皆様どうもこんにちは。polarisです。今回は6月にSUUNTOから発売されたハイエンドGPSウォッチ「SUUNTO VERTICAL」についてです。
遂にスペック面で他ブランドのハイエンドウォッチに追いついたVERTICALの実像を毎日肌身離さず着用していた感想を交えてレビューしていきたいと思います!
総評
オフラインMap、ソーラー充電などSUUNTO初の機能を搭載した「最強」のSUUNTOウォッチです。
基本スペック
製品概要
- 【価格】¥119790
- 【重量】74g/2.61oz
- 【サイズ】49×49×13.6mm
- 【素材】グレード5チタン、サファイアクリスタル、ガラス繊維強化ポリアミド、シリコン
- 【バッテリー駆動時間】30日間(ヘルストラッキング)
- 【GPS駆動時間】85時間(パフォーマンスモード)、30日(ツアーモード)
- 【機能】オフラインMap、ソーラー充電、電子コンパス、歩数・カロリー計測、心拍・睡眠トラッキング、etc.
あまりにも使える機能が多すぎるのでさらに詳細な機能は公式HPでご確認ください。
ラインナップ
2023年10月現在、機能や素材の違いによって2種類のラインナップがあります。
SUUNTO VERTICAL Stainless steel
一つは廉価版のステンレスモデル。ベゼルの素材がステンレスなので重量が10gほど増えています。こちらのモデルにはソーラー充電の機能はありません。シリコンベルトの色は4種類から選べます。
SUUNTO VERTICAL Titanium solar
今回紹介するのはこちらのチタンモデル。画面内に円状にソーラーパネル配置されており太陽光発電で充電することが可能です。それ以外の機能に両モデルで違いはありません。こちらも4種類のベルトカラーを選べます。
5つの特徴
待望のオフラインMap搭載
真っ先に挙げるべきは間違いなくコレ、全SUUNTOユーザー待望のオフラインMapを搭載できる初のモデルです。
今まで他のメーカー(Garminとか)は何らかの方法でオフラインMapを導入することができていたのですがSUUNTOでは自分が通った軌跡を白地の上に表示させることが限界で、地図を画面に表示させることはできなかったんですよね。
それがVerticalの登場でようやく他社に追いつきました。導入方法は至って簡単。SUUNTOアプリの指定タブから必要な地図データを選択してダウンロードするだけ。日本全域をダウンロードしても7GBくらいなので容量的にはまだまだ余裕です。
画面が49mmと大きくなったことで視認性も抜群に上がっているので、Verticalは地図を表示させるために生まれたと言っても過言ではない!表示できる地図は「高コントラスト」「屋外」「ダーク」の3種類。SUUNTOが独自に提供している地図を導入する形です。
進化したGPS
「進化した」というよりは「追いついた」と言うべきでしょうか。遂に「デュアルバンドGPS/GNSS」対応となりさらに測位精度が向上しました。
具体的にどう言うことかというと、まず「GPS」「GLONASS」「GALILEO」「BEIDOU」「QZSS(みちびき)」の5つのGNSSを同時に使用できるようになりました。これまでもこれらを利用することはできていましたがその中から2つ、あるいは4つといったふうに同時に使える数が限定されていたのです。
一つのシステムでまとまった衛星の数には制限があるので複数のシステムを同時に使うことで使用できる衛星の数の底上げに繋がり精度の向上はもちろん測位の速度も向上させられます。
加えて「デュアルバンド」にも対応し、従来の「L1」と呼ばれる波長の短い信号だけではなく「L5」と呼ばれる波長の長い信号も受信できるようになり「L1+L5」となりました。
従来の「L1」信号だけではビル群や森林などの影響を受け反射し測位位置に誤差が生じてしまうところ、貫通力の強い「L5」信号を加えることでそれらの影響を軽減でき誤差を減らすことができます。
これら二つのアップデートで「デュアルバンドGPS/GNSS」と呼ばれるフルサポート状態となったわけです。これまでも十分測位精度は高かった印象でしたがさらなる向上ですね。
Garminの動画ですが非常にわかりやすいのでオススメです(笑)
最強のバッテリー
筐体が大型化されたことでバッテリー容量も増大。気になる駆動時間ですが、心拍数などをトラッキングしフル精度でGPSを取得する「Performance」モードでなんと85時間。
