとと呼ばれる)における水の管理、そして製粉用の動力として重宝されたのが北海を吹き抜けてくる偏西風を捉える風車だったのです。
これらの風車は16世紀から建設が始まり蒸気や電気といった近現代の動力が発明されるまで数百年間に渡ってオランダの発展を支えその文化の中に刻まれてきた歴史があります。

これらの風車はより北のポルダーから移設されて来た物ですが、このザーンセ地区ではこれらの風車を含め伝統的な木造建築の数々を見ることができます。
水路を渡る跳ね橋、家畜の屯する牧場、小舟が行き交う船着場、チーズやチョコレートの工房など風車だけでなくオランダの文化の多くを体感できる有数の観光地となっています。

園内は綺麗に整えられており初夏なこともあって色とりどりの花々で満ち溢れていました。日本と同じ紫陽花も鮮やかに咲き誇っていて牧歌的な風景に彩りを加えています。
正直ポルダーの泥濘に埋まって人生終えてもいいかな〜というなそんな居心地の良いのどかな風景でした。が、まだやるべきことがあるので帰ります。

駅まで戻る道に行くつか売店があって風車村で買うよりもちょっとお安いのでおすすめ。駅に着いたらしばらく待って近郊列車でアムステルダム中央駅に戻ります。
北側は現代的な構造でしたが南側に出ると伝統的な煉瓦造りの立派な駅舎があります。どことなく東京駅の丸の内口と八重洲口を彷彿とさせますね。

アムステルダムといえばヴェネツィアと並んで有名な運河の街。街の中心部には多数の運河が張り巡らされていて小舟が行き交っています。
もちろんこれらの街並みは「アムステルダムのシンゲル運河の内側にある17世紀の環状運河地域」として世界遺産に登録されており昼夜を問わず賑わいを見せています。

とにかく道が狭かったヴェネツィアと違ってこちらは常識的な街並みをしているのであちらほどの混雑はありません。環状運河とはなんぞやという感じですが確かに地図や航空写真を見ると街の中心部を取り囲むような形で運河が形成されていました。
街並みも他の有名なヨーロッパ都市に負けず劣らず綺麗で大きな窓のついた石造りの建物が道の両脇に整然と並んでいます。飾り窓地区も行ってみましたが昼だったのであまり特別な雰囲気はありませんでしたね。

もうあまり遠くまで行く気力はなかったので駅の東側に位置する運河沿いの大きな公共図書館にやって来ました。もちろん入館するのに制限とかはありません。
公共施設が充実しているというのがよくあるヨーロッパの宣伝文句ですが実際このアムステルダム公共図書館は非常に美しく外装内装共に現代的な北欧建築という感じで居心地が良いです。

あまりに居心地が良すぎて数時間図書館内でのんびりしていました。英語の本を取って読もうとしましたがちょっと頭回らんかった(笑)
階下にあるスーパーでサラダを買って桟橋の下で食べていたらふっと目の前に人影が。見上げてみると腕や足にびっしり墨の入った半袖短パンのすんげぇ巨漢が目の前に立っているではありませんか。あっ、死ぬんだ、と覚悟しました。

しかし幸か不幸か僕を始末するつもりはなく、どうやら持っていたスピーカーの電源が切れたので充電させて欲しかったらしい。断ったら死にかねないのでもちろん電源を提供してあげました。
お礼にハイネケンの缶を貰ってそそくさと駅に向かいました。そろそろ次の列車の出発時刻が近づいていますからこれ以上遅れるわけには行きません。

夕陽に照らされたアムステルダム中央駅。個人的にレトロな駅よりもこういう現代的な駅が好き。古い駅舎も悪くはないですがやっぱ現代人ですからね。ノスタルジーに浸るのは時々で良いんです。
これからベルリンへ向かう夜行列車に乗車します。本来であればこのアムステルダム中央駅から発車するらしいのですがどうも線路工事でこの駅に列車が来られないらしいので街外れの別の駅に来てとのことでした。

可愛い丸っこいスタイルの近郊列車でメールにて指示された「Amsterdam Bijlmer ArenA(ベイルマー・アレーナ駅)」という駅に到着。名前がややこしくてよくわかりませんがなんか駅前にショッピングモールやスポーツアリーナがあるのでそれ関連かな。
何にせよこちらも綺麗な駅で良かった。近くのコンビニで飲み物だけ購入してホームで待ちます。中心部ならまだしも郊外で夜間に出歩くのはちょっと怖いですから。

定刻から少し遅れてホームに滑り込んできたベルリン行きの夜行列車、ヨーロピアンスリーパー。ブリュッセルからアムステルダムとベルリンを経由してプラハへ向かうらしいです。
色々あって疲れたのでいつもの狭いクシェットの段に体を押し込んでとっとと寝ます。ベルリンの到着は朝6時なのであまり長く寝る時間もありませんから。
Day27:試練は続くよ、どこまでも

