【欧州遠征2024】Day3-1(Bern→Filisur)レーティッシュ鉄道探訪、前編(ラントヴァッサー橋)

旅行(日本国外)

プロローグ

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 欧州遠征3日目、今日は憧れの国スイスでずっと見たかった景色を見に行きます!その名もレーティッシュ鉄道!日本と同等かそれ以上の山岳国家であるスイスにおいて急峻な山岳を技術で克服した鉄道として世界遺産にも登録されている有名な鉄道路線です。

 ずっと前から行きたいと、乗りたいと思っていたレーティッシュ鉄道の乗車紀です!

本編

レーティッシュ鉄道目指してクールへ

 おはようございます。せっかくベルンに来たのに大聖堂を見ないのはなんだか勿体無い気がしたので宿をチェックアウトしてチラッと立ち寄りに来ました。

 流石にまだ5時台なので中に入ることはできませんから外から眺めます。フルヴィエールの時も思いましたが本当に建物の造り込みがすごいですよね。特に尖塔なんて下からろくに見えないのに本当に細かいところまで造形されているように見えます。

 レストランが夜遅くまで営業していて日が沈んでも賑わい続けた旧市街も流石に朝方はご覧の通り閑散とした感じで静まり返っています。

 大通りのど真ん中には噴水があったり、建物からはスイスの国旗をはじめ何種類かの旗がはためいており朝の雰囲気も夜とまた違っていい感じ。大体どの通りも旗が飾ってあります。

 旧市街から中央駅までは歩いて10分くらいとなかなかに近い。まあ10分の距離とはいえザックがでかいは重いわでなかなか移動すら大変なんですけどね。

 ヨーロッパの鉄道は出発直前まで到着ホームが決まらないので大変だと言われていますが、スイスは例外的に時刻表に載ってる時間帯になればどこに行けば良いかわかる安全仕様というわけです。

 さてさて、今日はスイスの東の方へと向かうので昨日と同じくICに乗車しまずはチューリッヒ中央駅を目指します。まだ朝6時半なのにまた16両オール二階建てがやってきました。

 こんな朝っぱらから長大編成を運用するスイス鉄道もなかなかですがこの時間でもホームに人だかりが出来るくらい早起きなスイス人もなかなかです。これ特急ですよ?一応

 ベルンからチューリッヒまでは結構短く1時間もしないうちに到着します。慣れないドミトリーなのであんましいい感じに寝られませんから車内で少しばかりウトウト。

 ぐっすり寝ると安全じゃないかもしれないので朝ごはんを食べて胃を動かし目を覚まさせます。ベルン中央駅のキオスクで買ったコーヒーと安売りのサンドウィッチ、これでだいたい日本円で1000円くらいですからやはり物価は高い…

 コーヒーを飲んでゆっくりくつろいでいたらあっという間にチューリッヒ中央駅に到着。鉄道大国スイスの中でも最も大きな駅がここ、チューリッヒ中央駅です。

 地上ホームにはもちろんたくさんの列車が並んでおり電光掲示板の行き先表示を見てみてもスイス国内はもちろん、ヴェネツィアやパリといった国境を越える国際列車も多数発着していることがわかります。

 自分が次に乗るのはこのIC3という列車、特急電車ですね。行き先はリヒテンシュタインとの国境にほど近いクールという街です。

 前後に機関車を配置し間は客車という日本ではあまりみない形の駆動方式の列車。もちろん悠々と一等車に乗り込み予約がされていない席を探して着席します。

 列車は定刻通りに発車しチューリッヒ湖の湖畔をしばらく走ります。昨日のレマン湖ほど大きくはありませんが細長い三日月のような形をした湖です。スイスはマジで湖多すぎな件。

 今回は進行右手の座席に座ったので山側の景色が主に。最初は湖側に座れば良かったな〜とか思っていましたがこちらも「これぞスイス」な景色がちらほら見れるので全然良かった!

 チューリッヒ湖から離れて山手の方へと分け入っていくと車窓に見える景色はどんどんとダイナミックになっていきます。なだからな高原からゴツゴツとした岩が剥き出しのアルペンチックに。

 晴れた青空も相まってなんだか現実じゃないみたい。どんだけ前世で徳を積んだら国土がこんなにも美しくなるのかと少し羨ましくなってしまう景色です。これ別に観光列車でもなんでもなく普通の都市間特急ですよ?