先ほどの数値はソーラー発電できる「Titaniun Solar」モデルでのことなので、雨天や夜間などソーラー充電できない環境だと連続で60時間の駆動となっていますがそれでも飛び抜けて長いことに間違いはありません。
この数値は某Gのフラッグシップと比較しても全く遜色のないものとなっているのでSUUNTOの本気度を感じます。
もちろんそれだけでなくGPS精度を落とし心拍数の計測などを無くした「Tour」モードでの駆動時間は30日間(ソーラー充電なしで500時間)となっており、もはや一般の領域をかけ離れていますね(笑)
100マイル走るような過酷ランナーでも「Performance」モードの機能をレース中の充電やバッテリー切れの心配なしでフル活用できるようになったという点で大きな向上と言えるでしょう。
ソーラー充電に対応
SUUNTOでは初の機能、ソーラー充電も搭載しています(Titanium solarモデルのみ)。公式サイトの情報によるとソーラー充電によってバッテリー寿命が最大で30%向上しているとのこと。
アナログな時計だとソーラー充電は別に珍しくないですがGPSウォッチだと限られたハイエンドモデルにしかない機能なので、まさにSUUNTOのフラッグシップとしての存在感を感じますね。
多すぎるスポーツモード
ローラースキーやってみよう!と思っても対応しているスポーツモードがない…というのが廉価版のGPSウォッチあるあるらしい。
当然Verticalの場合はそんなことはなく、対応するスポーツはおよそ100種類。オリエンテーリングとかローラースキーとか「誰がやってるねん」くらい珍しいスポーツでもそれ専用のログを取るモードが用意されています。
加えてアプリ経由で対応していないスポーツモードを取得したり、既存のスポーツモードをカスタマイズして自分が欲しい情報を並べられるようにもなっているので拡張性は抜群です。
「good!」なところ
視認性の良いMap
MapはSUUNTOのアプリからダウンロードする感じ。世界中あらゆるエリアの地図がダウンロードできるようになっています。
地図の表示形態は3種類「High contrast」「Outdoor」「Dark」となっており、登山やトレランで使いやすのは「Outdoor」の表示モードですね。街中で使うなら「Dark」仕様で道と建物をわかりやすくするのが良いです。
例によって非常に見やすいディスプレイなので直射日光下でも視認性に不満を感じることはありませんでした。
明るく、大きなディスプレイ
「SUUNTO 9 PEAK」を使い慣れていた自分がVerticalを見て最初に思ったこと、それは…「デカい!」
それもそのはず。9 PEAKの大きさが直径42mmだったのに対し、Verticalは49mmと格段に大きくなっています。明るさも完全に個人の感想ですが上がった気がします。9 PEAKでも十分に明るく視認性が高かったのに画面の拡大と相まって更に見やすくなりました。
画面サイズが上がったということは筐体も大きくなったということ。それなりに運動してはいますが筆者の細い腕では「腕時計に腕がついてる」感じに見えなくもない…?存在感あって自分は好きですけどね(笑)
最強の電池持ち
カタログスペックの時点で分かってはいたことですが電池持ちが最強すぎて笑ってしまうくらい。実際に10月7日から23日までほぼ毎日トレをした時の記録を見てください。
- オリエンテーリング:2時間50分
- 登山:3時間
- ランニング:5時間30分
- ヘルストラッキング:毎日
最終的な電池はこれだけ使って99%→4%となりました。17日間、途中で一切充電をしないでこれだけ使うことができれば大満足です。
これまでは2泊3日とかの泊まりがけ山行になった時に結構電池持ちを気にしていましたが、そんな心配とはおさらば出来ました。ごく一部の過酷アスリートでないと一度に充電を使い切るなんてことは不可能です(おかげでバッテリーの検証ができない)。
「モノ」としての良さ
惚れ惚れするこのカッコいいボディ!如何ですか?9 PEAKのデザインを踏襲しつつ、大型化によって「タフネス感」を引き出した非常に美しい筐体です。
画面縁はエッジが立っておりボタンは右手に3つ。押し心地は「コツコツ」といった感じではっきりと押した感覚は分かるのですが、前作のように「カチカチ」といった音が鳴るような感じではありません。
