プロローグ
失意の中、ようやく辿り着いた目的地。場所はスウェーデンの港町「オスカーシュハムン、全オリエンティアの必修科目と言われるこの大会に参加するためここまでやってきたのである。

全4編からなる総集編もこれで最後、さあ頑張って書き上げてしまいましょう。スウェーデンは色々とすごく好きな国なので楽しみですね。
本編
Day28:向かうべくは「O-ringen」

長い移動の疲れを短い睡眠でなんとか癒します。ここは北欧、デンマークの首都コペンハーゲンです。随分と遠くまでやってきてしまったものですね。
こちらは朝日に照らされる人魚姫の像、せっかくですから観光しないと勿体無いと思って短い空き時間でやってきました。世界三大がっかり観光地らしいのですが、天気も良くて普通に洒落乙な気がしましたが皆様はいかがでしょうか。

実はこの人魚姫の像がある場所はカステレット要塞と言って17世紀に建造された星型の要塞。公園として開放されていますが往時を偲ばせるレンガの倉庫など雰囲気はとても良いです。
人魚姫の像だけを見にきたら少しガッカリしてしまうかもしれませんが、要塞と一緒に観光すれば迫力は十分で不満なんてことはないと思いますよ。

さて、観光の時間も終わり。ここからはまた長い長い移動の時間です。要塞のすぐそばの駅から近郊列車に乗ってスウェーデンの港町、カルマルへと向かいます。
途中の駅でりょうすけさんが乗車。空港の駅でまさとパイセンが合流しO-ringenメンバーが勢揃い。さあ、いざスウェーデンへ入国だ!

スウェーデンとデンマークの国境にはエーレスンド海峡という幅7kmにわたる海峡が横たわっており古来より人とモノの往来を妨げる障壁となっていました。
しかし、2000年にコペンハーゲンとスウェーデンのマルメーとの間にエーレスンド・リンクという鉄道と道路の併用橋が建設され両国はおろか、先日通過したグレートベルト・リンクと併せてヨーロッパ大陸とスカンディナビア半島を最短で結ぶ陸路網が完成したのでした。

橋を渡っていると車内に警察が現れ屈強そうな黒人男性を連行。何が何やらよくわかりませんでしたが、どうやらお薬キメちゃってたみたいでスウェーデンに到着次第下車させられていました。
そんなトラブルもありつつ列車はスウェーデンの平坦な大地を疾走していきます。見渡す限り山なんてものはなく楯状地ってこういうことなんだぁと感激。

スウェーデンというと、氷期に国土全体を分厚い氷河が覆っていたことで有名。その氷河地形の名残でこのような池なのか湖なのかわからない水溜りが国土全体に無数に存在しています。
なんというか、日本でこういう池がある景色というのは北海道でもお目にかかれないので北欧に来たんやなぁと地理オタクとしては感無量の車窓でした。

コペンハーゲンから4時間の列車の旅でカルマルに到着。世界史を勉強していた人は「カルマル同盟」という言葉で聞き及んだことがあるかもしれませんね。
それなりに大きい、とは言っても小さな町であることに変わりはないので簡単に街を散策できてしまいます。綺麗な青空と風情ある街並みが美しいですね。

お昼ご飯、何を食べるか迷い彷徨った結果タコスを食べることになりました。スウェーデンに来てもメキシコ料理を食べてしまう日本人。これは如何に。
実は自分、タコスを食べるのは初めてだったのですがなかなかこれがおいしかった。タコスもそうですがチップスもパリッとしていてソースと絡めるとなかなかに美味。メキシコ料理最高かもしれんね。

バスの時間に遅れないようにしつつ駅の方へ戻ります。駅の近くにこんなポートタワーみたいな塔が建っていました。なんだこれは。
どうやら古い水門塔らしく煉瓦造りなのが印象的。よく見たら橋の入り口も門のような構えになっていてここ全体が水系施設であったことを思わせます。

自分たちが乗るバスをそうと認識できず危うく遅れかけながらもなんとか飛び乗ることに成功。運転手が自分らを探して待っていてくれたのが幸いでした。マジで運ちゃん神かよ。
カルマルからオスカーシュハムンまではバスで1時間。あまりに長時間の移動に慣れ過ぎてしまったため感覚が麻痺し短いと感じるようになってしまいました。

ひとまず宿に入り込み荷物を置いて大会ショップを見に行くことに。前日、前々日からイベントをやっているので早く行かないと目ぼしいものが無くなってしまう!
かなーり広いテントにまるまるオリエンテーリング用品が販売されていて大盛況。シューズもコンパスもなかなか日本では見ないものばかりなのでテンション爆上げでした。

