【総集編】欧州遠征2024をダイジェストで振り返る(Day10〜18:JWOC2024&スイスアルプス編)

旅行(海外)

プロローグ

 さあ、総集編をサクッと終わらせていきましょう。少なくとも総集編くらいは終わらせておかないと…そんな焦燥感がありますね笑

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 さて、総集編の2編目やっていきましょう。2編目はJWOC観戦のチェコとスイスアルプスの観光編です。今回も一晩でなんとかなるでしょ知らんけど(笑)

本編

Day10:JWOC2024 Day1

 おはようございます。昨晩は少しばかりお酒を飲んだはずですがなかなか良い目覚めでした。やはりここ最近のクシェットやドミトリーより個室の広いベッドというのが良かったのでしょうか。

 なんとここのホテルは朝食バイキングがデフォルトでついているのでもちろんありがたく頂戴いたします。さすが、ヨーロッパという感じでパンやベーコンといった定番のものはもちろん、チーズやハムは数え切れないくらいの種類がありました。何が何だかわかりません。

 今日はJWOC本戦の1日目、JWOC本戦はかなり朝早くから出走していますが交通機関がないので最初から観覧するのはちょっと厳しい。朝ごはんをたらふく食べて遅ればせながら私も現地へ向かうところ。

 しかしながら今日の天気はあいにくの雨、おまけに結構しっかり降っている感じ。まあとにかく行ってみないことには天気は分かりませんから電車に乗ってしまいましょう。今日はグローバル・ユーレイルパスは使わないので切符を購入して乗り込みます。

 プルゼニから一つ隣のロキツァニという街の駅で下車。プルゼニはなんだかんだ言って都会だったのですが一駅(15km)ほど離れているので普通に別の街、いや村といって良いような雰囲気です。ヨーロッパは都市間に農地や森がありますからね。

 ここからタクシー捕まえられないかな〜とか淡い希望も持っていたのですが、残念ながらダメそうだったので諦めて大人しくここから走ることに。大会会場まではだいたい8kmくらいなので何とかなります。きっとね。

 ヨーロッパらしい広大な丘陵が地平線まで続く景色。先日までアルプスの山々に囲まれたところに泊まり込んでいたので新鮮といえば新鮮。フランス以外は結構山がちな景色でしたからね。

 車通りの多い幹線道路の道路脇をひた走る。正直寒いし遠いし車は怖いしで挫けそうですがここで帰ってしまってはしょうがないので頑張ります。たぶん脅威になるような動物とかはいないのが救いでしょうか。

 1時間かけてようやくJWOCの大会会場に到着です。山道を抜けた大きなオープンにおもむろに現れました。やっぱ海外でもオリエンテーリング・スタイルはこんな感じなんですね。なんだか安心感があります(笑)

 出店もギアのスポンサーや大会特設ショップ、キッチンかーなど数多く並んでいて頑張ればオリエンテーリングで使う道具は全部ここで揃えることができそうな感じがします。冷えた体を温めるためにカプチーノを飲みました。またかよ。

 雨も小降りになってきたのでGPSを開いてJWOC本戦を観戦。あ、そういえばこの時某イギリス元気くんと4ヶ月ぶりくらいに再開しました。何も変わってなくて安心した。日本に帰ってきた今でも変わってなくて安心。

 日本代表たちの渾身の走りや海外代表選手の飛ぶような走りがGPS越しでも大いに感じられました。一方で寺嶋や梶本には今でも追いつける気がしないのに、それを軽々と上回ってくる海外選手たち。しかも18歳とか言うじゃないですか。これが世界か…

 JWOCの本戦が終わったら併設大会のスタートもそろそろ。いい感じに天気も回復してきて併設大会の参加者もどこからともなくゾロゾロと現れてきました。パッとみた感じで子供が多いのがすごい。

 デフの配り方が独特でそこらへんの柵に吊り下げて各自勝手に取っていってねスタイル。これ置いてるのが会場のど真ん中なんですよね。日本では全くみたことないので色々と謎が多い。

 と、いうことでまあ走ってきたんですが、B薮の松林の落木に足を取られてガチ目の捻挫をしてしまいました。はい。

 ホテルに帰ってくるくらいはできたのですが、レースが終わってアドレナリンが切れてきたのかクッソ足が痛い。とはいえ病院には行けないので近くの薬局で買った包帯と持参した湿布でなんとかします。うぅ…せっかく楽しみだったのに、チェコの森。

 ちなみに本日のコースはこんな感じ。自分がガッツリ捻挫をやらかしたのは1番から2番へ向かうB薮の林の中でした。めっちゃ楽しそうなコースだったし平らな森で爽快に走れそうだっただけに残念感はひとしおです。

 このCZECH-O-TOURは日本で言えば全日本選手権・ツアーみたいなもので各レースのoverallで勝者を決めるチェコ内でも大規模な大会。最速選手は30分台を出していてさすが中央最強のオリエン大国という印象でした。

Day11:JWOC2024 Day2

 と、いうわけで本日は休養日でございます。何が休養日やねんって感じですが悲しいかな、あまりにも足首が痛すぎて立って歩くのがやっとの状態。座ってるだけで足が痛い状態なのでほぼベットの上で空虚に寝転んでました。チェコまで来て何やってんだか。

 とはいえ生活はしないといけないのでスーパーに食物を買い出しに来ました。ちょうどまさが洗濯と晩飯の調達をするという話だったのでせっかくだしついてくことに。土地勘ないのでいまいちどこか分からんかった。

 スーパーで必要な食料を買いだめしてえっちらおっちら運搬し、どうやら一部JWOCer達が御用達にしていたケバブ屋さんが近くにあるというので行くことに。実は一度も日本でケバブを食べたことがなかったのでチェコで食べられて感激していました。

 お味は肉がなかなかに美味しい。どう美味しかったのかはもはや覚えていませんが普通にまた食べたいと思えるような味だったはず。野菜が入ってるのポイント高いですね。

Day12:JWOC2024 Day3

 え、2日目ってあれで終わり?と思われた方も多いかと思いますがマジで足首痛すぎて悶絶&絶望していたので本当に1日部屋に引きこもりしていました。皆さんは出先での怪我には気をつけましょう。

 とは言え3日目も引きこもってるのは流石に自分の気持ち的に許し難い(遊びに来てない、オリエンしに来た)ので痛い足を引きずって大会会場へ。今日は新婚旅行に来ていたもとなりさんのご好意でタクシーに同乗させていただきました。本当にありがとうございます。