定刻通りにベルリンに到着。何とか起床できましたが乗り過ごしてたらヤバかった。ドレスデンまで止まらないのでリカバリー不可ですから起きられた自分を褒めましょう。ベルリンで下車すると言ってた同室の奴は寝てたので(笑)
ベルリンはご存知の通りドイツの首都。流石に規模感も首都に相応しい規模となっておりこちらも鉄骨と無数のガラスが素敵な駅です。無数の階層が上下で繋がっているのもポイント高いです。

駅の外観はこんな感じで全面ガラス張りという斬新なスタイル。本当に現代最先端を行ってますみたいな尖った感じが大好きです。意外と構内は明るくなかったので遮光ガラスなんでしょうか。
朝ごはんを食べたかったのですがまだ流石にどこのパン屋もパンを製造し切ってなかったのでギリギリ開店していた地下のカフェでカプチーノだけ飲んでおきました。またカプチーノかよ。

ベルリンといえばなブランデンブルク門です。以前、環境テロリスト(環境活動家とも呼ぶ)がペンキをぶっかけていましたが流石に修復されていました。言われてみればちょっとオレンジっぽいかも…
他にも国会議事堂やベルリン大聖堂など比較的古めの建物が点在しています。並べば国会議事堂にも入れたようですが時間ないのでやめておきました。

比較的と言ったのはこういう新しい建物が多いから。不思議なことにドイツの大都市は日本の町並みのように伝統的な建物は少なくこういった小綺麗な建物が多いです。
不思議とは言いましたが理由は一つ、本土決戦で一面だいたい焦土になったから。かつての古い街並みは戦争によって軒並み瓦礫になり新しく街づくりが行われたからですね。

日本の江戸も似たような運命辿ってんなぁ…本土決戦しなかったけど焼夷弾でだいたい焼け落ちたからなぁと複雑な気持ちになりつつ朝の散歩は終わり。
中央駅に戻るには少し遠かったので別の小さな駅から今朝向かうべきあるお店へ向かいます。さて、どこでしょうか。当ててみてください。

答えはこちら、無印良品でございます。何と驚いたことにベルリンに出店しているんですね。地味にドイツ国内であればハンブルクやフランクフルトといった各地にあるらしい。
ここに来たのはもちろんスーツケースを買うためです。流石にデカトロンの口が閉まらないショッピングバッグで日本に帰るのは現実的ではありませんから。

日本で買えば3万円で購入出来るスーツケースに1.5倍の値段を出す羽目になりましたが致し方ない。以降スーツケースを購入出来るかすら分かりませんし火急で必要ですから。
日本人店員ぽい人がいて話しかけようかとも思いましたが流石にやめておいて近くの聖堂を観察。なんか色々装飾品とかの展示がありました。

スーツケースも何とか調達できたので移動再開です。無印最寄りの駅からベルリン中央駅に戻ってきて今度は地下ホームに向かいます。地上地下へとあちこちホームと線路が立体的に交差しているのがすごい。
さて、今から乗車するのはICE。十数日ぶりですね。こちらの列車でドイツ北方の大都市ハンブルクへ向かいます。多くのICEの終点駅となっているターミナルです。

時は2時間飛んでハンブルク中央駅に到着。ベルリンからハンブルクまでは約300km。イメージとしては東京から名古屋くらいの距離感なのでまあまあ速いですよね。
ハンブルク中央駅もベルリンほどではありませんが大きな屋根が天井を覆っていて非常に開放感がある感じ。ヨーロッパの駅ってこういうの多いですけどトレンドなんですかね。

本来であればここから乗り換えて目的地であるコペンハーゲンまで乗換せずに向かうことができるはずだったのですがどうやらまたまた線路工事のため列車がキャンセルされていたので国境の街まで鉄道代行バスで向かいます。
代行バスなのでユーレイルパスで乗車することができるみたい。非常にありがたいな〜とは思いつつバス乗り場に向かうと何やら長い列が。しかももうバスには大勢乗り込んでいるみたい。

乗れんのかこれ…と思っていたらやっぱり乗れませんでした。草やろ。はて、乗れんかったから次のバスが来るんかな…とまたまた思っていたら何と2時間後までバス来ないらしい。ワロタ。血気盛んな乗客の皆さんが駅員に詰め寄っていましたがどうにもなりませんでした。
仕方がないので近くのデンマーク人を捕まえてどうするか相談。タクシーに分乗するという選択肢もありましたが金がかかるのでとりあえず待つことに。荷物を交代で見つつスーパーに飲み物を買いに行きました。