とりあえず必要なオリエンの服だけ買って我らがLidlへ。今日の晩御飯と明日の朝ごはんを購入します。どこにでもあるLidlにはこの旅の最初から最後までお世話になりっぱなしですね。
人数が増え宿にはキッチンがあるということで自炊たーいむ。安定のパスタと葉っぱでお腹を満たします。流石に自炊なだけあって食費が安いのはそうですが、割と普通にお腹いっぱい食べれて嬉しみの嵐。
Day28:O-ringen Day1

さあ、ついに始まるぞ!という意気込みを込めて自転車で力強く漕ぎ出します。この宿、ノリと勢いで適当に取ったのですが素晴らしいことに自転車が備え付けてありました。
これがまた最高で連日お世話になります。ひとまず自転車で大会バスの乗り場まで向かいましょう。自転車に乗れない人は…ごめんなさい、歩いてください。

バス乗り場に到着。自転車は鍵をかけてそこら辺の駐輪場にポイと放り出してバスに乗り込みます。見たことない数の自転車が集結していて圧巻でした。
バスも待ち時間とかあるのかな…とか思っていましたが数百台の規模でピストン輸送をしているようでそんな心配皆無、一瞬で40km先のテレインまで連れて行ってくれました。

45分ほどでバスを下車。徒歩すぐの大きな大きなオープンに大会会場が広がります。入り口には大きな看板があり要項がデカデカと掲示。もうこの時点で規模感が日本では考えられないレベル。
奥にはなんだかよくわかりませんがたくさんの施設やらテントやら旗やらが見えてもはやオリエンの大会ではない。フェスやお祭りに近しいという話は聞いていましたがこの光景を見て納得です。

こちらがゴールレーン。何を言っているかあまりよくわからないと思いますが奥に見える看板のようなゲートを潜ってゴールするというような感じ。
レーンがあるって?そうだよ、レーンだよ。というのも参加者が一日あたり1万人くらいいるのでこうやってゴールレーンを分けないと話にならないらしい。もうわけわかんないよ。

どんどん、参加者も増えてきて混雑してきました。足の踏み場がないという言葉が結構しっかりくるくらいでこの後もどんどん増え続けていましたね。
トイレの数も100台とかそんなレベルではなく、とにかく規模がでかいでかいでかい。そんな圧巻の規模感に押されつつもレンタルしたSIを握りしめてスタート地区へ向かいました。

さあ、レースの結果はというと散々。A3のマップに広々と描かれた1:15000の超大規模なロングディスタンスで日本との感触の違いに戸惑いミスを連発。なんとかリカバリーして完走こそしましたがほうほうの体でした。
でも地図を一目見ただけで「カラフル!綺麗!」と思わず叫びたくなるくらい美しい地図をしていて興奮が止まらない。レースはひどくてもその体験は最高でした。ポスト位置も難しいしね。

バスに乗って街に戻り明日のご飯を買い出し。そこら辺を歩いていると野良シモーナを発見。まさかこんなところでと目を疑いましたがガチで本物でした。
世界レベルの選手も結構参加している様でWOCほどの見応えというか観戦感はありませんが着目してみるのも面白そうでしたね。
Day29:O-ringen Day2

さてさて、本日は2日目、レースの日です。昨日と同じ場所が会場となっているので昨日と全く同様の動線でバスに乗り込みます。
昨日はいわゆる高速バスみたいなタイプでしたが今日乗車したのは路線バスみたいなやつ。本当にここら辺の地域一体のバスをフル活用していると言った感じですごい。

昨日と会場も同じだしレイアウトもあまり変わっていないので詳細は割愛。しかし今日はスタートが遅いからか到着する頃にはご覧のように会場は人で埋め尽くされていました。
いやはや、あまりに人が多過ぎて自分の陣地を見つけるのだけでも一苦労。さながらフェスなので迷わない様に注意しましょう。

今日のレースはミドルディスタンス。昨日走ったテレインの西側ということで難易度は同じく難しいだろうなと思っていたら案の定、ボッコボコにされちゃいましたとさ。
なんとか遭難しないよう完走しましたが直進も結構ズレまくって課題点を色々と発見。でもツボっても帰ってくるしかないですから日本のようにレース中に萎えたりしないのは良いかも。

ところ変わってこちらはとあるペットショップ。いや、海外でペットショップって何すんねんという感じでしょうがここにDHL(運送業者)の荷物受け取りブースがあるのでそこに用があったわけです。
先日の荷物喪失でスマートウォッチの充電器も一緒にバイバイしてしまったので代品をAmazonで注文したのでした。ちゃんと届いて良かった。

今日も晩御飯は自炊。パスタを茹でてトマトソースやら肉やらをかき混ぜてソースにする。面倒くさいと思っていた自炊もこうしてやってみると案外楽しいものです。
昨日、なんでか知らんがぶっ壊れたオーブンも業者さんを呼んで修繕してもらったので明日はピザとかも焼けそう。料理の幅が広がります。