使っていく中で劣化して破損してしまった前作(9 PEAK)のシリコンバンドでしたが、今回のバンドは完全に一体成型されているようで耐久性は向上したように見えます。金属ストラップの留め感もしっかりとしていてきちんと外れにくいです。
個人的にGPSウォッチとしてのハードウェアの完成度はどのメーカーよりもSUUNTOが優れていると思っています。異論は認めます(笑)
「bad…」なところ
若干のラグ
ウィジェットの操作をするときに若干のラグがあるように感じます。ウォッチを操作し続けるなんていう状態はほぼないに等しいのでそこまで大きな問題ではないですが明確に目で見て分かるくらいのラグは発生しています(アップデートで改善に期待)。
CPUの性能の問題なのか分かりませんが、あえて性能を落とすことで電力消費を抑えバッテリー持ちを良くするということも考えられるので。自分的には正直どうでもいいなと思いましたが一応。
微妙なソーラー充電
搭載されているとなんだか嬉しくなるソーラー充電機能。確かに明るい晴れた日なんかは結構発電してるみたいです(画面右上のマークでわかる)。
しかし、実際に太陽光からどれくらいの電力を発電してどれくらい電池持ちに貢献しているかというのが不透明。専用のウィジェットを見てみても絶対的な数値が表示されるわけではなく、「だいたいこれくらい…」という感じのグラフが表示されるだけ。
加えて晴れていても腕の角度によっては普通に充電されていないこともあるし、曇りの日とかはほぼ発電されません。室内光でもほんのちょっとは発電するみたいですが微々たるものでしょう。
ソーラー充電できるかどうかで価格が2万円くらい変わってくるので必要かどうか考えた方が良さそうな気がします。
若干感じる厚みと重量
画面が大きくなったことで視認性は向上しましたが、トレードオフで厚みと重量は増しています。隣に9 PEAKを並べてみると一目瞭然ですね。
直径は7mm、厚みは3mm、重量は22g増加しているのではっきりと「デカくなったな」という感想になります。地図を見るという点では大きい方が見やすいですし、バッテリーの容量を増やせば厚みや重量が増すのも納得できます。
ただ、大きくなると気になるのは取り回し。ビジネスライクに使えそうな雰囲気のあった9 PEAKと比べて「アウトドアウォッチ感」は増したのでシーンによってはという感じ。一番気になったのは分厚くなったことで何かにぶつける機会が増えたこと、今の所は大丈夫ですが結構ヒヤヒヤしています(笑)
ランニングで使いたいという方は重量が気になるかもしれませんが、個人的には全くと言っていいくらい気にならなかったです。完全に個人差があると思いますけどもね。
さすがのお値段…
ここにツッコミを入れるのは少し野暮かもしれませんが…まあ良いでしょう。
これだけの機能を備えるとなるとお値段もなかなかなもの。おそらく某G社のFシリーズにぶつけてきていると思われるのでお値段も同じくらい。
自分には覚悟が必要な価格でしたが非常に満足していることは間違い無いです。
SUUNTO 9 PEAKとの違い
一通りVerticalの性能を見てきたところで、自分が使用していた前モデル「9 PEAK」との違いにも触れておきましょう。
SUUNTO 9 PEAKについてもレビュー記事を書いているので良ければそちらも是非。お安くなっておりますよ。
違いを先にまとめておくと次の4つです。
- デザイン・重量
- オフラインMapの有無
- U.I.
- バッテリー
デザイン・重量
この二つのモデルで一番違うのはデザインと重量でしょう。先程も触れた通り並べてみると一目瞭然ですね。
Verticalは従来の9シリーズそのままの「王道のアウトドアウォッチ」という佇まい。それに対して9 PEAKは小さな筐体と美しいデザインで「街に溶け込むタフネス」という感じ。
どちらもハイレベルな機能を備えながら趣向が違うので好み分かれるところだと思います。重量や大きさの比較表を載せておきますね。
大きさ(直径) | 厚さ | 重さ | |
Vertical | 49mm | 13.6mm | 74g |
9 PEAK | 42mm | 10.6mm | 52g |
オフラインMapの有無
待望のオフラインMapを搭載したVertical。見やすさもバッチリで登山する時には欠かせない相棒です。やはりスマホを取り出さずに確認できるのはなんだかんだ便利ですね。
対して9 PEAKでは「ブレッドグラム」と呼ばれる軌跡を白地の上に表示するということしかできません。最低限の遭難対策にはなりますが、具体的な地図があるのとないのとでは天と地ほどの差があります。
U.I.