 お見苦しいですが足はこんな感じ。流石に走らない…訳ないでしょ、しっかりちゃんと足はクッソ痛いですがガッチガチのガチに包帯等でぐるっぐる巻きにしてもはやギプスのよう。これだけ固めたら十分でしょう。

 というわけで出走。1:10000、しかも日本と全然地図記号の使い方が違う中でのロングディスタンスでした。おまけに距離が13kmと来たもんですからボロボロの足はさらにクッタクタになりました。

 地図はこんな感じ。イタリアともまた毛色の違っていて面白いコース。特に地形がこんな感じのところは日本には数えるほどしかない、いや数える程もあるのか…?という感じのでこれまた面白い。今見返してみると通ったルート全部逃げのチョイスでした。まあ足もあるし仕方がない。

 ちなみにこの地図はA3なので広さとしては伊豆大島と同じくらい。そんだけクソ広い森があるのがチェコらしいというか強豪国らしいですね。

 とっとと帰ってきてJWOCのミドル本戦を観戦。日本選手の中では流石に寺嶋が圧倒的な走りをして41位。それでもこの順位というのを見て今日も改めて世界の遠さを実感。正直な話、強すぎる。

 この日はスプリントとロングを制したスイス人選手が再度優勝するかに思われましたが、地元チェコの選手が意地と粘りを見せ優勝。いくらフラットなテレインとは言えキロタイム5:30を切っているので本当に恐ろしい。しかもこれはジュニア。

 表彰式の途中でしたがここでしれっと撤退。ちょうどチェコの国家が流れている時に呼び出されてしまったのでなんか反旗を翻しているみたいに思われてなかったかちょっと心配。

 帰りもタクシーに同乗させていただき本当に感謝。プルゼニの中心部からは15kmほど離れている上に前のところと違って電車が近くまでも通っていなかったので本当に足がなかった。しかも走れないと来たもんですから。

 サクッとプルゼニに戻って来ましたが、そういえばまだ観光とか全然してなかったな〜ということを思い出しホテルの目の前に見えていたカセドラルに登ってみることに。閉館ギリギリに訪れてしまったことは反省しています。

 流石に市内では最も高い建物なだけあってかなり遠くの方まで御そんなこん渡せます。日本の街並みとは全く違う古いヨーロッパの都市という感じ。オレンジ色の屋根とカラフルな外壁がその「欧州感」を引き立たせますね。

 明日にはこの宿も発って更なる移動を開始ということですぐに荷物を引っ掴んで脱出できるように荷造りもしておきます。今日のレースで左足を庇いすぎたのか右足のピン付きシューズのピンがごっそり3本ほどもげていました。

 窓から見える薄暗い空と夕焼けがエモい(語彙力)。とりあえずエモいと言っておけばなんとかなる時代ですが、この時は怪我の先行きが見えない焦燥感からくるセンチメンタルな気持ちであったと言い換えておきましょう。

Day13:JWOC2024 Day4

 チェコでの最終日はご覧の通り晴れ。気持ちの良い初夏の陽気に気分は上々です。これまで4日間本当に色々とお世話になったホテルに別れを告げて郊外の電停を目指します。今日は一人で移動なのでタクシー台を節約するためトラムで行けるところまで行っておくのです。

 トラムの北端の終点でシェアライドを呼び付け乗車。オンラインで決済が完結しているので特に運転手とのやり取りなどもなく完結できるのが労力かからなくて良いですね。都市間道路をとんでもない速度で爆走してて気持ちよかった。セダンっていいね。

 今日も昨日と同じ会場のはずですがリレー用のレイアウトに変更されている事もあってかなんだか雰囲気が違います。選手待機所の方にこの大会に選手を派遣している国家の国旗がずらっと掲げられているところを見ると世界大会なんだなという実感が改めて湧いて来ます。

 今日は一般よりも先にJWOCの本戦。森の中のオンラインコントロールから中継が繋がっており白熱したリレーの様子を会場から観戦できました。一走の寺嶋がスイスやフィンランドの一軍と一緒にトップ集団で帰って来た時はマジで興奮しすぎてやばかった。

 リレーは日本勢が全員帰還するまで見届け自分のレースの準備。この日も会場にはキッチンカーやら売店やらが多数やって来ていたのでピンがもげたシューズの代わりにBarkuを購入しました。前のシューズは浴ちゃんのお下がりだったので日本で葬ってやるからな(フラグ)。

 この日の気温は晴れていた事もあってかなり高く普通に直射日光下にいるとクラクラするくらい。自分はこういう熱い環境での運動だとパフォーマンスがダダ下がりするという悲しい特性があるのでせいぜい頑張ります。

 レースの地図はこんな感じ。昨日の本戦ミドルで使ったエリアがテレインでした。昨日見たJWOCの地図の方が色が濃くて見やすかったなぁとかぼやきつつ完走。海外のミドルは日本と違って距離が長いですね。5kmを超えるのは普通みたいです。

 沢のあたりの微地形とそれ以外の平らな地形との切り替えがうまくいかずなかなか苦戦しましたが爽快に走れることには変わりなくなかなか良かったです。まあ、そこまでスピードは出せませんでしたけどね(笑)

 自分のレースが終わればやることはないし、何より今日今からの移動はなかなかハードな行程になるので予約しておいたシェアライドに迎えに来てもらいプルゼニの中心駅まで送り届けてもらいました。またもや名残惜しいですが次の目的地へ向かいましょう。

 これから向かうのはチェコはプラハ。先日ここへ来た道をなぞる様に戻っていきます。プラハで目的の列車に乗り継ぐことができないと今日は一睡もできない乗り換え地獄と化すのでなんとか間に合ってくれと祈りながら近郊列車に乗車しました。

 プルゼニから足掛け2時間でプラハに到着。20分程度の乗り換えで特急レイルジェット(RJ)に乗り換え。この列車でオーストリアの首都ウィーンへ向かいます。今回は車体は艶やかに赤いイメージ通りのレイルジェットでした。

 これからウィーンに戻って何をするのかというと、夜行列車に乗るのです。さすがに元鉄オタなだけあって寝台列車には並々ならぬ憧れがあります。頑張って夜行列車をたくさん乗れるような旅程にするため多少無理をして旅程を組んでいたのでした。