と、いうことで晩御飯を腹に溜め込んで夜のお散歩に出発です。時刻は夜の8時くらいですがご覧の通り日はまだまだ沈みません。高緯度帯あるあるですね。
なぜ夕暮れの海沿いにやってきたか、それは今から飛び込んで遊ぶ…わけはもちろんなく、とある所へと向かうからです。どこでしょうか。

答えはこちら、このデッカい船でバルト海にポツンと浮かぶ「ゴッドランド島」へと向かいます。明日はレストデイなので観光をしに行こうと言うわけです。
船に乗ること自体、昨年の伊豆大島に向かうさるびあ丸以来半年ぶり。しかもこの船はもっとデカいのでワクワク。船に乗る時はいつだって最高の旅になるので仕方がありませんね。

船は定刻通りにゆっくりと離岸。ずずずっと重たい船体を動かし沖合へと舵を切ります。ようやく日暮れの時間なのでほんわかオレンジ色に水平線が染まります。見渡す限り丘陵すら無いのがやっぱり新鮮だ。
ゴッドランド島までは片道3時間の船旅。遠いようで近い様でちょっぴり遠い。でも船旅として楽しむにはちょうどいい塩梅の時間なので近所にこれくらいの島が生えてきて欲しいものです。

色々と座席タイプはあるらしいですか短い船旅なので座席を選択。でも普通にふかふかの座席で満足感は高め。コンセントとかテーブルとかも普通にあって清潔な船内も相まって海外とは思えない。
流石に2日間、ハードで訳のわからないテレインに放り込まれ走り続けたのでちょっぴりの時間でも爆睡。ヘッドレストがないのだけちょっとアレだけどそこまで求めるのも野暮でしょう。

気がつけば日付も変わり船はゴッドランド最大の都市、ヴィスビューに到着。日本語ではウィズビーとかヴィスビューとかビスビューとか色々と読み方があるみたいですがお好きにどうぞ感。
どうやらスウェーデン語でHAMNというのが港のことらしい。ってことはオスカー・シュハムンじゃなくてオスカーシュ・ハムンが正しい分け方ってこと…・

スウェーデン自体がそうですが、ゴッドランド島もそう人口が多いわけではございません。総人口5万人といった規模なので未明の町は暗く静まり返っています。
時々、飲み明かしているのか人間が通りますがしんとした雰囲気。早く宿を見つけて就寝しましょう。しかし、どこにあるのか…よくわかりません。

それらしき建物はあるのですが入り口には当然のように鍵がかかっておりどうしよう…といった感じ。仕方がないのであちこち近くを見て回りますが入り口があるはずもなく。
数十分の謎解きの末、パイセンがキーロックが解除される微かな音を頼りに鍵を探し出し無事部屋に入ることができました。突発深夜の謎解きは予想外でしたが何気に楽しかったのでヨシ!
Day31:ヨルシカを追って

ヴィスビューは輪壁の街とも呼ばれこんな感じの古い城壁が旧市街を囲うように建っています。その昔、ハンザ同盟の1都市として貿易で栄えたこの街は敵対都市や海賊からの侵攻を防ぐためにこういった城壁を築き上げたのです。
とりあえずお腹が空いたので近くのスーパーで腹ごしらえ。島のスーパーでしたが物価も変わらず品揃えも良かったので助かった。本土と違ってまともに食料がないってことも往々にしてありますから。

港の正面にレンタサイクルがあったのでチャリをレンタル。そんなに高くなかった(3000円とか?)気がするので訪れた際はぜひ。自転車があるのとないのとでは大違いです。
海岸沿いに建ち並ぶ城壁に沿って北上します。この先にこの度の終着点とも呼べる「とあるもの」があるというのです。あ、ながらスマホだって?気にしたら負けです。

その「とあるもの」というのはこの輪壁の北西の端にあります。輪壁の内側に入ってすぐ、目の前に姿を現したのは音楽を再生する度に何度も目にしたヨルシカのジャケ写と全く同じベンチです。
詳細を語ると一本書けるので省略しますが、ヨルシカの「エルマ」というアルバムはここゴッドランドを舞台にしており、そのジャケ写がまさにこの写真にあるベンチというわけなんです。気になる方は検索してみてください。

このベンチ、どういう意図があってこんな形なんだろうと思っていましたが実物を見てはっきりしました。これは輪壁をモチーフにしたものだったんですね。後ろから見ると忠実に現地を再現しているのがわかります。
こんななんでもないベンチ、現地の人も、なんなら同行者だって全く気にも留めないような代物が一アーティストの影響を受けて一人の人間をここまで訪れさせる衝動を駆り立たせてしまうだなんて。我ながら不思議です。

この輪壁、10世紀に建設されたとだけあって非常に風化が進んでいます。あちこち今にも崩れそうでありながらも1000年の時を越えて現存するその佇まい。古臭さこそあれど圧巻と言えるでしょう。
当然、そんな歴史的価値が認められないはずもなく、ヴィスビューは街並みを輪壁と合わせてハンザ同盟諸都市の一つとして世界文化遺産に登録されています。なかなか穴場なので訪れる人は少ないかも?