両者ではU.I.も大きく違っています。9 PEAKの場合はそれまでのシステムを踏襲した上下移動がメインとなるU.I.です。上に行けばエクササイズやナビゲーション、下に行けば心拍数や睡眠などのウィジェットが表示される形式です。
それに対してVerticalの場合は9 PEAK PROで一新されたU.I.となっており、左右の移動で心拍数や睡眠といったウィジェットにアクセスします。上方向に移動することで即座にスポーツモードを選択でき、下方向に移動することで地図やコンパスといった機能にアクセスできます。
使える機能が増加したことで上下左右どちらともに使い道が生まれたわけです。Verticalの方が全体的なU.I.が現代的なのも注目ポイントです。
バッテリー
Verticalの圧倒的なバッテリー持ちは9 PEAKと比較しても目を見張るものがあります。ざっと2倍ですよ?2倍長く使えるんです。
なんだかんだ充電するという行為は鬱陶しい派の自分にとっては充電回数が半減するというのは非常に良いこと。もちろんそれだけでなく電池切れの心配をしないで良い安心感も大きいですね。
オススメな人と選び方
今回のVerticalでは明確に機能が差別化されており、ソーラー充電あり+ベゼル素材がチタンの「Titanium solar」モデルとソーラー充電なし+ベゼル素材がステンレスの「Stainless steel」があります。どちらを選べば良いんでしょうか?
Titanium solar
- フラッグシップが欲しい人
- 少しでも電池持ちを良くしたい人
- 少しでも軽くしたい人
Titanium solarモデルは間違いなくSUUNTOのフラッグシップです。これは間違いのないこと。身につける製品に妥協なく、最強のSUUNTOウォッチが欲しいという人はこちらですね。
またソーラー充電もできるので電池持ちを少しでも伸ばしたい人についても同じことが言えます。Map搭載のSUUNTOウォッチは現状Verticalしかないので地図を使える状態で軽くしたい人もこちらのモデルが選択肢にあがります。
Stainless steel
- コスト(価格)を抑えたい人
- 重量増を気にしない人
ソーラー充電と素材の違いがありますがこちらのモデルは価格が2万円安くなっています。それにより連続駆動時間が20時間短くなり重量が12g増加することになります。このトレードオフをどう感じるかの問題ですね。
自分はソーラー充電対応!チタン!ということで上位モデルに飛びつきましたが、2万円の価値があるのかとよくよく考えてみると…という気はしないでもないです(後悔はしていないつもり)。
余った2万円で代えのバンドとか心拍計とか買った方が良いかも…?
他のSUUNTOウォッチ
Map機能が欲しいという方は現状Verticalを使うしかないですが、別にMap表示できなくても良いかなという人には別のSUUNTOウォッチもオススメです。
Verticalが発売されるまでフラッグシップだった「9 PEAK PRO」はVerticalと同じU.I.を搭載しながら9 PEAKの筐体を採用しバッテリーやGPS精度の向上を行っています。
自分が先日まで使用していた「9 PEAK」はPROモデルの廉価版といった印象のモデル。デザインはそのままにバッテリー持ちが若干低下しています。GPS精度は一応低くなっていますが使っていて不満は全くなかったです。
1週間くらいなら充電なしで余裕、発売から時間が経って価格が下がっているのでコストパフォーマンスは抜群です。
SUUNTO RACEの発売
10月半ばに入ってから嬉しいのか悲しいのか複雑になる情報が飛び込んで来ました。SUUNTOの最新作「RACE」モデルの登場です。
Verticalで実現したMap機能を搭載しつつDigital Crown装備でディスプレイはAMOLED(有機EL)の超高輝度・高精細。音楽ダウンロード可能でお値段なんと8万円台…?
Verticalが優っている部分が電池持ちとソーラー充電しかないのに2万円以上安いモデルが発売されてしまいました。どうして…
流石にこれも自腹レビューというわけにはいかないのでしばらくお預けですが、他のレビュアー(主に海外)からの反応も「この価格でこのクオリティ…?」と困惑レベルの性能をしているので今買うなら間違いなく「SUUNTO RACE」でしょう。
どうも劇的に安くなったのは「Made in China」だからだそうです。
総評(おわりに)
遂に誰もが待ち侘びたオフラインMapを搭載したことで他のブランドのGPSウォッチと戦えるスペックを手に入れたSUUNTO VERTICAL。
圧倒的な長時間駆動を実現したバッテリー、GPSウォッチでは数少ないソーラー充電、踏襲されつつブラッシュアップされた秀逸なデザイン。まさにSUUNTOのフラッグシップと言うに相応しい性能をしています。
価格だけに人を選ぶかもしれませんが、Mapの搭載で活用の幅が大きく広がったので是非一度検討してみてください。
この記事の情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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