 定刻通りにRJは発車。4時間という長旅ですが前回と同じく一等車ですし、何よりこのRJには日本ではもう全く見なくなってしまった食堂車が連結されています。途中でご飯を買ったりする時間もなかったのでせっかくですしこちらで食事することに。

 料理名は…なんでしたっけ、調べたはずなんですがちょっとよく覚えていないです。確かトマトベースのソースと肉のそぼろ、あとはジャガイモなどの野菜が入ってる食物でした。あとカプチーノも忘れずに。日本人の口にもあう美味な食事でした。

 列車は定刻通りにウィーン中央駅に到着。もう23時を回ろうという深夜の時間帯ですが東京駅のように人でごった返していました。海外の鉄道って乗降人数的に軽く見られがちですが案外侮れないくらい人で溢れています。

 オーストリアの鉄道は他と比べてしっかりしているのかホームにはこういう電光掲示板がたくさん。次に来る列車の時刻や行き先なんかもそうですが、列車の編成や各号車の種類など事細かに表示してくれています。

 発車時刻ギリギリに入線。今日乗車するのはユーロナイト(EN)という種類の夜行列車。まあ、どこかの会社のというわけではなく夜行列車全般をこう表現するらしいですね。車内にはENの広大なネットワークが記載されていました。正直すごい。

 先ほどの電光掲示板にも書いてありましたが、この列車はザルツブルク・シュトゥットガルト・チューリッヒと3つの行き先を持っています。各列車を途中駅で切り離して他の列車と連結、そうやってさまざまな行き先の列車をまとめて目的地にたどり着くというわけです。

Day14:Prague→Luzern、水と生きる街

 相変わらず節約のためクシェットでしたが比較的快眠できた気がします。時刻は午前7時ごろ、もうスイス国内に入って高原地帯を走っているのか数日前に見た景色が脳内に再生されます。

 ルート的には途中でリヒテンシュタイン国内を通過したみたいなのですが当然ボーダーレスですし何より世界最小級国家なので残念ながら全く気が付けませんでした。悲しい。このあと朝食にコーヒーと菓子をいただきました。

 8時20分、定刻に寝台列車はスイス最大都市チューリッヒの中央駅に到着です。1週間前にも来ましたがやはりめっちゃ大規模な駅で感服します。このスイスマークが先頭についた機関車、レトロな雰囲気で可愛くないですか?

 わずか10分程度の乗り換えで次の目的地トゥーン(Thun)を目指します。とは言っても直行してくれる列車はないのでまずはICに乗ってこれまた既視感のあるベルンへ向かいます。

 以前の記事では社内の様子を全く紹介しなかったかと思うのでせっかくですからここで。基本的にスイスの主要幹線IC1を走る列車はオール二階建て、これが16両?とか繋いでるので輸送力は大したものです。

 一等と二等に分かれているのですが一等の社内はこんな感じ。ここまで空いていることはあまりないみたいですが荷物置き場もあってゆとりを持って着席できそうな感じですね。座席はリクライニングこそできませんがふかふかなので問題なし。

 車内にはこのようにホームにあったような電光掲示板と似たようなディスプレイが設置されているので到着駅が近づくとその駅で乗り換えることのできる列車や番線などが事細かに案内されます。放送では基本言われませんがこっちの方が読めるので安心。

 もちろん走行中も列車の現在位置や速度をリアルタイムで表示してくれているので土地勘がない我々にとっては観光要素もあって非常に面白い機能でした。ヨーロッパの優等列車ってだいたいこういうのついてるんで日本も真似して欲しいのが本音。

 ベルン中央駅で先ほど画面に表示されていたブリーク(Brig)行きのIC6に乗り換え。乗り換えもこの案内表示を見ておけば迷わずスムーズに行えます。現地でホームを見つけられない人は…まあ頑張ってください。

 ベルンからトゥーンまではわずか20分。トゥーン湖の北東端にある小さな町に到着です。駅前にコインロッカーがありましたがなんと金額2000円。正直渋かったですがさすがに疲れるので課金することにしました。

 トゥーンは…まあ何で有名かと言われればパッと思いつきませんが、世界屈指の戦車博物館があることで有名です。私は中学生の頃から9年戦車を使ったシューティングゲームを続けていますのでミリオタとしての側面もあり、この都市の名前を知っていたのでした。

 しかしまあ、街中を流れる水が綺麗でたまらない。こうやって川を流れてくる清純な水が綺麗な青色を帯びているのは本当に素晴らしい。このトゥーンから南に進むともうアルプスの山々が広がっているのでそういうわけなんでしょう。

 街外れにある戦車博物館に向かう途中、念の為と調べていると…なんと不幸なことに本日休業日とのこと。嘘やん、今日このために来たんやで…嘘やん。というのも本日は日曜日。当然日本なら日曜日に博物館が開いていないなんてあり得ませんがここは残念ながら欧州だったのです。

 失望というか、もはや絶望の気持ちになりながらもささっと予定を組み直しトゥーンを軽く観光して早めに宿に向かうことに。幸いなことに街の中心部はこの様に古い伝統的な建物が多く歩いているだけでも楽しい。

 トゥーンは山の間際に作られた街なので中心部を流れる川のすぐ北西にはトゥーン城があり歴史博物館になっているよう。電車の予約し直しちゃったので行けませんでしたがこっちでも良かったか。

 お城の中をうろうろしたり崖ぎわから街中の様子を見下ろしたりしていると可愛い黒猫がトコトコと歩いているのを発見。かなり人慣れしていて首輪もついてるからここで飼われているのかな?キリッとしていて格好いいですね。

 個人的に見どころさんだったのは城の外れから街中とを通じるこの細く急な階段の通路。こぢんまりとしていて普通に歩いていては見落としてしまいそうですが建物の隙間から細い街路が登り、上部へ至ると美しい木製の天蓋が装飾されている綺麗な道です。

 私が訪れた時はご覧の通り空いていましたが途中で団体観光客とすれ違ったりもしたので、人がいない早朝とかに行くのがポイントかも。夜間とか夕暮れ時はさらに良い雰囲気らしいです。スイスなので比較的安心ですから行ってみては。

 スイスの湖水地方(湖や川が多いという意味で)の街中にはこういった屋根付の木造橋が架けられていることがしばしばあります。もちろん元来は川を渡り交通を活性化させるのが目的、このトゥーンの木造橋もそういう用途でした。