輪壁の中に入り自転車を走らせているとところどころで目につくのはこんな崩壊した石造の建造物。これが何なのかというと「教会廃墟」と呼ばれるもの。文字通りかつて教会であったものです。
その昔、ヴィスビューが栄えた時代に多くのカトリック教会が作られましたが16世紀のリューベックによる攻撃、そして宗教改革の煽りを受け一つを残すほか全てが廃墟となったのでした。

その唯一がこのサンタマリア大聖堂。ゴシック様式の教会として建築が始まりましたが度重なる改修を経てロマネスク様式との融合したスタイルの佇まいとなっています。
この教会だけがドイツ商人によって建造されたので今日まで残されているというわけ。宗教って何だか怖いなぁと思ったり思わなかったり。

街中には教会廃墟が10を越える数ありそれぞれに様々な形状が残されています。こちらは聖カリン教会という廃墟で天井を支えていたであろうアーチ状の柱が特徴的。
さながらジブリの世界線なのでぜひ一度は行ってほしい。その荒涼とした廃墟らしい雰囲気と外に出た時の活気ある街並みのアンマッチがなかなか癖になります。これがヴィスビューを「薔薇と廃墟の街」と言わしめる理由です。

小高い丘にアイスクリーム屋があったので腹ごしらえがてらに注文。まあまあ値段もするけどかなりのビックサイズで出してくれるのがこっちのアイス屋なので見かけたら迷わず食べましょう。
丘の上からはオレンジ色の屋根が並ぶ様が見渡せます。確かにジブリ作品のモチーフになっていると言われればそんな気もしますが、自分は魔女の宅急便は未履修なので何とも言えないところです。

レストランでハンバーガーを食べまた街に繰り出します。「薔薇と廃墟の街」と言いましたがその名の通り、このヴィスビューの通りには季節になると無数の薔薇の花が咲き乱れます。
街の至る所に薔薇の株が植えられており気がつく間もなく通り過ぎそうな小道には薔薇の花が溢れています。少し時期を外してしまいましたが幾分か咲いている花と小径の雰囲気を楽しめました。

さて、しばし街を観光したところで少し街から外れた南の岬へと向かいます。どうやら結構景色の良いところらしいですから楽しみです。
この度で数千枚の写真を撮影しましたが一番お気に入りなのがこの写真。もっと綺麗な景色とか場面はたくさんありましたが、何気ない夏の一幕って感じがするので個人的なお気に入りです。

街外れに行くとのことで車が時速100kmで走っている幹線道路をか弱い自転車で走ることになるのかと思いましたがしっかりとした歩道が整備されていて安心。
昨今、日本でも自転車の厳罰化が進んでいますが、こうやってちゃんと安心安全のための施作を打ってから何とかしろよといつも思ったり。北欧はこと自転車には快適な環境が多いようです。

30分ほど自転車を走らせ岬に到着。街の中心部からそう離れているわけではありませんが断崖絶壁の上にあるだけあって眺めは抜群。内海の穏やかな波と夏めいた空が実に素晴らしい。
崖の下に降りる梯子だったりハマれそうな崖と崖との隙間にみんながチャレンジしていましたが僕は命知らずではないので挑戦するのはやめておきました。

またヴィスビューの海岸に戻って暖かな陽射しの下でのんびりします。絶好のピクニック日和という感じで長閑で良い…本当にここまで来て良かったと心の底から思える場所でした。
最後にもう一度あのベンチを目に焼き付けて早めに自転車を返しに行きます。遅れて船に乗れませんでしたとかはあんまり笑えなくなってしまうので(笑)

スウェーデンといえばミートボール。どこぞの大型家具店でそう教えられてきましたが、船のレストランで売っていたのでもちろん食べてみます。
味自体は普通に美味しいといった感じでしたが、甘いベリー系のソースが思いの外あっていて意外でした。肉と甘いものという一見アンマッチな組み合わせでも美味しいのは発見ですな。

3時間の船旅を経てオスカーシュハムンに戻ってきました。一雨降ったようで地面が濡れていましたが今日のユース・スプリント競技は大丈夫だったんでしょうか。
ゴッドランド島を訪れ、この長い旅の目的をついに果たしたということで半ば感無量、もう帰ってもいいやと若干思ったりもしましたがまだまだ。O-ringenはあと3日残っていますから明日からも頑張りましょう。
Day32:O-ringen Day3

