【忘備録】Nynashamn→Ventspils(ニュネスハムン→ベンツピルス) StenaLine乗船記

情報(旅行)

 さてさて、そろそろクリスマスですね。お久しぶりです、polarisです。

 今回は今夏ヨーロッパを訪れた際に利用したとある船の航路について忘備録を残したいと思います。というのも、この路線に乗船しようにも投稿日時点では日本語情報がヒットせず、なかなか情報集めに苦労した思い出があります。

 次の旅人がこの記録を読んで同じ航路をより気楽に利用して貰えれば幸いです。

 なお情報に関しては2025年末時点での情報です。必ず最新情報をご覧になるようお願いいたします。

StenaLineとは

会社

StenaLine HPより引用

 まずは今回利用した船会社「StenaLine」について。StenaLineはスウェーデンのヨーテポリに本社を置くスウェーデン籍の船会社です。

 北海からバルト海にかけてヨーロッパ各所を結ぶ貨客船を多数運行しています。日本での知名度はあまり高くありませんがヨーロッパの国家間移動を船で行おうとすると少なからず目にすることとなる会社です。

路線

ユーレイル・パス より引用

 続いて航路について紹介。ご覧の地図の通り、主にイギリス国内と大陸、バルト海内の両岸を繋ぐ航路網が設定されているのが分かりますね。

 船らしいと言えばそうですが、一級の主要都市同士を結ぶというよりは都市圏外縁の港町同士を結ぶという感じですね。客対応は車を運ぶというニーズに特化していそうですね。

Nynashamn-Ventspils 航路

概要

Screenshot

 今回乗船するのはスウェーデンの「Nynashamn(ニュネスハムン)」とラトビアの「Ventspils(ベンツピルス)」を結んでいる航路です。

  • 距離:約270km
  • 所要時間:8時間半
  • 船:Stena Baltica、Stena Scandica
  • 便数:2便/日

 バルト海という内海を結ぶ都合上そんなに距離があるように見えませんが、地味に東京竹芝-八丈島と同じくらいの距離があります。でかいなバルト海。

Nynashamn(ニュネスハムン)

Google Mapより引用

 Nynashamnはスウェーデンの首都であるストックホルムから南に50kmほど離れたバルト海に面する港町です。ストックホルム中心部から車で45分、鉄道で1時間程度の距離にあります。

 このNynashamnの港からは今回ご紹介するVentspils(ラトビア)以外にも、Rostock(ドイツ)やGdansk(ポーランド)といった国際航路の他に同じスウェーデン国内であるゴトランド島のVisby(スウェーデン)に向かう航路も就航しています。

 巨大船が入港できない内陸に位置したストックホルムの代替となり、バルト海に面した主要港湾として機能しているようです。

Ventspils(ベンツピルス)

Google Mapより引用

 Ventspilsはラトビアの首都であるリガから西に170kmほど離れた同じくバルト海に面する港町です。リガ中心部から車で2時間半、高速バスで3時間程度の距離にあります。

 このVentspilsの港からは今回ご紹介するNynashamn(スウェーデン)以外にも、Lubeck(ドイツ)やSankt Peterburg(ロシア)に向かう国際航路が就航しています。

 人口4万人と小規模ではありますが歴史は古くハンザ同盟時代(12世紀)から存在し、バルト海に面した主要不凍港としてラトビアの舟運の多くを担っている重要な都市です。

乗船券

概要

 価格は一番やすいエコノミー価格とリクライニングシートの組み合わせで昼行便で20ユーロ(3800円)、夜行便で50ユーロ(9500円)程度から。乗船券のグレードと利用する客室、切符の販売状況によって変動します。

 当日、現地で購入することもできるかもしれませんが乗船できないリスクを考えるとオンラインでの事前購入がオススメです。現地支払いができるかどうかは不明。

 ちなみにですが、同航路の代替交通はないので次の便を待つか航空機でバルト海を渡る必要があります。

購入方法

StenaLine HPより引用

 まず、StenaLineのHPにアクセスしましょう。このようなページに飛ぶので右上の「Book a ferry trip」から予約ページに飛ぶことができます。

StenaLine HPより引用

 するとこのようなページに遷移します。こちらで以下の情報を選択します。

  • 往復(Return trip)か片道(One way)
  • 航路(Route)
  • 日付(Outward/Return)