 しかし後に川の水量を調整するダムとしてや第二次世界大戦時には洪水に対する防壁として活用されたことから無名ながらも見どころあるスポットとなっています。観光誌とか調べてもなかなか載ってないので旅行は知識ある人と一緒に行くと楽しいですよ(アピール)。

 トゥーンの駅に戻り荷物を回収。想定通りの出費とはなりませんでしたがまあこういうこともあっても良いでしょう。想定外も旅にはつきものですから。やってきた列車に乗り込みベルンへ戻ります。

 朝方は雨がしとしとと降ってちょっと気味の悪い雰囲気でしたがしばらく走ると青空が顔を覗かせてきました。山から離れたからなのかよく分かりませんが、個人的にスイスってずっと晴れててのんびりしているイメージなのでそうあってほしい(願望)。

 ベルン中央駅で乗り換え。今度はICではなく近郊列車に乗車します。行き先は今日の宿泊地でもあるルツェルン(Luzern)です。チューリッヒ経由でも行けますがせっかく鉄道旅しているんですから違う路線を通らないとですね。

 とはいえ、実際に乗ってる間はPCを弄っているかウトウトとしていたのでそこまで意味があるかと言われれば正直ない。のでただの自己満足です。1時間でルツェルンに到着、ルツェルンもなかなか大きな駅です。

 とりあえず観光などは置いておいて、日本ではついに全廃されてしまったトロリーバスに乗り込み湖畔にある「交通博物館」なるものを見に行きます。大人一人で25スイスフランなのでちょっとお高いですが物価を考えると妥当ですかね。

 館内はその名の通り交通と言われるもの全般に関するあらゆる展示があります。鉄道・船舶・航空・車といったカテゴリに分けられているので「俺は鉄道しか興味がないんだぁぁぁぁ!」という厄介なオタクの方でも満足できます。

 個人的には最近航空オタクへと深化しているのでこうして古い飛行機が天井から模型として吊り下げられていると心が跳ねて踊って爆発してしまいそうでした。もちろん、ジェット機の展示もありますよ。

 展示内容が多すぎてここでは到底書ききれないので個別の日の記事で頑張って書いてみようとは思っています。あまりに分量が多くなりそうならやめます。

 交通博物館に2時間ほど滞在して今日から数日間泊まる宿へ向かいました。もちろんお金はないのでドミトリーではあります。日本では忌避されがちなドミトリーですが案外悪くないもんですよ。

 宿に大きなザックを放り出してきたらまたルツェルン駅に戻ってきました。駅ナカにあったバーキンで腹ごしらえ。マックとバーキンあまり値段に差はないのでバーキンで食べた方がQOLが上がるんですよね。

 ルツェルンといえばカペル橋という古い木造橋が有名。先ほどのトゥーンにあったものよりこちらの方が圧倒的に規模が巨大です。それはそれは美しい橋で映えるんですが…写真の撮り方が下手くそすぎて全く映え写真がありませんでした。絶望。

 橋の途中にはご覧のような塔が建っており、これまで保管庫や財務省、そして刑務所としても使われたという独特な経緯を持つ建物です。いずれにせよ14世紀から存在する海外では屈指の古さを誇る木造建造物というわけです。

 もちろん、橋だけでなく街中も中世当時からの雰囲気を色濃く留めており周囲のリギ山やピラトゥス山といった山々と一緒にスイスを代表する観光都市の一つとなっています。お天気がもう少し良ければさらに良かったですね。

 ちょうどこの街歩きをしている間にコインランドリーで洗濯物をぶん回しておいたので回収。明日は久しぶりの登山なのでとっとと宿に戻って寝ることとしましょう。

Day15:龍の伝説「ピラトゥス山」

 ぐっどもーにんぐ、の晴れた青空の本日。チェコを観光して夜行のユーロシティ(EC)でやってきた岩崎と一緒に近所にあるピラトゥス山(2000m級)に登りに行きます。流石に麓からはしんどいのでゴンドラを途中まで使います。

 ピラトゥスはその切り立った山容故に龍が棲んでいたという伝説やキリストを処刑した総督が埋められたという言い伝えがある不思議な山です。まあ、富士山もそんな伝説やら逸話やらはいくつもあるのでそういう類と思ってください。

 ゴンドラからロープウェイへ乗り換える途中駅で降車しここから歩き始めます。もう、この時点で素晴らしい景色。眼下に見える複雑な形をしたルツェルン湖や対岸に見えるリギ山、ゆったりと広がっていく牧草地。

 全ての見える景色が「日本人が想像する理想のスイス」という感じでまるで天国のよう。正直頂上まで登らなくてもここでのんびりとひなたぼっこしていても全然満足できるレベル。

 とはいえ道が続く以上進み続けるのがオリエンティアというもの。目的としていた登山道が通行止めとなっていたので結構迂回した別のルートからアタックをかけ元のルートへの合流を図ります。

 登り続けて森林限界付近まで来ると、先ほどまでの牧歌的な風景は一転し深山幽遠なゴツゴツした切り立つ岩峰たちが姿を表してきます。確かにこの感じだけ見ると龍が棲んでいてもおかしくないと思っちゃいますね。

 かかっていた薄い雲が晴れるとその驚異的な大きさの岩壁が姿を表します。日本でもこれくらいの岩壁そこら辺に転がっていますが、さすが本家アルプス。2000m程度の山でもこれが見られるところに格の違いを感じます。

 岩壁を西から回り込み安全に登ると頂上。頂上には先ほど乗車しなかったロープウェイの他に、別の方面から登ってきている登山鉄道の駅なんかもあったりして峻険な山の上というよりはガッツリ普通に観光地となっています。

 頂上付近から山系の最高峰へとは稜線沿いに登山道が続いているので走ってみましょう。左右に切り立った稜線ですが観光客も歩けるようにしっかり岩を切り出して整備された形の道でした。すれ違いはちょっと気を遣います。落ちます。

 山頂からは稜線の東西で天気が違うことがよく分かる写真が撮れました。もう7月も半ばに入りそうな頃合いではありますが2000mを越える場所の風は非常に涼しく半袖だとちょっと寒いかなというくらい。でも気持ちが良い。

 山頂の宿泊施設にはレストランなんかもあったりするんですが、とんでもない価格(5000円は最低ライン)というスーパー価格だったので水も飲まずそこら辺のベンチで持ってきたパンをジャムで貪り食うのみです。

 悲しいかな、貧乏大学生なのでやることもなくなりましたからロープウェイで下山してしまいましょう。まだ余力があれば走って降りたかったところですが、正直二人とももうへとへとになっているので仕方なく乗車しました。

 越えてきた岩壁を一気に降るループウェイからの景色はこれまた絶景。地上からだと捉えることの難しいルツェルン湖の形もはっきりとわかります。はっきりと…?これどんな形してるんだ?わからんぞ?