おはようございます。今日は随分とのんびりしていますがとりあえず近所のスーパーで買い出しっと。朝ごはんにちょうど良いヨーグルトと大量のパン。こういう飯も悪くないですよ。
何でこんなのんびりかというと、今日の大会会場は自転車でたった15分のところにあるから。嘘やんという感じですがれっきとした本当のこと。近すぎんだろ。

会場にはとんでもない量の自転車が集結。来るなら自転車があった方が良いというのはこういうわけなんです。大体の大会の参加者が自転車を使って移動しています。
しかもこの駐輪場、これだけじゃなくてもっともっとたくさんチャリがいます。もう言葉で言い表すことのできないくらいの規模感なのでぜひ体験してほしい。

相変わらず入口にはわかりやすい要項の看板が設置されておりこれは日本の大会でも見習えたらと思うところではあります。スタートまでが複雑なのも欲しい要因ではありますね。
今日の会場は前と比べると若干ではありますが狭かったようでなかなかに人口密度が高く苦労させられました。ちゃんと目印とか場所取りとかは相談しておきましょうね。

今日はロング。しかも1:15000なだけでなく、コンタ2.5mというオマケ付き。いやどんだけアップダウンないんやという感じですが実際全く感じませんでしたね。
驚愕なのはそれだけでなくこのカラフルさよ。日本でこれだけカラフルな地図なんて見たことありません。この水色のエリアは海だっていうんですから何もかも違いすぎてて頭バグる。

うちの宿にバーベキューグリルがあると聞き付けて他のJapanese達が遊びにやってきました。みんな強い人ばっかりで恐れ多いですが混ぜてもらいました。
夏の北欧はこうやって昼がとにかく長いので遅くまで活動できるのが魅力。学校が終わってから森に入ってオリエンするというのも納得な感じ。
Day33:O-ringen Day4

気づけばもう4日目、何てこったパンナコッタという感じですが頑張ります。今日の会場は1日目2日目のバス乗り場だった広場。そう、今日も会場まで10分とかいう異常な近さをしています。
これだけ近いしもう4日目なこともあってそこらへんの公園に行くくらいのノリで行けるようになりました。O-ringenは近くの公園だった、これライフハックかもしれません。

ん、てなわけで本日の地図ですがこれまたなかなかに特徴的なこと。縮尺こそ10000ですがコンタは変わらず2.5ということで地形が乏しいことこの上ない。やっぱ難しいね。
でも、結構日本チックな雰囲気もあったりして本日はボコボコのレースでした。どっちかっていうと純粋なる北欧テレインの方が自分は得意なのかもしれません。直進しかやることがないからか?

連日開いているO-ringen広場的なところに0日目に訪れたオリエン用品のショップであったり大会の総受付、あるいは企業のブース出店なんかもあったりします。
北欧でいうオリエンは日本でいう剣道くらいの立ち位置のスポーツ、しかも地域性があるということでこういう感じのイベントができるんですね。日本じゃ採算取れませんから。

今日も今日とて自炊です。旅の全体を通して食費を使いすぎてしまったのでこうやって節約すべき時はしっかりしないと、とは言いつつも船の上で贅沢しちゃいましたから言動が伴ってませんね(笑)
もうちょっと食事に執着のある人がいれば映える食事でも作れるのでしょうが誰もそんなものに興味はない、安くてたくさん食べれるのが正義という環境ですので今日もパスタなのは仕方がありません。

はい、ということで出来上がりましたのがこちら、久しぶりのgnocchi(ニョッキ)です。前も言った気がしますが丸い見た目をしていながらもれっきとしたパスタに分類されます。
茹でるだけというパスタの特性もきっちり引き継いでいながらもちっとした食感でマンネリ化したパスタ生活に活気を与えてくれるので遠征の際はぜひご活用ください。
Day34:O-ringen Day5

泣いても笑っても今日が最終日、5日目です。あっという間に最後となってしまいましたがいつもと変わらず、いやそれ以上に活気に溢れている気がします。それぞれのクラブチームの旗がはためいているのが印象的です。
ここに至るまでチェコからだいぶ結構、足を酷使してしまっておりそろそろ限界近くなっていますが怪我しないように頑張ろうと思います。

今日はロングなので当たり前のように縮尺は15000、それでいてA3いっぱいに広がるテレインをふんだんに使えているのですから何度見ても驚くばかりです。
今日のテレインは青色が少ないですがカラフル。途中の倒木でしっかり足をグギってしまったのでのんびりとした走りになってしまいましたが完走できたのでヨシ。ちゃんと5日間完走し切りましたよ。

昨日でブルガリアに向かってしまったユニバー一行におすすめされたというカフェがあるそうなのでせっかくですから訪れてみることに。
何やら不思議な食物があったので食べてみるとどうやらチョコの塊の中にホイップクリームが入っているという代物。最初は良いですがかなりの重さなので食べる時は何かしらドリンクと一緒に注文することをオススメします。