 選択できたら赤い「Search trip」のボタンを押します。すると新旧予約ページのどちらを利用するか選択することとなるのでとりあえず新しい方を選択しておきましょう。そのうち古い方は消えるでしょうから。

Screenshot

 また遷移したページでは以下の情報を選択します。

  • 人数
  • ペットの数
  • 車両の有無

 適宜自身に合うよう入力できたら、ページ下部の赤い「Continue」ボタンを押します。

Screenshot

 するとこのように乗船可能な便の予約状況が提示されます。この日付だと行きの夜行便は満席になっており選択することができません。

 基本的に各日付につき昼行便と夜行便の2便体制で運行されているはずなので旅程に合う方を選ぶと良いでしょう。

StenaLine HPより引用

 チケットは価格やサービスで「Flexi」と「Economy」の2種類に分かれており、前者は返金や便の変更ができ、後者はそれができないのが主な違いです。

 10ユーロ(約1900円)の違いなのでご自身の価値観で判断してください。買う形態が決まったら同様に赤い「Continue」を押しましょう。

Screenshot
StenaLine HPより引用

 続く遷移先では客室や座席の指定を行うことができます。先ほどの便選択画面で青いハイライトを添えて「Seat Selected」と表示されていた場合(今回は帰りの便)、勝手に座席が割り当てられている状態なのでご自身の望む客室に適宜変更してください。

 行きの便は選択されていなかったので残っていた客室をチョイスしてみました。いわゆるクシェットと呼ばれるような一部屋を何人かでシェアするタイプのようですね。

 客室が決まったらまた赤い「Continue」で次に進みます。

StenaLine HPより引用

 こちらの画面では主に食事など他に提供されるサービスを選択することができるようです。

 今回は特に予約注文せずにそのまま進みます。

StenaLine HPより引用

 続くページでは以下の情報を入力する必要があります。

  • メールアドレス
  • 電話番号
  • 氏名
  • 性別
  • 生年月日
  • 国籍

 シェンゲン圏外への移動ではないのでパスポートNoなどを入力する必要はありません(乗船の際にパスポートの所持は必要です)。

 さあお次で最後の画面ですね。

StenaLine HPより引用

 このようにして購入内容の確認画面が出てくるので間違いがないことを確認したら下部の支払い方法からご自身の選択した方法で決済を行なってください。

港へのアクセス

Nynashamn港

 StenaLineの路線別港湾のページからの情報です。ターミナルは24時間空いているというわけではなく、平日は7時から21時半まで、土日は7時から10時半と16時から21時半で分かれています。

Google Mapより引用

 ここで最重要情報として、ニュネスハムンの駅からStenaLineのターミナルまで5kmほど距離が離れていることに注意する必要があります。

 他の航路の船は駅すぐのターミナルに発着しているのですが、このベンツピルス行きの航路だけ離れています。周辺にタクシーなどの公共交通も無くギリギリだとまず乗り遅れる立地なので注意してください。

StenaLine HPより引用

 駅からターミナルまではご覧の通りの時刻で無料の連絡バスが運行されているので利用することができます。バス停は駅前直ぐのバス停、所要時間は10分程度となっています。

 この時刻に近づくと大きなスーツケースなどを持っている人間がいるのでいい感じについていけば安心です。念の為時刻などはHPで再確認することをお勧めします。

Ventspils港

StenaLine HPより引用

 同じくStenaLineの路線別の港湾ページからの情報です。月から水は7時から23時半、木から土は7時から23時、日曜日は12時から23時までのオープンとなっています。

Google Mapより引用

 ターミナルから街の中心にあるバスターミナルまでは徒歩10分もかからない距離にあります。旅客鉄道はこの街には来ていないので首都のリガや他の街へ移動するにはこのバスターミナルから発着する長距離バスに乗車する必要があります。