 あとはぱぱぱっと下までゴンドラを乗り継いでしまってピラトゥス山登山は終了です。晩御飯に何を食べるか非常に迷いましたがお金はもちろんないのでそこら辺のスーパーで美味しい砂糖漬けの缶詰とカップ麺を食して今日は終了です。

Day16:世界最高の山岳リゾート「グリンデルワルト」

 スイスといえば何を想像しますか?自分はやはり山岳リゾート、ツェルマットやグリンデルワルトといったものを想像します。と、いうわけで知ってるところには行きたくなるでお馴染みの旅オタですので今からグリンデルワルトに向かいます。

 まずはルツェルンからインターラーケンという街にこのパノラマエクスプレスという列車で向かいます。その名前の通り、めちゃくちゃ窓が大きくなっているので車窓がびっくりするくらい大迫力に見えるのです。

 朝日に照らされて美しく輝く湖面を横目にいくつもの湖をなぞるように走っていく路線です。早朝の列車かついつも通り一等車なので他に客もおらず本当に快適なリゾート地へ向かう列車の旅となりました。

 インターラーケンまでは2時間くらい。昨日の疲れが若干残っていたので車内で若干うとうとしつつも終点で目覚め無事に下車。グリンデルワルトの村へと向かう小さな列車に乗り換えます。

 レールの間に敷かれたラックを噛み締め列車が登っていくと急に視界が開けます。すると大きな窓から飛び込んでくるのはこの巨大な岩壁。昨日のピラトゥスなんて比べ物にならない規模感のこちらはかの有名なアイガー北壁です。

 終点の一つ前、グリンデルワルト・ターミナルという駅で下車。登山鉄道に乗り換えるのであれば終点へ向かうのが良いですが、各種ロープウェイやゴンドラへ乗り換えるのであればターミナル駅で下車するのが便利でオススメ。

 メンリッヒエンというピークへ向かうゴンドラに揺られること20分。グッと標高を上げ既に2000、程度にやってきました。ゴンドラの駅からすぐ南を向くとグリンデルワルトの象徴であるアイガー・メンヒ・ユングフラウの三山が堂々とした様で聳え立っています。

 昨日の景色も非常に美しく心を奪われるような気持ちでしたが、正直こちらの方が比べ物にならないくらい素晴らしい。一眼見た時にハッと息を呑むそんな絶景がここにはありました。

 もちろん美しい景色を織り成しているのは先ほど紹介した三山だけではありません。さらに西に目をやるとヨーロッパの背骨でもあるアルプス山脈の峰々が遠く地平へと続いてゆきます。

 そして手前に伸びてきているのはラウターブルンネンという街と深い深い渓谷。パッとみて分かる通りとんでもない高さの崖、流れ落ちる滝の中で最も落差が大きいものは300mあるというから驚きです。

 グリンデルワルトの名物はアルプスの山々だけではありません。足元に咲いているさまざまな高山植物も緑一色の一面に美しい彩りを加えてくれ最高です。赤・青・黄色といったカラフルな小さな花が可愛いです。

 足元や眼前に広がる大展望に目を奪われながら山脈の方へと向かってなだらかな小道を進みます。さすがスイス、登山道の整備も素晴らしく大変歩きやすいのがよろしい。日本の登山道もこれくらいしっかり整備が入ると嬉しいんですけどね。

 しばらく右手に大きなピークを巻きながら進むと先ほどゴンドラで飛び越えてきた深い森と大きな谷間にあるグリンデルワルトの村が見えてきます。東に目を向けた時の稜線も特徴的で目を惹きますね。

 最高の天気、日差しと吹き抜ける高地の涼しい風が山岳リゾート感を更に増させてきます。スイスに行ったら絶対行くべきと言われる観光地として名が真っ先に上がる理由がよく分かるものです。

 メンリッヒエンから歩き続けること約2時間ほどでクライネ・シャイデックの駅に到着。ラウターブルンネンとグリンデルワルト、大きな稜線を挟んだ両側からやってくる登山鉄道の線路はこの駅で合流します。

 ここから線路は更に上部へと続いており、なんとその終点はユングフラウ・ヨッホというヨーロッパ最高の3454mの標高を持つ駅へと続いています。富士山以外の日本のすべての山よりも高い数値というから驚きです。

 ユングフラウ・ヨッホからは世界遺産であるアレッチ氷河を見渡したり氷上ハイキングをしたりと氷河アクティビティを楽しめるそうですが、往復するだけで3万円という価格に手が届きませんでした。いつかまた来ます。

 気落ちしても仕方がないので少しでも上へと歩みを進めるとファルボーデン湖という人造湖が姿を表します。冬のスキー場のために貯水している池ですがその水は深い青緑色で本当に美しく感じます。着色料でも入れてるのかと疑いたくなりますよ(笑)

 登山鉄道とロープウェイの駅が集約されているアイガーグレッチャーの駅からアイガー・トレイルという世界的に有名な登山道に入ります。その名の通りアイガーの麓をひたすら辿りグリンデルワルトへと続いていく道です。

 流石の標高、そしてアイガー北壁の北側にあるということで登山道にはところどころ雪が残る道です。観光誌ではスニーカーでもいけるというな話を見ましたが足元は砂利だし雪もあるしでオススメはしませんね。

 アイガー・トレイルから上を見上げるとはるか4000mの頂をもつ頂上までスパッと1000m以上の標高差を持つ壮大な崖が聳え立っています。写真ではなんとも表現し難いですが現地に行ってみると本当にすごい威圧感です。

 見下ろす景色も最高で本当に天空の道を歩いているような感じ。足元には高山植物のお花畑が広がっていてもはや天国。やったよ、天国に到達したんだ俺たち。

 トレイルの終点に近づくと大きな滝があってこんな水が細いゴルジュを流れ落ちる様が観察できます。アルプスの膨大な氷河から溶け出した水が石灰質の土壌を削って生まれる美しい景観です。

 登山鉄道の駅に合流すればあとはひたすら砂利道を降っていくだけ。途中、幾つもの家々の間を抜けていきますが巨木で造られたログハウスのような物ばかりで伝統のスイス建造物って感じ。