今日もパスタ、いつもパスタということでもう言うことがなくなってきました。どうしましょうか。パスタ美味しい、パスタ最高。こんな感じでいいですか?
明日は遂に日本への帰還の玄関口となるストックホルムへ向かうことになるので寝坊してもギリ耐えるように早めの準備をしておきました。
Day35:ストックホルム探検

さあ、いざストックホルムへ向けて出発…といく前に少し訪れておくべき場所があったのでそこへ向かいます。とあるオリエンティアが「人生の終着点」とまで評していたので気になります。
そこは街外れの堤防の上、海峡を挟んで向こう側にエーランド島を眺めることのできる実に静かな波止場の一角でした。何というか…こう…うん。

誰もおらず、喧騒もなく、何もない。とにかく「無」がそこに広がっているのではないかと思われるくらいひっそりとした雰囲気で浮世離れしています。
特に天気が曇り空なことも相まってなおさらその虚無感を駆り立てます。自分の解釈があっていればそう言った意味で終着点と表現するのも的を射ているなと感じたり。

無に浸っていたら時間が結構ギリギリになってしまったので遅れないよう宿を飛び出します。それぞれの次の目的地へ向かうのでここでお別れです。短くも濃密な1週間でした。この日々に救われたのだ。
最寄りの鉄道が通っている駅までは路線バスで向かいます。アプリをダウンロードしておけば事前にアプリでチケットを買うことができるので圧倒的にオススメ。

2両編成でやってきた近郊列車に乗って高速列車が運行されているリンシェーピンへと向かいます。こんな田舎の列車でもちゃんと一等と二等が分かれているのがヨーロッパです。
リンシェーピンまでは2時間。遠いはずですが近い、そんな気がする所要時間中に山を見ることはついぞありませんでした。ずっと平原か森、あるいは湖が続く車窓です。

リンシェーピンに到着。スウェーデンの街の中ではまあまあ大きい方らしく駅舎も立派な建物で有人駅です。日本人オリエンティアを見かけたような見かけなかったような…
本当はここで少しぶらぶらする予定だったのですがこの駅からの高速列車の予約が取れず、普通列車で行っても良かったのですがせっかくなら乗りたいと言うことでさらに移動することに。

やってきた近郊列車で1時間ほど北上したところにあるカトリネホルムと言う街に向かいます。なんだかんだ乗ったことない列車に乗れるのは嬉しいですから。
ちなみに、その予約が取れず乗れなかった列車というのは今左側のホームに停車しているやつ。あれに乗ってストックホルムまで一本のはずだったのに…仕方がありません。

カトリネホルムに到着して30分程度の乗り換え。動く気力はなかったのでホームの橋でのんびりしているとけたたましい音と共に滑り込んできました。
迫力あるこの灰色の列車がスウェーデン鉄道のフラッグシップ車両。車内は木目のデザインが基調となっており落ち着いた雰囲気を感じます。

もちろん一等車と二等車に分かれておりこちらは一等車の様子です。ゆったりとした車内空間とシートピッチが実に快適でした。荷物置き場があるのも良ポイント。
向かい合わせのボックスシートでしたがもはや慣れてしまって何とも思わなくなってしまいました。こういうもんなんです。ヨーロッパの高速列車って。

カトリネホルムから1時間ほどでストックホルム中央駅に到着です。駅舎は立派ながらも首都の駅としては小さめな感じ。でもほとんどが地下に隠れた駅なので見た目より規模はでかいです。
駅の周辺はあまり治安が良くないという話も聞いていたのでビクビクしていましたが実際そこまでな感じも。パリやロンドンと比べれば可愛いものです。

兎にも角にも荷物を置きたいのでホテルに素早くチェックイン。今日宿泊するホテルはストックホルムの中心部である「ガムラスタン」という地区にあり一等地も一等地。観光地がすぐそこの超がつくほど良いロケーションです。
このガムラスタンという地区はスウェーデン語で「古い街」という意味でその名の通りこの場所からストックホルムが街として成立したという歴史を持ちます。

ホテルの前の通りはこのような感じで観光客が大勢おり昼夜を問わず人でごった返しています。様々な土産物を販売する商店も立ち並んでおりさながら観光地。
こんな一等地でありながら一泊一万円以下で朝食付きの良宿だったのでした。しかし、なぜこんなところにわざわざ宿を取ったのかというと少し理由がありまして…

それがこちら。この写真はガムラスタンのとある通りの一角を撮影したもの。何の気のない平凡な一枚ですが私、ことヨルシカファンの自分にとってはまたこれも意味のある写真となるのです。
「だから僕は音楽を辞めた」というアルバムのジャケ写のロケ地がまさにここ、いわば聖地なのです。本当に凡庸な街角で誰も見向きもしないこんな静かな場所に密かに興奮を隠せないでいます。