乗船記

 それでは実際にNynashamnからVentspilsへと移動した時の乗船記をお届けします。

Nynashamn港へ移動、乗船手続き

Screenshot

 まずはストックホルム中心部から港の乗船場まで移動します。先ほど申し上げた通りストックホルムからニュネスハムンまでは南に50kmと若干距離が離れているので車や公共交通機関で移動する必要があります。

 他の船会社(例えばGotland Destination)だとストックホルムのバスターミナルから直接接続する連絡バスがあるようなのですが、残念ながらStenaLineにその類のものは無いようなので公共交通機関であれば鉄道を利用するのがオススメです。

 ちなみに現在の価格で43kr(約720円)です。

 このような感じの外見の列車でStockholm Central駅から1時間ほどの所要時間です。早朝5時から深夜1時台までおよそ30分から1時間間隔で運行しているので適宜旅程に合う列車を選んでください。

 駅からターミナル行きのバスはすぐ駅前から出発するのでしばし時間を潰して待ちましょう。基本的には何も無いので食料の調達はストックホルムを出発する前に済ませておきましょう。

 バスというとでかいのをイメージするかもしれませんが実際に来たのはベンツの大型バンでした。まあ乗合タクシーと呼ぶ方が実態には合っているでしょうか。

 周囲の乗客に「Ventspilsに行くんだよね?」と確認して自分も乗り込みます。発車時間を待ってからフェリーターミナルへ向けて出発。それほど時間はかかりません。

 こんな感じの窓口なので他の乗船客と並んで待ちます。必要な物としては購入後に送られてくる乗船券の番号と身分証明書、この場合だとパスポートですね。

 特に日本人であれば何か聞かれることもないと思います。もちろん、シェンゲン圏内での移動となりますからボーダーコントロール等もありません。日本の乗船と一緒ですね。

 事前購入が終わってさえいれば乗船券を発券して終了なので、特段ここで何かすることはありません。待合室には何も無いので大人しく待っておきましょう。

乗船と船内

 しばらくすると待合から船まで移動するよう案内があります。先ほどと同じバスに乗車して船の車両甲板まで向かいます。貨客船なので連絡デッキからの乗船とかはなさそうでした。

 外部デッキに出てみるとこんな感じの景色。さすがに2万5千トンクラスの船ということもあって最近よく乗る小豆島行きのジャンボフェリー(約3000トン)とは比べ物にならないデカさをしています。寸法だけで言えば高さ以外は飛鳥シリーズと同等といえば幾分かわかりやすいですかね?

 何で船の全景見える写真を撮らんねんという話ではあります。ごめんなさい。

 船内はこんな感じ。自分の居住スペースだけですが。船内には後述するラウンジやレストラン、両国のお酒や土産物を販売している土産物店などもありかなり広大な印象。

 意外と座席は広く東海道新幹線のグリーン車よりデカい。コンセントもあるので充電にも困りませんね。夜行バスが得意な人なら不自由することはまずないでしょう。

 ラウンジスペースはこんな感じ。サッカーの試合がテレビで中継してありなかなか盛り上がっていました。グループで来たならここでお喋りするのも楽しそう。まあ、こんな辺境に日本人がいることの方が珍しいですが…

 内海といえど広大なバルト海。波が小さく船がデカいので揺れを全くと言っていいくらい感じませんが、水平線に見渡す限り何もないところを見るとやはり海なんだなと実感します。

 正直起きていてもやる事ないのでさっさと寝ました。おやすみなさい。

 下船時の様子。ベンツピルス港ではターミナルまで港を歩いて横断する形になるので、昨日乗船した車両甲板から徒歩下船となります。

 車両甲板と居住スペース間にエスカレーターがあるのが船のデカさを体現しています。下船後はみなさん街中へパラパラと散っていきました。

まとめ

 ここまで色々と書いてきましたがいかがでしたでしょうか。もし日本語の読める方でこちらの航路を利用する機会があれば参考にしていただけると幸いです。

 「誰がこんなマイナーな航路使うねん」という感じではありますが、バルト海の一番離れているところを渡ることになるので車で北欧からバルト三国方面へ抜ける方とかが使う可能性が万に一つくらいある…と思います。

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