 グリンデルワルトの街中に戻ってmont-bellグリンデルワルト店へ立ち寄りました。あわよくばご当地Tシャツなんかも買ってったろかな〜とか思っていましたが8000円とかいうとんでもぼったくり価格していたので大人しく退店。

 地味に遠い道のりをやってきたのでもう時刻は16時過ぎ。今日もルツェルンに宿泊するのでパッパと戻ります。もし次に機会があれば氷河の上まで登ってやるぞとそんな覚悟を決めグリンデルワルトを後にしました。

 というわけで本日の晩飯はこちら、昨日と同じ缶詰・カップラーメンと宿でなぜか売っていたUDONです。案外どれも美味しくて日本の味と遜色ないレベル。値段は400円か500円くらいしたかと思いますが物価考えればコスパは悪くないかも。

 スイス・アルプスでの観光を楽しんだ2日間はこれで終わり。続いてはスコットランドで開催されるWOC2024の観戦のために北へ向けての移動開始です。

Day17:Luzern→Bruxelles、ゴシック様式最大のカセドラル

 さあ、また移動日がやってきました。楽しくアルプスを走った2日間は胸にしまって次の目的地へ向かいましょう。今日はベルギーはブリュッセルまでガッツリドイツを横切って北上していきます。

 朝早くの路線バスでルツェルン駅へ。さすがに鉄道大国スイスといえど朝5時のこの時間にはまだまだ駅は閑散としています。とりあえずこの、ドイツとの国境の街バーゼルへ向かう列車に乗り込みます。もちろん一等車です。

 連日の運動の疲れをしっかり車内での睡眠に費やし気が付けば1時間半ほど時間は経過しバーゼル駅へと列車は到着していました。道中の写真とか全く残せなかったのが辛いですが自業自得、仕方がありませんね。

 バーゼルからは日本でも比較的有名なドイツの新幹線ICEに乗車します。読み方は「イー・ツェー・エー」です。あいしーいーと呼ぶ人は私が許しません。冗談です。

 車内はこんな感じ。まあ特別感があるわけではないですが近代的なヨーロッパの高速鉄道という感じで清潔感のある良い内装です。この列車はドイツ北部のハンブルクまで向かいますがひとまずハイデルベルクという街へ向かうので途中のマンハイムで下車します。

 ICEは基本的に全席指定ですが予約がいらないというシステム。座席横に小さなモニターがありその席が予約されている区間が表示されるので、予約のない人は予約がない区間の席を見つけて着席するという仕組みなのです。

 日本ではなかなかみることのない特殊な席指定の仕組みを理解するのに時間をかけつつなんとかマンハイムからの予約が入ってる座席を発見し着席。これ、ある程度ドイツの地理をわかっている自分ならまだしも何も知らない人が乗るには少しハードルが高いかも。

 とはいえ落ち着いて車窓を眺めましょう。昨日までのゴツゴツとした山が続く景色はどこへやら。独仏国境を流れるライン川によって形成された平野を爆速で走り抜けていきます。

 マンハイムで下車し近郊列車に乗り換え。ご覧の通り自転車を乗せることが可能なのでみんな自転車でゴリゴリ乗ってきます。正直邪魔でした。かなり混雑した列車に乗りハイデルベルク駅まで向かいました。

 が、いい感じのコインロッカーが見つからず。観光地まで距離がある状態で荷物を背負っていく気もなくやる気が完全にないないさんしてしまったので、一瞬でマンハイムまで舞い戻ってしまいました。まあ、こういう日もあると思えば。

 マンハイムからまたハンブルク行きのICEに乗車し直し1時間半かけてケルンへ向かいました。フランクフルトというドイツでも最大級の街が途中にあるのでてっきりそこを経由するのかと思いきや空港しか通りませんでした。まあ、また来るし良いか。

 列車がケルンの駅に到着して下車する際に高齢欧米人が一生ドアの前を塞いでいて脱出できなかったりと若干の詰まりもありつつも大きな問題はなく到着です。ケルン中央駅は高架の駅なのですが、大きな鋼鉄製の屋根が架かっています。迫力あるね。

 さあ、ケルンと言えばなんでしょう。そうですね、ケルン大聖堂です。実はこの日本人すら誰もが知る世界遺産のケルン大聖堂はケルン中央駅の本当に目と鼻の先にあります。この写真を撮影したのは荷物を駅のロッカーに預けて1分後です。

 世界最大のゴシック様式の建造物で知られるケルン大聖堂。先日チェコで訪れた聖ヴィート大聖堂よりもさらに大きく正面の塔の高さは157mを誇ります。これが13世紀から建設された建物というんですから凄い。

 天井のドームは見上げるほど高く、その柱の間に設けられた無数のステンドグラスからは優しく初夏の光が差し込んで来ていて少し薄暗い大聖堂の内部をほんわかと照らしています。

 ケルン大聖堂には様々なカトリック系の美術品が展示されており中央の祭壇の奥には東方三博士の頭蓋骨が入った棺があったり、大聖堂の絵と呼ばれる15世紀の名画が飾られていたりします。なんか凄いらしい。

 個人的に知っていたのはこのステンドグラス。こちらはゲルハルト・リヒターという現代アートの巨匠が第二次世界大戦の空爆により完全に破壊されたステンドグラスを復元したもの。他のステンドグラスの多くはストーリー性のあるデザインですが、ここだけ幾何学模様となっています。

 確かにキリスト教の聖堂と言えばイエスやマリアといった偉人や聖人が描かれているイメージですが、実際のところ16世紀より前に制作されたステンドグラスの多くは幾何学的なパターンだったりするそうなので現代的でかつ伝統も踏襲しているという作品となっています。

 高い建物があると登ってみたくなりませんか?私は登りたくなります。ということでこのケルン大聖堂、登ることができるという話を聞いたので早速こちらの受付から登ることに。いや、今から登るのに受付は地下なんかい。

 オリエンティアたるものこんなたかが建物の登りなんかで疲れてたまるか、ということでゼェゼェ言いながら登ってくふくよかな欧米人たちに適宜道を譲ってもらいながら狭い螺旋階段をぐるぐると周回し登っていきます。

 頂上に到達するまで約10分、ふん、チョロいもんです。アップヒル・アスリートたるものこんな程度の登りで疲れるわけありません。でもなんだか足の筋肉がギチギチに張ってる気がします。ふくらはぎとか攣りそうかも。