細い街路を持つガムラスたんの街並みは実に美しくみて回ろうと思えば何時間でも見られるくらい。しかしずっと同じところにいるのもアレなのでバーキンでも食べに行きましょう。
バーキンがある南の方へ向かっていると橋の上から綺麗な虹が。根元からアーチにかけての部分しか見えませんでしたが何だかラッキーな気持ちになりました。

バーキンで夕食を済ませて宿に帰る途中、突然の雨に降られびしょびしょに。幸いなことに通り雨だったようですっかり晴れてごらんの景色。歌人の像も何だか誇らしげに見えてきます。
刻一刻と帰国へのカウントダウンが刻まれている気がしてちょっと焦っています。帰りたいんだけど帰りたくない、そんな不思議な気持ちになりながら異国の地を歩きます。

ここガムラスタンは細い路地が多いことで有名でごらんの通り、とんでもなく細い路地がそこらじゅうに散在しています。エディンバラもこんなところがありましたが頻度的にはこちらの方が上です。
しかもどうやらこの辺りには観光客しか用がないらしく地元の人間らしい人が見当たりません。おかげで大通りを挟むと全く人がいない状態となるのでひっそりしており少し怖いくらい。

それではちょっと空も暮れてきたところで地下鉄を使って数駅移動します。どうやらストックホルムの街並みを一望できる展望スポットがあるのだとか。
スウェーデンの地下鉄はQRコードをスキャンする形のようで事前にアプリを導入しチケットを購入しておく必要があります。キャッシュレスで便利ですがどうせならクレカに対応していて欲しかった。

Google Mapの案内に従って小高い丘の岩場を登ります。怪我している足にはちょっときつい道のりでしたが根性で何とかしました。丘の上では大勢の人間が日暮れを待っていました。
30分ほど待っていると空のオレンジ色が濃くなり奥から夕闇が迫ってきます。だんだんと太陽が沈んで街並みから色が消え暗い一つの影へと落ちていきます。どこにでもある夕暮れの景色なのにこれが最後のヨーロッパの夜と思うと何だか寂しいな…ここまでとにかく長かった。

やがて日も暮れ街には街灯が灯っていきます。実に35日間、休めるところこそあれど家という場所から隔絶されてこんなに長期間過ごしたのは自分にとっては随分と規格外のことでした。
しかも言語が通じない、何かあったら自分で何とかしないといけない、そういうプレッシャーというか実際にそういう場面もあったわけですが苦難こそあれどこの1ヶ月は楽しかったなと改めて振り返るのでした。

駅から宿に向かって帰る途中。時刻は10時を回りそろそろ宿に戻った方が良い頃合い。そんな時間でしたが無性に外を歩きたくなり出歩いているととても美しい景色に出会えました。
今でも時計の待ち受けにするくらい大好きな一枚。これを越える大きな思い出を語る日はいつか来るのだろうか、そんな気持ちでもっておきます。
Day36:帰投

翌朝、ちょっとばかし早起きをして昨日訪れた小高い丘に再度向かいました。昨日は夕暮れでしたが今日は朝焼け。そう言えるほど焼けてはいませんでしたが、朝日が美しくて良き。
今日はもうすぐに空港へ向かわないといけないので特に何をするでもなく名残惜しくまたここにやってきましたが、朝の景色はまた一味違っていて来て良かった。

朝焼けを眺めてガムラスタンに戻ります。昼間は喧騒に溢れて騒がしいこの街並みも、人々が寝静まり起き出してくるまでのこのわずかな時間だけはひっそりとしています。
この人のいないガムラスタンを散策するためだけにこの中心部に宿を取る価値があるとすら思うくらい重厚感のある締まった雰囲気でした。

お昼前、ストックホルム中央駅に向かい空港とを結ぶ列車に乗り込みます。アーランダ・エクスプレスという名前でストックホルムの中心的空港であるアーランダ国際空港と街中心部を20分で結びます。
最高時速は200kmと新幹線ほど早くはないですが専用の線路を使ってダイレクトアプローチ、途中の停車駅すらないので体感本当にあっという間です。

チェックインカウンターがある階まで上がって来ました。ターミナルが結構細かく分かれているみたいですがそんなにそれぞれが離れていないので最悪間違っても大丈夫感はあります。
手早く手荷物を預けてチェックイン。チェックインできなかったらどうしようとか思っていましたが当然杞憂に終わり保安検査を抜けて制限エリアに入ります。

最後の食事と考えてカルボナーラを注文。なんでパスタやねんという感じですが他にイメージのつく料理があんまりなかったので許してください。
結局イタリアでもパスタを食べることはなかったので地味にヨーロッパ初の店売りパスタです。日本のパスタは啜れるくらいの粘度感ですが、こちらはもっちりこってりしていてやはり別物でした。