アルブラ線

 チューリッヒから1時間ほどでクールの駅に到着。なんだか名前が格好良さそうな街ですがたぶん関係は特にないと思います。ここまではSBB、スイス連邦鉄道の路線でしたがここからはタイトルにある通りレーティッシュ鉄道というスイス最大級の私鉄路線に入ります。厳密には少し前の駅からですけどね。

 この車両はレーティッシュ鉄道で有名なアレグラ…とは少し違う形式のアルブラという愛称の列車。まあ見た目がほぼ一緒だからどっちでもええわって感じではありますが急勾配をも走破できる強力な電車となっております。

 もちろん一等車二等車と別れており二等車はなかなかな混雑のようでしたが、伝家の宝刀グローバルユーレイルパスで一等車に乗り込みます。

 流石に一等車はガラガラなので車両半分丸ごと貸切にできます。写真には写っていませんが各座席区画ごとにはテーブルが備え付けられておりレーティッシュ鉄道の路線図が描かれています。

 定刻通りに列車は出発。最大勾配は35‰を誇るなかなか急勾配な路線ではありますが力強い動き出しはさすが電車といったところ。もちろん電車なのでかなり静かなのも良ポイントですね。

 クールからしばらくは右手にライン川を眺める狭い平地に沿って進みます。ライン川がフォルダーライン・ヒンタールハインと分岐するタミンスという街で列車もオーバーランド線と別れ南方へ進路をとります。こちらは列車の愛称と同じ「アルブラ線」といいます。

 もちろんこのライン川はさらに下流でドイツとフランスの国境を成すあのライン川です。こんなスイス・アルプスの山奥を源流とし1000kmを越える旅を経て、オランダにて北海に注いでゆくのだとと考えると大陸の壮大さが窺えますね。

 画像はカツィスという街からの車窓ですが線路の周辺はしばらくは平地。向こうの方の上に小さな街があったりする所は実にアルプスらしいというか、牧歌的な何かを感じさせてくれる良い景色です。

 トゥージスという街を越えると遂に世界遺産へと登録されている区間へと入ります。登録内容は「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」というもの。名前から分かる通り文化遺産として登録されていますね。

 とはいえ、ここは山岳大国スイス連邦ですから自然の景観も一級品です。急勾配を登り始めたアルブラからは左手にヒンタールハインが削り出した谷間とその奥にサンクト・ガーレン州最高峰のリンゲル・シュピッツが望めます。

 先ほどまでの平地が主だった車窓は打って変わって険しい山々を駆け巡る路線へと変貌。スイスらしい高規格な山道に沿って築堤や橋梁、トンネルなどで地形の凹凸を克服しています。

 写真左奥の方に写っているのはソリス橋という古い橋梁。あとで紹介するラントヴァッサー橋より知名度がないですが地味にこのアルブラ線で最も高い89mの高さを誇るレーティッシュ鉄道を代表する建造物です。作られたのが1902年だというから驚き。

 ティーフェンカステル・ズラヴァといった小さな街を横目に通り過ぎずんずん山奥へと進んでいきます。渓谷の険しいところを通ったりこんな感じでちょっと開けたところを通ったりと面白い路線です。

 奥に聳えるのは何の山でしょう…?6月も末だというのに山頂付近にはまだまだ残雪が見えます。調べてみたけどよく分からなかったので、恐らく名前はついてないけど奥のクラヘンホルンという山から続いてくる稜線だと思います。

 出発から1時間ほど過ぎたところで列車は一つ目の目的地であるランドヴァッサー橋を通過。向こう側に見える荒々しい岩場は到底列車が通れるようには見えませんが橋を渡ったらトンネルという脳筋戦法で解決です。

 また後で詳しく紹介しますがラントヴァッサー橋は先ほどのソリス橋より少し低いですが65mの高さを誇るアーチ橋。こちらも1902年には供用が開始されたと言いますから非常に古い橋です。

ラントヴァッサー橋

 定刻から若干遅れ1003にFilisur駅に到着。ずっと「フィルサー」と呼んでいましたがどうやら「フィリスール」という方が近いらしい。まあウィズビーかヴィスビューかの違いみたいなもんですから大事なのは綴りです。

 左奥に見えている列車はクール方面への交換列車…ではなくリゾート地として名を馳せるダボス行きの別系統の列車です。ダボスというとダボス会議しか頭に浮かんでこないのが経済徒の宿命なのかもしれません(笑)

 トンネルで駅舎へと渡りふと向こうの方を見ると乗ってきた列車が遥か向こうの山を走っているのが見渡せました。機関車含めて10両編成とは、さすが鉄道大国スイスです。

 荷物を駅のカフェに預けようとしたところで日本語を話す中国人にどこに行くのかと話しかけられました。橋に行くことを話すと自分も行きたいから案内してくれと依頼が。当然面倒くさいので自分で地図を見て行くよう諭すと、なら勝手について行くと宣うではありませんか。

 とりま荷物を預けるから退けと振り切り隙を見てフィリスールの街に降ります。ちょうど喉が渇いていたのでCOOPに立ち寄り炭酸水を購入しました。

 いい感じに太い道に出て歩き始めますがなかなかに交通量の多い道。しかも高規格な道なのでダンプやらが暴走してんのかって速さで通り過ぎるので命の危険を感じます。

 フィリスールの街から20分ほど歩くと幹線道路から分岐する砂利道が現れるので右折。駐車場ぽくなっているところもあるので車で訪れることもできそうな感じ。調べた所によると時間次第では駅から橋まで乗れるミニトレインなんかもあるんだとか。

 しかしまあ川の色が日本とずいぶん違うこと。石灰が多く溶けているからとか上流からの土砂が多く含まれているからとか言われているみたい。水量が多くて若干怖いですが砂利道をてくてく歩いて橋を目指します。