 ご覧になっているのは塔の外に回廊状に設けられた展望台からのケルンの景色。正面のライン川を渡っている鉄道橋が有名なホーエンツォレルン橋、さっきICEで渡ってきました。左下に見えている屋根はケルン中央駅です。

 ほとんどの人が遠目から見て至近距離から見ることなんてないのだからこんなに作り凝らなくても良いのに…と尖塔のあまりの装飾具合に驚きつつケルン市街の景色を眺めたら再び螺旋階段を降り始めます。

 塔の上部ではあまりにも階段が細いので登りと降りで分けられていましたが下部では共用のため画像のようなすれ違うのが結構ギリギリな細い階段を譲り合って通らなければなりません。ふくよかな人が来た暁には…

 一旦ケルン大聖堂には満足したので離れてホーエンツォレルン橋を見にいきます。この橋、南京錠をかける文化の発祥地とまで言われているだけあって愛の南京錠が欄干に端から端まで夥しい数びっしりとかけられています。

 日本の観光地にあるような光景なんて生易しくて、ここでは本当に「無数」というに相応しい数の南京錠を観覧することができます。こんだけあったらご利益も何もないだろ…と思わなくもないですが、きっとそういうものではないんでしょうね。

  橋を渡って対岸に辿り着くと悲しいかな、雨が降ってきました。持参した折り畳み傘を展開しますが夏のヨーロッパの雨は結構激しく下半身はびしょ濡れになってしまいました。雷がならなかっただけ幸いです。

 本当はもう少し遠くまで行くつもりでしたが雨で気持ちが萎えてしまったのですぐ南の橋を渡ってケルン中央駅へと戻ることにしました。

 さあ、ケルンからまたまたICEに乗りますよ。ドイツを走っている高速列車は基本的に全部ICEなんでとりあえずICEに乗ることとなります。今回は今日の目的地であるブリュッセル行きのICEです。

 ドイツ国内で完結するICE、例えばバーゼル発ハンブルク行きなどの列車は基本的に座席指定をせずとも乗車することができますが、国境を跨いでベルギーやフランスへと向かう列車は予約必須。その場合ユーレイルパスを持っていても十数ユーロかかります。

 せっかくですのでブログの動画掲載機能を使ってICEの実際の速さを見ていただきましょう。動画に写っているのは大体ケルンとブリュッセルの間の街、リエージュ付近を走っている時の様子です。もちろん付近に山なんてものはありません。

 高速道路沿いを走る高速新線でかなり高い規格の線路であることがわかります。こんな高速列車が通る線路でも特に柵などで防護されていないのが欧州らしい。体感での速度は240km/hくらいかなぁ。日本の新幹線ほどは速くないです。

 1時間と45分ほどで終点のブリュッセルに到着。宿のある最寄り駅まで移動してあとは徒歩で向かいます。ブリュッセルというと治安が悪いことで有名。確かに駅周辺はやはり黒人が多く匂いもあまり嗅いだ事のない煙で好きくない。

 しかし街中に入ると流石にそこまででもなく普通のヨーロッパの大都市という感じ。街中に急に出てくるドミトリーの看板を見つけ転がり込みました。とりあえず今日はこんなところで終わりですね。

Day18:Bruxelles→London、アートとファッション・童話の街

 昨晩は随分と騒がしかった。自分は一泊するだけだったのですぐ寝たのですが、自分と同室だった数名のグループが夜まで外で遊んでいたようでなかなかでした。まあ、図太い神経しているのでぐっすり寝られたのはおけまる水産。

 アルプスを走って洗濯物のストックを減らしてしまったのでここらでもう一回くらい洗濯を挟んでおきます。手持ちの現金が高額紙幣だったので洗濯機にぶち込んだら大量の2ユーロコインが返ってきて泣きました。

 ブリュッセルの観光地といえばで名が挙がる「小便小僧」。もちろん洗濯を待っている間に観にいきましたが想定以上に小さかった。いや、普通に小僧の像がって意味ですよ?あ、すみません。自重しておきますね。

 まあこれはガッカリ観光地だわなと思いつつ近所にある「小便少女」の像も観にいきました。男女平等ですからね、小僧があるなら少女もあるわけです。でもたぶんそっちをここに載せると顰蹙を買うと思うので小僧だけに。本質的には同じなのに、世の中って不思議ですね。

 同じくブリュッセルの有名な観光地の一つであるこのブリュッセル市庁舎。その前にあるグラン・プラスという広場の名前なら聞いたことある方も多いのではないでしょうか。

 1400年代に建設されたこの白亜の市庁舎は例に漏れずゴシック様式の建造物。聖堂でこそありませんがファサードと尖塔がその時代の建物であることを印象付けています。この広場の周りの建物は白亜で統一されているのですごくカッコいいです。

 スーパーにいい感じの朝ごはんが置いてなくて調達できなかったのでそこら辺のワッフル屋さんでブランチといきましょう。ワッフルというと朝ごはんかデザートのイメージが強いですが、向こうではご飯としても食べたりすると聞きましたよ。

 調子に乗って3つくらい注文して店員にドン引かれてしまったのですがその理由がワッフルが出てきて理解しました。一つがとんでもなくデカいのです。しかし、頼んだ手前食べないわけには…ということで頑張って完食しました。前もこんなことあったな…

 普通にワッフルの味は美味しかったので満足して洗濯物をチャチャっと回収。宿に残していた荷物もパッキングしてとっとと宿を離れてしまいます。今日はこのままロンドンへと向かうのでさあ、鉄道駅へ。

 とはいえまだロンドンに行く列車に乗るには時間が早すぎるので、ブリュッセルから北にしばらく行った港町、アントウェルペンへ向かいます。日本人にはアントワープの名前の方が通じやすいかな。途中は特に何もなかったのでカット。

 このアントワープ中央駅はヨーロッパ、いや世界を眺めても最も美しい駅と言われています。その二つ名はなんと「鉄道大聖堂」というもの。地上2階から地下2階まで吹き抜ける特徴的な構造ももちろん、美しく装飾された駅舎がそう呼ばせるのです。

 荷物はアプリを使って預け場所を探しトラムで移動。アントワープのトラムは地上と地下を自由自在に立体交差して走っているのでアトラクションみたいで楽しい。ぜひお越しの際は乗ってみてください。