スウェーデンとフィンランドは共にシェンゲン協定加盟国。国際線ではありませんが国内線という扱いなので出国審査なしに飛行機に乗り込みます。
帰りに使用するのはJALと同じくワンワールド・アライアンスに所属しているフィンエアー。かなり評判の良い航空会社ですので安心して良いかと思います。

ストックホルムとヘルシンキは1時間ほどしかかからないのですぐに着陸。降機しいよいよEUともお別れ。出国審査場へと向かいます。
が、ここも自動化されており日本のパスポートならスルーでOK。というか入国ならともかく出国する人を止める場面の方が少ないでしょうから心配ナッシングです。

思っていたよりも乗り継ぎの猶予時間があって暇なので最後の食事をバーキンに更新することを決定。結局日本に帰ってから一度も食べていないのでここで食べて正解とまで言えるでしょう。
ヘルシンキから大阪までは12時間半ほど。太平洋を飛び越え北極圏からやってきたヨーロッパですが、帰りはユーラシアをガッツリ飛び越え日本へ。実質的に世界一周しちゃってます。

関空まで直行で僕を運んでくれるのはエアバスのフラッグシップであるA350。東京大阪線でもJALが多数飛ばしている最新機材です。これは大当たりすぎる。
横三列のシート構成でしたが後方をチョイスしたおかげか独占することができました。若干躊躇する気持ちはありますが横になって寝られるのは素直に嬉しい。

どんよりと厚く積もった雲を突き抜けると成層圏を越える抜けるような青空が広がります。すべての乗り物の中で飛行機が一番好きですが、その理由はやっぱりこの空の青さでしょうか。
ヘルシンキのあたりは航路が縦横無尽に交差しているからか飛行機雲をたなびかせながら自機の上空をいくつもの飛行機が横切っていくのが見えました。

入国カードも配られましたが事前にオンラインで申請してあるので自分は必要ありません。こういうのは大体全部’事前にできるようになっていますからやっておくに越したことはありません。
機内食が出て来ました。パンと…何だっけこれ。あとマカロニサラダ。多分美味しかたtけど正直覚えてないです。ごめんなさい。

ヘルシンキを出発するのは午後6時をまわる前、関空に到着するのは正午過ぎということでこの飛行機は夜を追い越します。なんか、この言い回しカッコ良いから使ってみたかったんですよね(笑)
機内は消灯して暗くなってしまったのでちょっとだけ窓からスマホを覗かせ一枚だけ。一枚だけだから許しての精神。みんな寝てるからいいでしょ知らんけど。

横になって寝ましたが流石に快眠とはいかずほどほどの眠さを孕みながら朝食にありつきます。オムレツとジャガイモだったかな。朝食としてはぴったりのメニューで最高でした。
今は中国の上空。あと2時間もしないうちに日本の島々が見えてきていよいよ日本へ帰還の準備…となります。パイロットさんからしたらいつもの航路でなんて事ないと考えるとこれまた不思議な気持ち。

結局、着陸ギリチョンまでうとうととしてしまっていたのでいきなり神戸の上空に到着!って感じの状態になっていました。左手を眺めると神戸の街並みが広がっていて「帰って来たんだ…」と安堵の気持ち。
関空には伊丹と神戸との航路の関係で南から着陸します。大阪湾の上でぐるっと旋回して遊覧飛行し海面スレスレを通って着陸。素晴らしい軟着陸でした。

12時間をこえる長いフライトを安全に終えてくれた機体とパイロットに感謝。タキシングも特に待ち時間なくスムーズにスポットに入り降機できました。
入国審査は日本人なので顔パス。手荷物を受け取り税関を通ります。当然、申告するようなものなんて持って来ていないので無事にスルー。関空の国際線ゲートから出るのは随分と久しぶりですね。

空港の外に出ると茹だるような暑さでもうちょっと戻りたくなっちゃった。まあでも、これくらい暑い方が涼しい時期のありがたみを感じられるからちょうどいいかもしれません。
あとはドイツで買ったスーツケースを高速バスに詰め込み三宮へ。あとは順当に帰路につき玄関を開けて37日間の欧州遠征2024は終了です。お疲れ様でした。
エピローグ

こうして37日間の旅は終わったのでした。最終日に日付を飛び越しているので36ではないんですよね。時差ってよくわかりませんがそういう事です。
出国から帰国まで、長いようで短かったのと同じく、ここまで総集編を書き上げるのも手をつけるまでは大変でしたが手がついてからはあっという間で何をこんなに時間かけてたんやって感じ。
とにかく、ひとまず総集編は終わりということで書き上げたことにしておきます。ぼちぼち時間を見つけて個別の日に関しても穴を埋めていきますのでぼちぼちね、ぼちぼち。
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