と。うかうかして戻ったらまだ1時間も経っていないのに次便が来ていてデンマーク人ニキも自分がいないのでどうしようかと戸惑っていたみたい。タイミングが良かったからいいもののドイツ鉄道君適当過ぎて呆れちゃいます。
とりあえず乗れたもんには乗れたので安心して爆睡。なんかすんごい猛スピードのバスでしたが寝ていたのであんまり気にならなかったです。

ハンブルク駅から1時間半ほどでドイツとデンマークの国境を越えPadborgという街の駅に到着。定刻に出発したバスであれば丁度列車と接続したみたいですが謎のタイミングでバスに乗せられてしまったので待ちぼうけを喰らうことになります。
仕方がないので近くのスーパーマーケットで時間潰し。ドイツからデンマークに入り通貨も変わって物価もちょっと上がりました。でも別に普通ってニキが言ってました。

普段であればこの駅は大して混雑なんてしない閑散とした駅らしいのですが今日は交通がイカれているためにご覧の通り大混雑。駅には帰宅時間の大阪駅くらいの人がいるのに何とやってきた列車は3両編成。
しかも座席の予約はとっくに売れてしまっており着席は絶対不可避。もはや諦めて大混雑する鮨詰の車内に収まりました。朝の山手線くらいの混雑感ではっきり言って地獄でしたが我慢するしかありません。

写真なんか撮る余裕のないぎゅうぎゅう詰めの車内で耐えに耐え1時間と30分、Fredericia(フレゼレシア)という街に到着。ここで改めて別の列車に乗り換えます。
先ほどの列車よりは幾分か車両数が増えてまだ混雑はマシになりましたが座席は指定制ですので座ることはできず。もう数十分の辛抱と思って耐えましょう。

デンマークはその国土の多くが島で構成された「地味に島国」な国家。ドイツと陸続きになっているユトランド半島からコペンハーゲンへ向かうには小ベルト海峡・大ベルト海峡という二つの海峡を超える必要があります。
大ベルト海峡に至っては最狭部ですら18kmととんでもない広さをしていますが長い海底トンネルと大規模な橋梁区間によって克服しています。グレートベルト・リンクと呼ばれるこの交通路はヨーロッパ大陸とスカンディナビア半島を直結する唯一の陸路として非常に重要な役目を果たしています。

大ベルト海峡を渡って「Korsør(コアセー)」という田舎の駅に到着。しかし列車はここまででまたバスに乗り換える必要があるらしい。譲ったら負けなので貪欲に席を確保しに突撃し無事に着席。
というのも既にベルリンを出発してからなんと10時間が経過しており心身ともにヘトヘト。ハンブルクから4時間半座っていれば勝手にコペンハーゲンに到着するはずだったのにもはやこれは修行です。

綺麗な夕焼けですね。どんどん緯度が上がってきましたから日没も遅く既に夜の22時半、流石に日没ですね。コアセーのお隣にある「Slagelse(スラーエルセ)」という街でバスを下車。ようやく最後の列車に乗り換えられるらしい。
しかしまあこの駅が綺麗だこと。ご存知の通りヨーロッパの駅には一般的に改札がないためこうやって跨線橋でそのまま駅の外に出られるのですがあまりにも跨線橋が美し過ぎた。

数十分の乗換時間で駅構内をぶらぶらしますがコペンハーゲンまで直通する列車に乗っていればこの美しい駅に辿りつくことは無かったと考えると、運命というか成り行きってなんか不思議ですね。
とはいえ疲れたので列車がやってきたらグイグイ乗り込んで座席を確保。遠慮したら負け、これ海外の基本らしい。自転車を置くスペースに設置された補助席でしたが着席できるだけ御の字というものです。

日付が変わる手前、ベルリンを出発して実に半日の時間をかけてコペンハーゲンに到着です。流石にもう疲れたのでとっとと宿へ向かいましょう。
幸いなことにコペンハーゲンの中心部に宿を取っていたのでとっととチェックイン。コペンハーゲンはヨーロッパの中でもかなり安全な都市の一つなので夜間も比較的安心して歩けます。

チェックインするとは言いましたが寝るとは言っていません。何てったって晩御飯を食べていないんですから。縦揺れしてるクラブなどの前を通り市庁舎の近くへ。
明らかに治安が悪くなりましたがバーキンで腹を満たし宿へ蜻蛉返り。自転車レーンがしっかりと整備されていて走りやすそうなのが印象的ですね。では、寝ます。
エピローグ

今回ももちろん2万字を越えてしまいました。WOCの最中は撮影している写真も少なかったので想定よりは多くなってしまいましたが常識的な範囲で良かった。
ようやくコペンハーゲンに到着し最後の目的地であるスウェーデンへ向かうところから次回スタートです。
総集編:Day1〜9(レーティッシュ鉄道&Cansiglio編)
総集編:Day10〜18(JWOC2024&スイスアルプス編)
総集編:Day28〜37(O-ringen&ゴッドランド編)
しばらくお待ちください。
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