 やってきたのは川のそばに建っている「聖母大聖堂」という教会。もちろんカトリックの教会でファサードがあり尖塔があり、バシリカがあるといういつもの構造は変わっていません。

 昨日ケルン大聖堂を見てきてしまったせいで規模感に慣れてしまいましたがこの大聖堂も他から見れば十分に大規模で見応えがあるものです。

 では、どうしてこんな地方都市の大聖堂に来たのかというと、こちらの名画を見るためですね。どこかで見たことが…と心当たりのある方も多いかもしれません。これはかの有名なルーベンスが描いた「キリスト降架」という作品です。

 フランダースの犬に登場するネロがずっと見たいと思いつつも見ること叶わず、死に際になってようやく目にするがそのまま息を引き取ってしまうというのは誰しも子どもの頃読んだ童話で覚えていることかと思います。

 こちらは「キリスト昇架」という作品。同じく作者はルーベンスです。この2枚の祭壇画を見るために苦心しその果てに命を落としたネロとパトラッシュの話はあまりにも有名です。

 これらの絵はまさにこの大聖堂に架けられていたもの。なんだかそう思うと感慨深いというか、童話で聞き及んだ不幸な少年の物語を想うと単に感服するには重すぎる文化的背景があるような気がしてきますね。

 まあそもそも2枚の祭壇画もキリストの処刑シーンを描いているわけでそれ自体重苦しい話なので今更かと言われればそれまでな気もしてきます。

 これを見られれば満足なのでアントワープの別の場所に移動しましょう。こちらが先ほど申し上げた地下を走るトラムというもの。地下を走る電車には似つかわしくないスタイルをしているのがなんとも言えませんね。

 アントワープといえばファッションで有名な街。同じく「アール・ヌーヴォー」と呼ばれる現代建築様式の発祥の地でもあります。私は建築美学についてよく存じ上げていませんがせっかくですから訪れてみることに。

 アントワープの街外れの方に行くとこんな感じのカラフルかつ美麗に装飾された建物が立ち並んでいます。壮大な中世の建築とも現代の洗練された建築とも違う、どこか優雅さを感じさせるゆったりした街並みが魅力のようです。

 あわよくば中に入ってみて上の方の小窓から顔でも覗かせてくれないものかと思ったりしますが当然のことながらこの辺りの建造物は全部住宅、普通に一般人が生活をしているエリアなのでそれは無理です。

 プラハといいヴェネツィアといいアントワープといい、絵に描いたような伝統的な住宅に実際に人が住んでいるというんだから驚きです。感覚的にいえばそこら辺の一般的な日本人が茅葺き屋根の住居に未だ住んでいるようなものですよ?

 住宅街をあんまりウロウロしていると下手すりゃ警察でもなんでも呼ばれかねないので早めに切り上げてまたアントワープの中心部に戻ってきました。アントワープといえばファッションの街。さまざまな有名ブランドの店が軒を連ねていました。

 そんな中一際目を引くロゴが、UNIQLOじゃないですか!すごい、まさかベルギーで初遭遇することになるとは思ってもみませんでした。店内は大盛況でファーストリテーリングの力を感じました。もちろん価格は物価に合わせてましたね。

 さて、アントワープも堪能したことですしそろそろ移動を再開しましょうか。荷物を預けていたところから回収しアントワープ中央駅へと舞い戻ります。この駅構造が本当に不思議ですごく印象に残りますね。

 アントワープからブリュッセルまでは行きで使った近郊列車の反対方面に乗ってしまえば30分程度で到着。大阪と京都くらいの距離感と考えて貰えば分かりやすいでしょうか。終着駅なので乗り過ごす心配もありません。

 ブリュッセル中央駅の駅ナカにあるハンバーガー屋さんでユーラシア大陸最後の食事を済ませていよいよ待望のイギリスへと向かう「ユーロスター」へ乗り込みます。イギリスはシェンゲン協定に加盟していない国なので入国するには審査が必要です。

 2時間前に専用の窓口に向かい手荷物の検査と入国審査を受ける様はさながら国際線のよう。鉄道国際線と言っても過言ではありません。何なら一部航空会社はユーロスターの便を航空便としてナンバリングしたりしていますから。

 地味に有人の入国審査は初めてだったので「何をしに入国するの?」という定番の質問に対して「観光!観光だよ!」と食い気味に答えたら「大丈夫笑、わかってるから笑」と失笑されてしまいました。ちょい恥ずかしかった(笑)

 長い待合時間を何とか耐え忍んで出発時刻の10分前にようやく乗車。まさか運休に…とか心配しましたが自分が払った50ユーロの予約は失効せずに済んだようです。しかし結局1時間近く遅延して出発。審査や荷物検査に時間がかかってしまったんだとか。

 ユーロスターの一等車はユーレイルパスを持っていたとしても予約が必要。結構高額な予約量を払う必要がありますがこうして夕食まで提供していただけるので割と妥当な値段といえばそうです。

 特に周りにいるのはいかにも仕事をバリバリできそうなサラリーマンばかり。皆、当然今も仕事の時間だと言わんばかりにPCで何やら作業中。エセ、一等車民の自分には心苦しいですがブログを書くくらいしかやることなかった…

 こうして2時間の英仏海峡トンネルの旅を終えロンドンはセント・パンクラス駅に到着です。この駅の高架ホームはパリやブリュッセルを筆頭にヨーロッパ各地とイギリスとを結ぶ高速列車のみが発着している本物の「国際駅」となっています。

 シーメンス製の屈強な編成は時速320km/hを実現。一等車なこともあってか全く振動など不快に感じず実に素晴らしい旅路となりました。この度で乗る機会はありませんがまたいつか乗りに来たいものですね(フラグ)

 ホームから脱出するまでの通路がとんでも無く長く人も多くでだいぶ苦労させられました。とりあえず駅の外に出てみたは良いものの外は非常に冷たい雨が降りしきっています。

 ロンドンといえば霧の街。何だか不気味な雰囲気で某殺人鬼なんかが出てきそうな感じですがまあ、現代でそんなことはあり得ないので今日の「宿」へと向かいましょうか。

エピローグ

 結局、また2万字を越えてしまいました。今回は一晩では書き上げられませんでしたが2日で何とかなったのでセーフと言えばセーフです。

 さあ、キリの微妙に悪い場所で終わってしまった18日目ですが、色々と事情があるもので総集編第3段を楽しみにしていただけますと幸いです。

総集編:Day1〜9(レーティッシュ鉄道&Cansiglio編)

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