 分岐から歩くことさらに10分、ついに待ち望んだラントヴァッサー橋の袂に到着です。写真からでは伝わりにくいですが50mをゆうに超える高さを持つ橋、とにかくデカいです。

 右手の方にパラソルがありますが屋台のような酒やら飯を売っているお店がありましたが値段を見てやっぱり断念。何もかもが高額すぎるめう…

 到着してからちょうど5分ほどしたところでツェルマット行きの氷河急行がやってきました。氷河急行はサン・モリッツからツェルマットまで8時間をかけて走破するスイス連邦随一の観光列車です。名前くらいは聞いたことある人も多いのではないでしょうか。

 ラントヴァッサー橋は1902年に建設されて以来、2009年に初めて補修がされるまで実に100年以上一度も修復されずに使用されたという歴史を持ちます。アルブラ線を建設するにあたってこのランドヴァッサー渓谷が最も大きな難所であったといいますからそんな所に100年保つ橋を架けてしまう技術の高さ…鉄道建築の傑作と言われるのも納得です。

 長く居たいのは山々ですがまだまだ移動しなければならないので渋々橋を後にします。ちょうど1時間後の列車がやって来たので木々の隙間から撮影。それにしても美しい見事なアーチ橋だこと。世界で一番鉄道写真として撮影されている橋なんだとか。

 砂利道からはラントヴァッサー橋を眺める展望台へと続く山道がいくつか分岐しているので時間がある方はぜひ登って列車が通るのを眺めることをオススメします。私は次来た時までお預けです。

駅に戻ると…

 橋まで来る時は交通量のそこそこある車道を通りましたがちょっと怖いので帰りは山道を登って駅まで戻ることにします。看板がきちんと整備されているので迷うことは…たぶんないと思います!

 針葉樹の大木を左右に見つつ開けたところまで登るとなかなか良い景色。あちらに見える山々も山頂付近に残雪があるのが確認できますね。標高は2500m程度かと思いますが緯度が高い分雪も長くまで残っているのでしょうか。

 20分くらい山道を登ると住宅街に出るので細い道をうねうね歩くとフィリスール駅に到着です。電車が来るまで40分くらいあるので閑散としています。しかしどうも大きな声が聞こえる…しかも日本語…?

 と思って近づくと先ほどの中国人がカフェの飲み物が高いと日本語で喚き立てているところでした。実に見苦しいと思いつつカフェのお姉さんにお金を支払い荷物を回収。1時間あたり4フランで預かってくださるみたいなので荷物がデカい人は預けると良いかと。

 荷物を回収して店を出ると…先ほどの中国人が目の前に。お前は橋まで行ったのかと話しかけられたので無視するのも悪いと思ってそうだと答えると、何故先に言ってしまったのかと意味の分からない供述が始まりました。どうやら橋まで行けなかったみたいです。

 まあついて来られたくなかったのでさっさと見つからないうちに駅を離れたというのはありますが、別に案内するともついてきて良いとも言っていないのに、お前は酷い奴だとか約束を破っただとか有る事無い事罵倒されて気分悪かったですが海外でいざこざを起こすのも面倒だったのでとりあえずごめんごめんと謝っておきました。

 とりあえず一通り言って気が済んだのか害虫は離れて行きましたが流石に気分が悪いのでカフェの自家製レモネードでお口直し。旅行記にこういうことはあまり書きたくいないですが中国人は9割方関わるに値しない根の腐った連中なのでとにかく離れるに越したことはありません。

 カフェのお姉さんに注文しがてらアレは日本語を喋っているが中国人だと話すとなんだか納得したかのような微妙な表情。レモネードめっちゃ美味しかったので是非飲んでください。

 先ほどの中国人の同行者らしき人は普通に日本人、夫婦のようでした。こちらの人は至って普通の日本人という感じで妻の非礼を詫びられましたが、mont-bellで日々相手にしているから大丈夫と話すとしきりに笑ってはりました。どういうことだってばよ。

 私が次に乗るサン・モリッツ行きの列車は若干遅れてるみたいで先にクール行きが出発。例の中国人はクール方面へ向かったようで列車がさったホームに姿はなく若干安堵。とばっちりはごめんですからね…

エピローグ

 という感じで長くなりますから今日も2分割、ベルンからフィリスールまでの移動とレーティッシュ鉄道の見どころ観光でした。

 スイスの鉄道に乗っているというだけで途方もなく楽しいですが、かねてより憧れていたレーティッシュ鉄道は景色も構造物も一級品で限りなく素晴らしいという他ありません。

 普通の人から見れば取るに足らない存在かもしれませんが、橋とかトンネルとかの構造物が好きな身からするとソリス橋、ラントヴァッサー橋の姿は本当に圧巻でした。

 とんだとばっちり野郎(女郎か)と遭遇してしまいましたが、そんなことどうでも良くなるくらい素晴らしい路線なので皆さんもスイスに来た際はぜひ訪れてみてください。

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